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「自己肯定感が高い」と自覚している女性が日々の中でしていること、大切にしていること

近年さまざまな媒体で目にする“自己肯定感”の由来は、英語の“self-esteem”。日本に流入後は “自尊感情”“自己肯定感”などと訳され、おもに教育分野で使われてきました。2010年代には“自己肯定感”が大人向けの自己啓発本やビジネス書でも頻出キーワードとなっています。

自意識におぼれず、自己嫌悪に陥らず、ありのままの自分自身を受け入れて肯定することは、年の数が増えても難しいと感じている人が多いことの表れなのかもしれません。

今回『kufura』編集部は「自己肯定感が高い」と自覚している大人の女性に、個々の自己肯定感を高めている要素について自己分析してもらいました。

「自己肯定感が高い」と自覚している人に、自己分析をしてもらったら?

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『kufura』編集部は、20~50代の女性323人にありのままの自分を受け入れて肯定する感覚(自己肯定感)の度合いについて質問し、「(自己肯定感が)とても高い」「やや高い」と回答した女性114人(35.3%)を抽出しました。

さらに、114人の女性に自己肯定感を高めている要素について自己分析してもらいました。

回答を読み込んでいくと、高めに安定した自己肯定感を支えている、11の“ヒト”“コト”“モノ”がありました。

1:「いろいろな正解」「いろいろな価値観」

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まず最初は、いろいろな意見や価値観を知る、という意見です。

「いろんな意見があることを認識することで、優劣ではなく多様であるだけである、と考えるようになった」(41歳・営業・販売)

「文学や音楽の詩など、様々なアーティストの思想や思考に触れ、自分でも色々考えられるようになった」(51歳・その他)

「偉人の失敗談を思い出して、ネガティブなことは気にしないようにしている」(51歳・その他)

自分の評価法について「〇か×か」だけではなく、グラデーション豊かな評価方法があることを他者の言葉や作品から知ることができた、という回答でした。

2:成功体験

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「筋トレをして痩せたこと」(27歳・金融関係)

「ダメだったスポーツを1つできるようになったらアレコレ別のものも挑戦したらできるようになった」(57歳・主婦)

「目標を達成した」「成功した」という実感で自尊感情が上向くきっかけになることもあるんですね。回答にある筋トレやスポーツは、目に見える結果や成長を見出しやすいので「今日もがんばった」「ちょっとできるようになった」の積み重ねで“心の体幹”強化にもつながっていきそう。

3:「コンディション向上」のきっかけ

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「落ち込んだ時は自分へのプチごほうび(好きなお菓子など)で自分をいたわる。気持ちが切り替えられるよう好きな漫画などで現実逃避する」(43歳・主婦)

「日々、読書やTVを見て感動して笑って、楽しく過ごすようにしている。それで、笑えること、感動できることは、今が幸せで、生きているからだと思うと、それだけでラッキーだと思える」(54歳・主婦)

“自己肯定感”は、時とともに少しずつ変動しており、その日のコンディションによっては「今日の自分が嫌い」なんて日もあるかもしれません。回答者は、調子が下降したときのために、自分の機嫌を上向かせる“傾向と対策”を用意していました。

4:経験の蓄積

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「1つの仕事を30年続けていること。持久力がついたと思う」(54歳・その他)

「ピアノを習っていてよかった。練習の仕方などは勉強の仕方などにも共通していて自信につながる」(42歳・主婦)

「子どもを3人育てたこと。主人の転勤が8回ほどあったが、たくましく生きてきた気がする」(52歳・総務・人事・事務)

「仕事での切磋琢磨」(45歳・総務・人事・事務)

「自分にはこの強みがある」「この経験をしたから何があってもそんなに動じない」というものがあると、ちょっとしたことでは自分への信頼感が揺らぎにくくなりそうですね。回答者から寄せられた経験は、仕事、人間関係、子育て、過去の苦労を乗り越えた経験など、さまざまなものがありました。

5:友人の存在

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「心許せる友達に出会えたこと。良縁が心の支えになり、結果、自己肯定感が上がった」(43歳・主婦)

「人生どん底に落ちたときの友人の言葉で、今しかできないことをしよう、時間は有限だと意識するようになった」(32歳・その他)

自信を失いかけたとき、悩んでいるときに支え合える友人の存在で、自己評価の下降を食い止められるケースもありました。

6:他人からの言葉

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「ご利用者からかけていただける言葉。“なんかほかの人とは違うのよねー”“この仕事はほんとに素晴らしいからぜひ続けてね”など。この仕事は天職じゃないかしら」(56歳・その他)

「複数の知人から“賢い、地頭が良い”と褒められたこと。今まで意識はしていなかったが、自分の強みを認識するきっかけとなった」(30歳・会社経営・役員)

他の人のほめ言葉で自信が強化されたケースです。自分の長所を気づかせてくれる他者の存在も、他者のほめ言葉を素直に受け取ることも、どちらも大切なのかも。

7:他人の優しさ

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「失敗しても周りの人にたくさん助けてもらった経験があるから」(54歳・主婦)

「もともと、親からいつも否定されてかわいがられなかった。親から得られなかった愛情は友達からもらい、いつも周りから褒めてもらったり頼られるようになり、次第に自己肯定感が高いほうに変わっていった」(52歳・主婦)

失敗を許してもらったり許したりできる温かい人間関係の中で、自分自身を肯定できるようになることもあるようです。

8:配偶者の存在

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「否定しないでいてくれる夫と出会ったこと。卑下しすぎることはないんだと思えたから」(29歳・主婦)

「夫が素晴らしい人であるということ」(46歳・その他)

配偶者や家族、ルームメイトなど、等身大の自分を受け入れてくれる身近な相手の存在が、等身大のままで過ごす時間を心地よくしてくれそうですね。

9:嫌なできごと・失敗との折り合い

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「1日悩んだりくよくよしたりして、あとは忘れるようにする」(52歳・主婦)

「失敗してしまうと落ち込みくよくよしてしまうが、起きてしまったことは仕方がない、変えられないということを自分に言い聞かせ、ポジティブな方向性を考える」(50歳・主婦)

「こんなもんだろう。仕方ないでかたづける」(42歳・その他)

何かあれば失敗したり落ち込んだりするけれど、“早めに忘れる”“引きずらない”という声です。ここまでの回答を振り返ると、「自己肯定感が高い」と感じている人は少し弱ったときの持ち直し方が上手な印象を受けます。

10:家族の記憶

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「親の影響が強い。あまり人格を否定するような事はしない」(36歳・営業・販売)

「うまくいかないことがあっても、自分の中に大事にしまってある家族とのいい思い出を思い出して自信を取り戻すようにしている」(54歳・その他)

過去の思い出が自分の心の基盤になっていることを実感している人もいました。条件付きの愛ではなく、無条件に愛された記憶が時を超えて現在の支えになっていることも。

11:自己暗示

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「他人との比較をしても意味がないと自覚する」(41歳・営業・販売)

「何事も前向きに考えるようにしている。“失敗してこそ成功の道を導ける”と考える」(43歳・その他)

後ろ向きな気持ちに傾いたときには自分を励ましたり、鼓舞したりして、前向きな考え方を習慣化するように務めている、という声でした。

 

以上、高い自己肯定感を支えている11のことについてお届けしました。

自己肯定感については「自分“が”自分のことを肯定する」「自分“が”自分を好きでいる」など、“自分”を主語とする説明が見られます。

今回の回答を見ると、身近な人間関係の空気や、投げかけられた言葉も自己肯定感に影響しているように感じました。「自己肯定感=自分次第の感覚」と解釈されがちですが、“肯定に値する自分”になるために自分自身に課したたくさんの条件を、少しずつ軽くしてくれる言葉・人・居場所の存在も重要なのかもしれません。

北川和子
北川和子

自治体HP、プレスリリース、コラム、広告制作などWEBを中心に幅広いジャンルで執筆中。『kufura』では夫婦・親子のアンケート記事やビジネスマナーの取材記事を担当している。3児の母で、子ども乗せ自転車の累計走行距離は約2万キロ。地域の末端から家族と社会について日々考察を重ねている。

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