得るものは大人になっても大きい!「習い事をさせてくれた」
null子どもがある程度大きくなると、親も子もさまざまな習い事に興味を示すもの。しかしどんな習い事もある程度の月謝がかかり、場合によっては送迎等が必要になることもあります。親の負担も増えますが、それをありがたいと感じている人は多いようです。
「そろばんを習わせてくれた。暗算が日常生活に役立つときがちょくちょくあるので、その点はありがたいと思う」(55歳男性/学生・フリーター)
「好きな野球をずっとやらせてもらったこと。社会人としての生活に活きていると思う」(38歳男性/その他)
「英語を教えてくれたことで、会社で出世できました」(33歳男性/営業・販売)
「習い事をたくさんさせられて当時は嫌だったんですが、友達のいないところでの習い事が多かったので、コミュ力はつきました。それはありがたいと今は思ってます」(54歳女性/主婦)
習い事は身について役に立つものもあれば、まったく身にならないものもあります。数多くやればいいというわけでもなく、当人のやる気と習い事との相性もあるので、やってみなければ分からない部分も。
しかしこういった声を聞くと、より一層「子どもが興味をもつことは積極的にやらせてあげたい」という気になるかもしれません。
やはり食育は重要!?「毎日ご飯をつくってくれた」
null「食育」という言葉が一般化したのは2000年代のはじめ。2005年には食育によって国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性を育むことを目的としている「食育基本法」も成立しています。今回の結果をみても、子どものうちから育ってきた“食”に関する記憶は、大人になっても想像以上に深く刻まれるようです。
「毎日帰ってきて温かいご飯が用意されているのがありがたかったです。今は私が作らなければ誰も用意してくれません」(41歳女性/主婦)
「ちゃんとしたものを食べさせてもらったので、舌は正常で食べ物への好き嫌いがなくなった」(55歳男性/コンピュータ関連)
「外食を殆どせずにおうちごはんばかりの両親ですが、それがしっかり染み付いてひとり暮らしの今でもほぼ完全自炊。お金が溜まりやすい」(45歳女性/営業・販売)
「毎日ボリュームのあるご飯とお弁当を作ってもらえたこと。一人暮らしをしてからありがたみがわかりました」(29歳女性/総務・人事・事務)
近年は共働きで忙しい母親も増えており、じっくり手間暇かけて食事を作ることが難しい家庭も珍しくありません。とはいえ冷凍技術なども進化しており、少ない手間で美味しい食事をつくることもできます。“手抜き”ではなく“手間抜き”によって、無理せず美味しいご飯を用意できればいいのではないでしょうか。
大人になっても恥をかかない「礼儀やマナーを身につけさせてくれた」
null食事をはじめとする日常生活において、さまざまな礼儀やマナーが存在します。しかし学校ではあまり教えてもらえず、各家庭のしつけや教育方針によって、マナーが身についているかどうかの差が出てしまいます。子どもの頃はその重要性に気が付かなくても、大人になって分かることが多いようです。
「箸の持ち方。しっかり教えてもらえたのは、本当に良かったと思う」(43歳男性/その他)※他多数
「食事のマナーに厳しかったので大人になって恥をかくことなく過ごせていて感謝している」(35歳女性/総務・人事・事務)
「挨拶は会釈だけでもいいからきちんとするように母親から厳しく教えられた。今もそれが生かされています」(52歳男性/その他)
「靴を並べる習慣は今となってはよかった」(37歳女性/その他)
特に多かった意見は箸の持ち方をはじめとする“食事のマナー”。知らない、できないと大人になって恥ずかしい思いをすることも少なくありません。やはり子どものうちから身に着けておくと、大人になって苦労することがないように感じます。
旅行やレジャーなど「いろいろなところに連れて行ってくれた、経験させてくれた」
null子どもが大きくなるのはあっという間。子どもたちが親と一緒に喜んで旅行や遊びをしてくれる期間は、案外短いものです。特に思春期になると「親と一緒なんてウザい」なんて言い出しかねません。しかし大人になって振り返ってみると、子どもの頃の親との想い出が強く心に残るものなのです。
「いろいろな県に連れて行ってもらって、さまざまな体験をしたので、旅行の際にどのような遊び場があるか把握できる」(22歳男性/技術職)
「GWには近場で行けるところに日帰りか1泊の旅行に連れていってもらったり、週末等ちょっとした時間で夏場はプールに、冬場はスケートに連れていってくれた」(43歳女性/その他)
「夏休みや冬休みなどはあちこち旅行に連れて行ってもらった。自分が大人になってからは旅費や同行者の問題などなかなか行けないので、ありがたかったと思う」(53歳女性/金融関係)
「家族での旅行は子どもの頃はそこまで嬉しくなかったが、大人になってみると、どれも歴史のある場所に連れて行ってもらっていた事に気づいた。大河ドラマなどを楽しめる年齢になると、あの時の親が経験させてくれたことは本当に良かったと思う」(44歳女性/主婦)
今回「子どもの頃はうれしくなかった」「子どもの頃は分からなかった」といった旅行やレジャーの話がちらほらありました。素直に喜んでもらえないのは親にとって複雑ですが、大人になってその良さがわかることもあるとしたら、親も連れて行った甲斐があるというもの。とはいえそこまで見越してプランを立てるのは、なかなか高レベルです。
「厳しかった」「自主性を尊重してくれた」などの教育方針
null自主性を尊重してくれることが良かったと感じる人もいれば、厳しく育ててくれたことを良かったと感じる人もいる。今回寄せられた親の教育方針は本当にさまざまでした。そこに正解はなく、だからこそ子育ては難しいのだと感じます。
「決定に口を出さず自主性を尊重してくれていた」(38歳男性/出版・マスコミ関係)
「厳しく育ててくれた。勉強の大切さを伝えてくれた」(26歳女性/主婦)
「子どもの頃、母親に嘘をつくなと怒られた。大人になり責任というものもでき、些細な嘘が大事件に発展する様を目の当たりにして母親に言われた事を思い出し改めて嘘はダメだと思い知らされた」(46歳男性/技術職)
「なるようになる、考えても無駄!とよく言われたこと。ポジティブ思考になり小さい事でくよくよしないようになれた」(51歳女性/主婦)
「なんでもメリハリをつけることを教わった。言動が柔軟に変化できるようになったかなと感じる」(31歳男性/総務・人事・事務)
ほかにも「冷たい態度やトラウマになる事をたまに言われた。自分が親になってから子どもがどんな事がトラウマになるかなんとなくわかっている気がするのである意味良かった」(36歳女性/主婦)といった、反面教師として「良かった」といったケースも少なくありませんでした。親も人間だから完璧ではないのですが、どんな言動が子どもにとっていい影響になるのか予想もつきません。
今回は現在20~50代の男女が対象のアンケート調査となっており、そこから逆算すると親の年代はおそらく現在50代~80代くらい。昭和世代のど真ん中で、今とは時代も価値観も違うことも少なくはありません。当時は正しいとされていたことが令和の時代はNGなこともきっとあるはずで、すべてをマネできるものではないのかもしれません。
しかしいつの時代も共通しているのは「親が子どもを想う気持ち」。いい子どもに育って欲しい、幸せになって欲しいとの願いによっていつの時代も試行錯誤をしているように思います。その気持ちさえあれば、きっと子どもに伝わる。そんな気持ちで日々、子育てを頑張りたいものです。
東京都出身、千葉県在住。短大の春休みより某編集部のライター見習いになり、気が付いたら2022年にフリーライター歴25年を迎えていた。現在は雑誌『DIME』(小学館)、『LDK』(晋遊舎)などで取材・執筆を行うほか、『kufura』などWEB媒体にも携わる。
執筆ジャンルは、アウトドアや子育てなどさまざま。フードコーディネーターの資格も持つ。