子育て世代の「暮らしのくふう」を支えるWEBメディア

オーストラリアの小学校に転校したら、子どもの英語力はどうなった?3カ月後の様子と習い事【シドニー教育移住レポート#3】

今年の1月から、一家でオーストラリア・シドニーでの教育移住を始めた、kufuraライターの橋浦多美です。連載3回目になる今回は、「オーストラリアの小学校に転入してからの勉強の進捗状況」と「習い事」についてお届けします。

転入から約3カ月…子どもたちの「英語」の進み具合は?

null

4月中旬からは、シドニーに来て初めてのスクールホリデー(秋休み)でした。シドニーの中心部を観光してきました!

今年2月から通いはじめたシドニーの小学校で、日本よりも少し早めにyear4(4年生)になった双子たち。最初の1週間は緊張していたものの、すぐに学校に慣れて友達もできました。

日本人が学年に1割弱いるため、困ったときは助けてもらっているようです。また、様々な国から来ている人が多いので、先生も英語が通じないことは承知の上で、どうしても伝えなければならない大事なことは翻訳アプリを使って伝えてくれるなど、文明の力も借りながら過ごしています。

東京では小1から週2回、英語の学童に通っていたけれど…

子どもには絶対に英語を身につけてほしい! いつかは子どもと海外で暮らしてみたい! そんな思いは双子が生まれた頃からありました。そのため英語教育は割と早い段階から取り入れていました。

幼稚園の頃は、年少から年長までの3年間は英語で習うモンテッソーリの教室に週1回、夏休みはサマースクールに通わせていました(コロナで中断していた時期もありました)。また小学校に入ってからは週に2回、放課後に英語で預かってくれる民間学童に行っていました。

親としては結構な時間を英語に費やしていたと思っていたのですが……、残念ながら双子にはその効果はあまり出ていなかったようです。個人差があると思うので、できるお子さんは何をやってもできるのでしょうが、我が家の場合は、シドニーに来て学び直しという感じになっています。

ただ、シドニー行きが決まって、少しでも英語に触れさせようと、日本にいるころに英語で話しかけても、「わからないから日本語で話して」と言われてしまっていましたが、最近ではわからなければ「Sorry?」「Pardon?」と英語で聞き返したり、身振り手振りで単語を並べてきたりと、少しずつこの環境に慣れてきているように感じます。スーパーに買いものへ行った際には「Do you have~?」と、商品があるかどうかを店員さんに聞くなど、一歩ずつですが前進しているように思います。

学校では「サポートクラス」で英語の授業

双子が通う学校には多国籍の子どもたちが在籍しています。母語が英語ではなく、来たばかりで英語がわからない生徒たちには、EAL/D(English as an Additional Language or Dialectの略)と呼ばれるサポートクラスの授業があります。これはシドニーがあるニューサウスウェールズ州の公立小学校、中学・高校が行っている、英語の基礎の学習が必要だと判断された子が受ける授業です。

基本的にはこちらの「英語」の授業の間に別教室で行われています。また、他の教科の算数や社会、理科などはこちらの生徒と一緒に英語で通常の授業を受けています。

英語のサポートクラスには新しい人がどんどん入ってくるので、長くてもいられるのは大体1年間くらいらしく、日々きちんと取り組まないと後から辛いよといい聞かせて頑張ってもらっています。

学校の最初の面談では、「半年は英語や学校生活に慣れるのが大変です」と言われました。大人と違って、子どもの語学の学習スピードは一般的に早いので、半年くらいで少しずつ英語もわかるようになってくるし、日本とは違う常識や学校生活の過ごし方など、身の回りのことも慣れてくるとのことでした。

しかし英語に関して言えば、家では日本語がメインのうえ、学校でも日本語が割と聞こえてくる環境なので、個人的には、もう少し時間がかかるような気がしています。

私の周りで留学経験がある人や帰国子女のお友達の話を聞いても、最初の半年は言葉がわからず辛かったという意見が多かったので、「石の上にも3年」ならぬ、「石の上にも半年?」と思って頑張って欲しいです。

シドニーでの「習い事」事情

null

東京にいた頃は、週2回の英語に加えて、水泳、算数、スケートボードを習っていました。合計で週5回の習い事があり少し忙しすぎるのではと、シドニーではペースを落としたいと思っていました。

こちらは東京に比べてもう少しのんびりなのかなと勝手な想像をしていたのですが、ここで産まれ育った地元の子も、移住や転勤で来た子も、思ったよりもたくさんの習い事をしていて、結構忙しそうな印象です。

地元の人は、共働き家庭が多いので、放課後は民間学童のような預かりを含めた習い事やスポーツなどに通っている人もいます。また放課後に行われている学童のような預かりでは、追加料金を払うとチェスやロボティクス、アートなどのアクティビティに参加することもできます。

ここに来ても日本の勉強に対する姿勢はすごい…

英語で習う算数はまだまだ苦戦中。日本の勉強はいただいた教科書を使って少しずつ自主学習です。

お勉強系に関しては、我々は日本の中学受験を回避したいと思ってこちらに来たので、シドニーではガッツリとした塾に通うことは考えていませんでした。

ただ、何かしらの勉強のサポートは必要だと感じていて、探してみると、日本ではお馴染みの、公文(KUMON)、学研(GAKKEN)、また大手受験塾と提携している塾など、通えそうな範囲にいくつかありました。

このような日本の習い事や塾がワールドワイドに広がっていることに驚きましたが、日本人をはじめとして、特にアジア圏と関わりのある子どもたちは、幼稚園や低学年の早いうちから勉強を習い事として取り入れている印象です。

また、シドニーでも日本の中学受験の合格速報などを目にすることもありました。双子にはできれば大学は海外の大学に行ってほしいと思っていることもあり、英語がある程度身についたら、日本の勉強方法のいいところはそのまま受け継ぎ、現地の人が取り組んでいるような思考中心の勉強法も取り取り入れてほしいと思っています。

こちらで生まれ育っている地元の人々も教育には関心が高く、High schoolと呼ばれる日本の中学・高校に当たる学校をどこに行かせるかにも注目していて、やはりどの国も親は子どもの教育に熱心なのだなとも感じました。

いろいろと調べたり見学をしたりして、我が家は算数の塾に通うことに。先生は英語と日本語のバイリンガルですが、テキストは英語で、なるべく英語で教えてくださいとお願いしています。

また、定員がいっぱいで日本語補習校には通えていないので、こちらの領事館からいただいた国語の教科書を使って、私が国語を教えています。日本の理科や社会は、一応日本のオンラインで勉強してもらうようにはしていますが、時間的にはそこまで手が回らない状況になってしまっています。

スポーツや文化的な習い事も盛りだくさん!

シドニーには至る所にビーチがあります。ここではライフセービングのスクールなども行われています!

スポーツや文化的な習い事もたくさんあります。こちらで人気なスポーツは、テニス、クリケット、オーストラリアンフットボール(AFL)、ラグビー、サッカー、水泳、空手など。バレエや新体操などに通っている女の子も多いです。また、アートスクールや、ピアノなどの芸術系も人気ですし、母語が英語ではない人は、学校とは別に英語を習っている人もいます。習い事もお勉強同様に、英語で行う習い事に行っている人もいますし、逆に日本語でさせたいと日本語での習い事に行く人もいます。

ただ、違うのはお値段です。もう、とにかく物価が高い! 日本と比べると、オーストラリアの給与水準はとても高いのです。2023年11月のフルタイム労働者の1週間当たりの賃金は、全国平均で、1888.80オーストラリアドル(2024年4月現在1オーストラリアドル=99円)なので、これを1カ月単位で換算すると、平均月給約75万円と日本に比べてかなりの差があります。人件費が高いので、習い事の費用も当然高くなってしまうのです。

つまり、一つ習わせても月謝が日本の倍以上かかってしまうことが多いです。私の周りでは、サッカー、テニス、水泳、空手、ダンス、バレエや新体操などの習い事も人気です。シドニーでは家にプールが付いているお家も結構あるのですが、水泳は、家のプールに先生を呼んで教えてもらっていることも珍しくありません。家のプールであれば、施設に関する費用はかからないので、兄弟姉妹や友達同士で人数を集めて割安にし、お金と送迎時間の節約につなげている人もいます。

4月上旬まで楽しめたシドニーのビーチ。物価の高いシドニーで気軽に遊べる場所のひとつです。

我が家は、オーストラリアでは残念ながらあまり盛んではないのですが、双子が野球をやりたいと言っているので、シーズンが始まったら現地の少年野球クラブに行く予定です。また、双子は水泳が得意なので、いずれは水泳もやらせたいと思っています。シドニーはライフセービングも盛んなので、水泳をベースとしたライフセービングなども日本ではできない良い経験になるのではと考えています。

このように、シドニーには習い事は種類もたくさんあります。日本と同じものはもちろん、オーストラリアならではというものもあるので、子どもとお財布と相談しながら取り組んでいきたいと思っています。

シドニーに来て早3カ月、少しずつですが、子どもは勉強も身の回りのことも前進しています。来月(6月15日公開予定)は、「シドニーのママ友事情と大人の暮らしぶり」についてご報告したいと思います。

参考:Average Weekly Earnings, Australia(Australian Bureau of Statistics)

橋浦多美
橋浦多美

大学卒業後OLから25歳でアナウンサーへ転職。テレビ、ラジオ、司会等を中心に現在はフリーのアナウンサーとして活動中。得意分野は家計経済で、暮らしがよくなるお金との付き合い方を日々考えています。FP、宅建士、ビジネスマナー検定、食生活アドバイザーなどの資格を保有。双子男児の母。

pin はてなブックマーク facebook Twitter LINE
大特集・連載
大特集・連載