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中受しない選択をしてシドニーの公立小に転校した双子。学校が始まって早2カ月!【シドニー教育移住レポート#2】

1月に一家でオーストラリア・シドニーに教育移住をしたkufuraライターの橋浦多美です。先月より始まった我が家のオーストラリア移住連載。1回目は、「なぜ教育移住をしたのか」についてお伝えしましたが、2回目の今回は「子どもたちの学校生活の様子とシドニーの教育システム」についてご紹介します!

実際に学校に通い始めて2カ月…子どもの様子

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さすが移民の国!生徒たちは多国籍

我が家の双子は、この2月からシドニーの公立小学校に通いはじめて早2カ月が経ちました。日本でも1年生から3年生の3学期途中まで公立小学校に通っていましたが、同じ公立でも色々な違いにびっくりすることや、なるほどと感心すること、ここはちょっと……とさまざまな感想があります。

一番驚いたのは、英語を母語としない人がなんと半数以上! 日本、韓国、中国、香港、インドなどアジア圏はもちろん、ヨーロッパや南米、中東など20以上の国籍の人が通っています。

シドニーはもともと日本人が多い上に、新型コロナウイルス感染拡大が落ち着いて、駐在員の方もどんどん増えてきているようで、子どもたちの学校にも結構な割合で日本人がいます。学年によって違いはありますが、我が家の学年year4 (日本でいうと4年生)は1割弱います。

すると、どうしても日本人同士では日本語を使ってしまうので、正直、思っていたよりも英語の習得はゆっくりのぺースになってしまっています。とはいっても授業は英語だし、サポートクラスもあるし、日常触れるものが英語なので、少しずつ進歩していると思いたいところです。

車社会のオーストラリア。通学は公共のスクールバスを利用

朝の通学時間帯は学校前に停車するスクールバスが出ます。学校ごとではなく、近隣の学校を経由するような形です。バスに乗り慣れていない我が家は初日は心配でした。双子でよかった……と思いました。

苦労しているのは通学。我が家の場合は、学校から近いところに部屋が借りられなかったので、車での送迎を予定していましたが、車がとても高いのでまだ買えていません。

また車で送迎をすると、学校前の駐車場は大混雑。駐禁の取り締まりも厳しいので、車での送迎はどうしようかと迷ってもいます。

学校までの距離は1.4キロ、基本スクールバスを利用し、気分によっては時々歩いて通学しています。シドニーは東京ほど電車が便利ではなく、バスがメインの公共交通手段と言っていいほどバスが便利です。学校の始業時間に合わせて、最寄りの電車の駅から学校前で停車する公共のスクールバスが出ているため、それを利用しています。

東京では学校が近かったですし、通学路にも見守りの方がいて、危ないと感じたことはなかったのですが、こちらは東京よりも明らかに車社会。また制限速度が日本よりも速いので、道を歩いていても危ないと感じることがしばしばあります。

他には、自転車やキックボードで来ている子も。移住前は、「オーストラリアはスケボーで通学している人もいるらしいよ……」と聞いていましたが、スケボーは都市伝説だったのか、まだ見かけていませんね。

授業は3セッション、基本宿題なし!

授業は、英語、算数、理科(Science and Technology)、芸術、社会(Human Society and Its Environment)、宗教と倫理、心身発育と保健体育……など。1時間目は9時〜11時、休憩を挟んで、2時間目は11時半〜13時15分、ランチを食べて3時間目は14時〜15時で毎日15時に終わります。こちらの学校は自由度が高いので、授業の合間にもトイレに行きますし、小腹が空いたらスナックをつまむ人もいます。生徒だけでなく、先生もフルーツを食べたりするようで、いろいろなことに厳しくないイメージです。

また、日本では毎日出ていた宿題のようなものはありません。宿題が全くないのは少し抵抗があるのですが、代わりに本を毎日20分以上読むことを推奨されています。学校でも毎週、図書の日が設けられていて、学校の図書館で本を借りてきますが、読む本は図書館で借りたものでも、家にある本でも良いとされています。

こうやってみると日本の学校は早い段階で知識を積み上げるように感じるところもあります。例えば日本では九九の掛け算なども小学校低学年でどんどん暗記をさせて覚えましたが、こちらはなぜそうなるかという過程を重視していて、答えにたどりつく前に自分で考えさせるように教えている印象です。

この先、進級するにつれて、進み具合のギャップは埋まっていくようですが、現時点で何を勉強しているかを子どもから聞いた時には、そのペースに少し驚きました。どの角度からどう勉強するかによって、様々な違いがあるものだなと思いました。

給食はなく弁当とおやつ、飲みものは持参

ハンバーガー、サンドウィッチなどいろいろ試しましたが、結局日本スタイルの弁当ばかり持っていきたがります……。
フルーツ、ジュース、スナックなど「リセス」と呼ばれる11時のスナックタイムに食べます。いろいろ持たせるのもワンパターンになりがちに。もう少し体にいいものも持たせたい〜と思います。

授業時間は9時から15時ですが、午前に「リセス」というおやつの時間があり、持参したフルーツやスナックを食べ、その後1315分からランチの時間が設けられていてお弁当を食べます。暑い国ですから、飲み物は水筒を持参しますが、なくなったら給水機を利用することもできます。

日本のように給食はありませんので、食べるものも基本的に持参ですが、学校の中には「Canteen(キャンティーン)」と呼ばれる食べ物や飲み物、スナックの購買があるので、ここで事前にオーダーして購入することも可能です。双子は今、Canteenにハマっていて、巻き寿司、パスタ、ハンバーガー、サンドウィッチなどに挑戦中です。

日本食が基本大好きなのと、食べたことのないものにはなかなか手が出ないので、「みんな食べているからCanteenのもの食べてみようよ!」と勧めて、少しずつこちらの食事にも慣れてもらうようにしています。日本では給食でしたから、栄養が考えられて、いろいろな調理工夫がされて、あの手この手でいろいろなメニューが出ていたので、振り返るととってもありがたいシステムでした。こちらにも給食がほしいですね。

日本語補習校で日本語のサポートも

学校は月〜金ですが、日本人は週末、土曜または日曜に、日本語補習校に通っている人がほとんどです。日本語をサポートする教育として日本の外務省が在外教育施設として認可しているもので、こちらの小学校の教室を借りて、日本の教科書を使って国語を勉強しています。

我々も通う予定だったのですが、なんと便利な場所は満席で入れず(こんなことなら早い段階でウェイティングをすればよかった)、他を探すとなると通学がかなり大変なので今のところどこにも行っておりません。こうなったら席が確保できるまで、自力で教えるしかなさそうですね。土曜、日曜に時間を取られないのは助かりますが、学年が上がってくれば、自力で教えるのも難しくなってくるでしょうし、今は早く順番が回ってくることを願っています。

シドニーの教育システムとは?

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皆さんご存じのようにオーストラリアはとにかく広い! 広い国土は6つの州とその他の特別地域に分けられ、我々が住んでいるシドニーは、ニューサウスウェールズ州(以下NSW)というところにあります。オーストラリアの学校はこの州ごとにシステムが違うので、今回はシドニーがあるNSW州についてご紹介します。

義務教育は6歳〜15歳

こちらの小学校は「Primary school(プライマリースクール)」と呼ばれ、その前に準備学年として「Kindergarten(キンダーガーテン)」 、略して「Kindy(キンディー)」があります。Kindyは、入学年の731日までに5歳になる子が対象です。集団行動や簡単な読み書きなどを学び、そのままPrimaryに進みます。Primary6年間でyear1~6に分けられます。

日本でいう中学と高校は、「Secondary school(セカンダリースクール)」と呼ばれ、year7〜12までの一貫教育です。義務教育はyear10までですが、大半はyear11、12まで進み、大学などに進むことになります。PrimarySecondary schoolは公立、私立ともにあり、Primaryに関しては、シドニーでは日本人学校もあります(こちらでは日本人学校は私立扱いになります)。

ビザによって公立学校でも費用が発生

こちらの永住権を持っている人は、基本公立学校は無料ですが、外国籍でビザを保有して住んでいる場合、ビザの種類によって異なる費用が発生します。我が家の場合、小学校は学年によって年間約$5,0006,000(2024年3月現在、1オーストラリアドル=約98円)です。ビザの受け入れ人数の範囲も決まっているようです。

私立はいろいろなカリキュラムがありますが、授業料はとても高いので、双子は元々現地公立校に入れようと考えていました。学校探しをしている中で、「そのビザはもういっぱいです……」といくつも断られるという事態に。10以上の学校に問い合わせをしたものの、結局受け入れ可能だったのは2校のみでした。

新学期は2月。4学期制+4回の長期休み 

日本の小学校でいえば、この4月に小学4年生に進級する年の双子は、Year4に在籍しています。学年の区切りが日本とは違うので、日本では同級生になるはずの5月生まれの子が、上のクラスになっている場合もありました。新学期は2月で、4学期制、1年間に4回の長期休みがあります。

この休みが多いのがなかなか大変ですね。ホリデー期間中に特別に行われる習い事などもありますが、とにかく高い! 1万円札があっという間に飛んでいく感覚です……。日本の児童館のような場所があったらな〜と心から思いますし、振り返れば、日本の子育てに対する支援はものすごく厚かったな〜とため息が出ます。

学校ごとに制服あり。毎日制服で通学

学校指定の制服、靴下、かばん、帽子で通学します。オーストラリアは日差しが強いので、帽子のつばは広いデザインです。

シドニーの学校は基本的に制服着用です。今は夏服で、男子は半袖シャツと短パン、女子はワンピース、4月終わりのTerm2から冬服に変わります。服の他に靴下や帽子、体操服、学校リュックなども学校のロゴが入っているものです。オンラインでも、制服販売をしているショップに行っても購入できます。我が家はサイズがわからなかったので、制服ショップで購入。学期始まり直前に行ったら大混雑。早めに準備をしないとですね。

学用品は全て自腹で準備

iPadはダウンロードするものなども決められています。 

日本の学校との違いはいろいろあるのですが、学校が準備してほしいものは自分で用意するというのも結構驚きでした。今回準備したのは、色鉛筆、マジック、のり、定規、ハサミ、セロテープなどの日常使うものの他に、大きい出費となったのがiPadiPad用のキーボード、イヤホンなどです。これらは全部自腹で購入です。

東京にいた頃は、iPadは学校からの貸与だったし、色鉛筆、クレヨンなどは全てではないものの、学校から支給されるものも多かった……。2人分を用意したので、これだけで結構な出費となってしまいました。

IT化が進んでいる

世の中のIT化はどんどん進んでいますが、そうはいっても東京の学校ではお知らせが紙できたり、教科書自体も紙だし、ノートは手書きだし、まだまだ紙文化が残っていた印象です。ここシドニーでは、IT化がかなり進んでいます。学校のお知らせも全てアプリやWebサイトからきますし、子どもが通っている学校では教科書は一切なし! 全てiPadでの授業です(iPad授業のテスト校になっているようで、全ての学校がiPad授業ではありません)。

先日は子どもと親と先生の三者面談があったのですが、その時は子どもがiPadで作ったパワーポイントを使って、今学期勉強したこと、これからの学習ゴールなどをプレゼンするという内容でした。毎日iPadを持ち運びするのが少々重そうですが、もはや、私よりもiPadに詳しくなり、使いこなしている印象です。

アフタースクールもあります

シドニーの共働き率は高く、日本でいう学童のようなアフターケアを利用している人も多いです(なんせ物価が高く、共働きパワーがかなり必要)。これも日本のように1カ月いくらというようなシステムではなく、1カ月フルで利用すればかなりのまとまった金額になります。

また長期のお休み期間中も利用できます。永住権保持者は利用料金が年収によって社会保障でカバーされるのですが、我々のようなビジネスビザでは補助は一切ありません。仕方がないとは思いつつ、正直懐がいたみますね。

 

こちらに来て2カ月、子どもも私もまだまだ慣れないことばかりで、周りに教えてもらいながら少しずつ進歩している感じです。何がわからないかがわからないという状況でもありますが、子どもが学校を楽しんでくれているのは幸い。毎日「今日も楽しかった〜」と元気に帰ってきてくれるのが励みです。

来月(5月15日公開予定)は、子どもたちの勉強の進捗状況と、習い事についてお届けする予定です。

橋浦多美
橋浦多美

大学卒業後OLから25歳でアナウンサーへ転職。テレビ、ラジオ、司会等を中心に現在はフリーのアナウンサーとして活動中。得意分野は家計経済で、暮らしがよくなるお金との付き合い方を日々考えています。FP、宅建士、ビジネスマナー検定、食生活アドバイザーなどの資格を保有。双子男児の母。

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