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「教育費」と「食費」いっぽうを削るとしたらどっちを選ぶ?父母たちの切実な見解は

値上げが止まらない昨今。子育て中の世帯にとって重要な「教育費」や「食費」も例外ではありません。

もし、この2つのうちのどちらかを削らなければならない状況になったら、どちらを選びますか?

今回『kufura』編集部は子どもがいる父母206人に、こんなシミュレーションをしてもらいました。

「食費を削る」人のほうがやや優位に…

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今回のアンケートにご協力いただいたのは、子どもがいる男女206人(男性105人/女性101人)。

“(子どもの)教育費”と“食費”のどちらかを削らなければならないとしたら、どちらを選ぶか」という質問に対しての回答は、以下のような割合となりました。

【もし、どちらかを削らなければならなくなったら、どちらを削る?】

教育費を削る・・・83人(40.3%)

食費を削る・・・123人(59.7%)

アンケートでは「食費を削る」という人の方が多く、多くの家庭で教育費が重要視されていることがうかがえます。

父母別の割合も見てみましょう。

【父親】

教育費を削る・・・46.7%(49人)

食費を削る・・・53.3%(56人)

【母親】

教育費を削る・・・33.7%(34人)

食費を削る・・・66.3%(67人)

母親のほうが「食費を削る」の割合が高くなっています。

後に続く回答を見ると、「食費を削る」「食事を減らす」の違いも見えてくると思いますが、そもそもどうして回答者は今回の選択をしたのでしょうか。

回答者に選択の意図を聞いてみました。

「教育費を削る」(食費は削らない)を選んだ理由は?

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まず、食費・教育費、どちらかを削らなければならなくなったら「教育費を削る」と回答した人の声です。

4つの理由がありました。

(1)子どもの成長・健康への影響を考慮して

「食費を削ると、将来まで健康被害があることがあるため」(40歳女性・主婦/子12歳・9歳)

「食べることは全ての源」(40歳男性・その他/子4歳・1歳)

「学校の勉強についても、まずは食べ物をちゃんと食べさせてあげられなかったら頭も回らなくなったり体を壊したりするので食費を削るのは抵抗あります」(29歳女性・主婦/子7歳)

「食べ物は我慢したくない。成長には栄養が大切だと思うから」(37歳女性・主婦/子12歳・9歳)

(2)食費に削る余地がない

「成長期なので、これ以上食費は削れない」(42歳女性・主婦/子17歳・12歳・6歳)

「食費は減らせないと思う」(42歳男性・その他/子8歳・5歳)

「食費はもうこれ以上削りようがないから」(35歳女性・主婦 /子9歳・4歳)

(3)教育費は削ってもなんとかなる

「良いものをたくさん食べさせたい。教育は工夫できる」(35歳女性・総務・人事・事務/子5歳・2歳)

「教育はサポートできる。しかし、食に関しては栄養のことなど健康につながることなので削れない」(43歳男性・その他/子22歳・17歳)

「勉強は、自分でも教えられるから」(51歳男性・技術職/子11歳・8歳)

(4)教育は結局「その子次第」

「いくら教育にお金をかけても勉強しない子はしないし、塾などに行ってなくても家で勉強する子はするので、結局はその子次第だと思う」(46歳女性・その他/子21歳・16歳・14歳)

「息子は国立の有名大学を卒業したが塾にも通わず自力で合格したので、その気になれば自力でなんとかなると思う。なんとかならない人はあきらめればよい。食べ物は健康に影響があり、その時よくても将来にも影響があるので削るべきでないと考える」(58歳男性・会社経営・役員/子29歳・26歳)

「教育費を削る」(食費は削らない)を選んだ回答者は、子どもの成長と健康のために食事の水準を維持すべき、と考える人が目立っていました。

また、お金の対価として得られる教育に対してさほど大きな期待をしておらず、「結局はその子次第」「自宅でもできることがある」と考える人もいました。

「食費を削る」(教育費は削らない)を選んだ理由は?

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続いて、食費・教育費のどちらかを削らなければならなくなったら「食費を削る」と回答した人の声です。

(1)子どもの将来への影響を考慮して

「子どもの将来にかかわるような費用は削りたくないから」(39歳男性・研究・開発/子2歳)

「子どもの夢のために必要な教育費は絶対に削れないから」(47歳女性・主婦/子15歳)

「将来を考えると教育の方が大切だと思うから」(46歳男性・その他/子15歳・12歳)

「教育はケチっても幸せになれない」(32歳女性・その他/子3歳)

(2)食費は削る余地がある

「食費は自分の努力で減らせる。教育費は子どもを犠牲にしないといけないから」(36歳女性・主婦/子5歳)

「教育費は絶対にケチったらいけないと思う。食費は工夫すれば削れるから」(34歳男性・技術職/子5歳・3歳)

「食費は安いスーパーでまとめ買いや工夫で乗り切る。教育費を削ると後でタラレバの後悔の種になりそう」(43歳女性・総務・人事・事務/子4歳)

(3)教育費は「投資」

「子どもの教育費は投資として削りたくない」(42歳女性・主婦/子14歳・10歳)

「ある程度の投資は必要かと」(46歳男性・総務・人事・事務/子15歳)

「将来の投資は削ることはできない」(46歳女性・その他/子9歳・7歳)

(4)子どもの望みをサポートしたい

「食費は安いものを探すこともできるけど、教育は子ども本人の望むことをさせてあげたい」(46歳女性・技術職/20歳)

「子どもには学びの選択肢を広げてあげたいから、お金は惜しまない」(51歳女性・総務・人事・事務/子28歳)

アンケートで「食費を削る」(教育費は削らない)を選んだ回答者のうち、19人が“将来”という言葉を使っていました。

一口に“教育費”といっても、学費のほかに学校外の習いごとや塾費用、体験費用などがありますが、将来のために、現在かかっている教育費を「減らすことができない」と感じているようです。

教育費のピーク期を控えている親については、教育費を「投資」ととらえ、何らかの形でその子の将来に還元されることを期待している傾向も見られました。同時に「ケチったら幸せになれない」など、教育と子どもの幸福度を結び付けている声もあります。

また、食費については、まとめ買いや工夫次第で「今より減らすことができる」との声もありました。

 

以上、「教育費と食費、どちらかを削らなければならなくなったら?」の回答をご紹介しました。

皆さんの考え方に近い回答はありましたか?

食事は、生存に必要な栄養をとること。教育は、教え育てること。現代社会で子どもを育てるためには、どちらにもお金がかかります。

今回のアンケートでは、お金を払って子どもが知識やスキルを修得する機会に“投資”したいと考える人がいる反面、お金を出して得られるメリットが不確定と考える人もいました。想定している理想の教育水準や、教育から得られるリターンが1人1人異なっていることがうかがえます。

皆さんのさまざまな回答から推測するに、このテーマは、おそらく夫婦間、親子間でも考え方が異なりやすいのかもしれません。身近に、反対意見をいとわない議論好きな人がいたら、この話題で語り合ってみてはいかがでしょうか。

北川和子
北川和子

自治体HP、プレスリリース、コラム、広告制作などWEBを中心に幅広いジャンルで執筆中。『kufura』では夫婦・親子のアンケート記事やビジネスマナーの取材記事を担当している。3児の母で、子ども乗せ自転車の累計走行距離は約2万キロ。地域の末端から家族と社会について日々考察を重ねている。

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