母親になってから「自己肯定感」どう推移した?
nullまず、子どもが生まれてからの自己肯定感(ありのままの自分自身を認め、受け入れる感情)がどう変動したのかを聞きました。
【自己肯定感の推移】
上がった・・・30.1%
下がった・・・7.2%
いったん上がったあとに下がった・・・6.0%
いったん下がったあとに上がった・・・4.8%
上がったり下がったりを繰り返している・・・23.0%
変わらない・・・28.9%
“母親”という属性が加わって自己肯定感が増したケース、逆に自信を失ってしまったケース、自己肯定感が上がったり下がったりするケースなど、さまざまな変動パターンが見られましたが、41.0%が一時的であっても「自己肯定感が下がった」経験があると回答しています。
それでは、どんなときに自己肯定感が損なわれ、そしてどんなときに回復する傾向があるのでしょうか。
個々の体験からそのヒントを探っていきます。
自己肯定感が「下がりやすい」のは、どんなとき?
null自己肯定感が下がってしまった背景には、以下のようなシチュエーションがありました。
(1)育児の理想と現実のギャップに直面したとき
「出産前に“子どもにはこうしてあげよう”“こういう親でいよう”と思っていましたが、実際に産んでみると色々考えていた願望は見事に崩れていった。子どもの要望にちっとも答えてあげられないし、子どものわがままはひどくなる一方だしで、自己肯定感は下がる一方です」(43歳・主婦/子9歳)
「長男出産後は子育ての理想と現実のギャップに自信をなくしました。保育園に入れてからも働き子育てする大変さに自信をなくしました」(42歳・主婦/子10歳・6歳)
「専業主婦になり、家事育児に専念しているが、全てを完璧にできないと自分はだめな人間なのではないかと自己嫌悪に陥る」(29歳・主婦/子6歳・5歳)
(2)物事が思うように進まないとき
「育児が上手くいっていると感じる時は上がるけど、思うようにいかないと下がる」(29歳・金融関係/子0歳)
「家にいてすぐ怒ってしまったり、なかなか遊んであげられなかったりすると肯定感が下がります」(25歳・主婦/子3歳・0歳)
「母親になってから、楽しみも倍増しましたが、思い通りにいかないことも増えて、自己肯定感は上がったり下がったりの繰り返しです」(32歳・総務・人事・事務/子3歳)
「自分のことだけで精一杯だったのに、子どものこともしなくてはいけなくて、器量がないと改めて思った」(49歳・主婦/子21歳・15歳)
(3)出産前のように仕事ができないとき
「仕事をセーブすることが増えて、居場所がなくなったように感じた」(41歳・その他/子7歳)
「出産後は子どもを育てることに意義を感じ自己肯定感が上がったが、その後仕事をしていないことに無力さを覚え自己肯定感が下がった」(28歳・総務・人事・事務/子1歳)
(4)身内から否定的な言葉をかけられて
「姑に自分の感覚を否定されることが続いたから」(38歳・主婦/子12歳・7歳)
「自分の親が私を否定する人で、大人になってもまだ、否定される。自己否定をしてしまうが、歳を重ねるにつれ、上手くかわせるようになった事や、メンタルヘルスやコミュニケーション研修を通して自分を否定しなくなった」(49歳・その他/子7歳)
“理想の母親”や“理想の育児”と現実のギャップを感じたとき、子どもとの関係性が思うようにいかなかったとき、これまで愛着のあった居場所との接点に変化があったとき、身内から育児や感覚を否定されたときに「自分はダメだ」というような心境になってしまう傾向がみられました。
これまでの人生で刷り込まれた自分の“内”にある理想や、“外”からの“言葉”や環境の変化など、さまざまな要素が絡まっているケースも。
自己肯定感が「上がった」と感じるのはどんなとき?
null続いて、自己肯定感をどうやって保っているのか、下がったときにどう回復させているのか聞いてみました。
子育ての経験を通じて見出された、自尊心や自己肯定感の“トリセツ”(取り扱い方法)とは?
(1)高すぎた目標値を下げ、自分をほめる
「目標をかなり下に持つようにした。“立派に生かせているならそれで良し!”くらいの低い目標くらいだとそれなりにちゃんとできてるように思える」(43歳・主婦/子9歳)
「人は人、自分は自分。子どもは心身ともに健康に育ったじゃないか!と思うようにしたら、少しは気が楽になってます」(53歳・主婦/子23歳)
「がんばれるときに、がんばれることをしてみる(余裕がある時は散歩に連れ出すなど)」(29歳・主婦/子6歳・5歳)
(2)子どもと楽しいことをする
「育児をすることで子どもと一緒に成長できたような気がする。子どもと一緒に遊んだりたわいのないことで笑ったり楽しい時間を過ごす」(45歳・主婦/子15歳・13歳)
「子どもを怒ってばかりだと自己肯定感は下がるが、2人で買い物に出掛けたりして、楽しい思いをすると上がる」(37歳・主婦/子3歳)
(3)他の人と交流して「ネガティブな感情」を薄める
「たくさんの人と出会い、いろいろな話をよく聞くことで、人の考え方や生き方を学ぶことができた」(43歳・その他/子11歳・9歳)
「いろいろな人達と話し合い、子どもの養育に悩む気づきを得ることで自己肯定感を回復した」(58歳・主婦/子36歳・33歳)
「いろんな人の意見を聞く」(40歳・総務・人事・事務/子11歳)
「いろんな人と話したりいろんな子どもと遊ばせたりすること」(39歳・その他/子7歳・5歳)
「同じ世代の子どもをもつママ友の話を聞いて、同じように悩みながら子育てに取り組んでいる姿を見て、安心することで自己肯定感を高めた」(32歳・総務・人事・事務/子3歳)
「いろんな人から話を聞き、世の中いろいろだと諦めを持つこと」(31歳・その他/子3歳)
「つらい時はゆっくりと寝る」(49歳・主婦 /子21歳・15歳)
(4)誰かに相談する
「子どもが産まれて、今までできていたことができなくなって自己肯定感が下がることばかり。だけど、旦那や母子健康センターの方、近所のおばあちゃんなどに“あなたはよくやってるわ” といわれると、認められたような気がしてその瞬間は自己肯定感が上がる」(31歳・主婦/子2歳)
「子育てで悩んでいることを相談機関に相談して“大変で当たり前”などと言われたことで、自己肯定感が安定した」(52歳・主婦/子12歳・9歳)
(5)ネットで同じ悩みを持つ人と交流
「インスタグラムやSNSで同じ悩みの人の意見を聞いた」(33歳・主婦/子7歳・5歳・3歳)
「インスタグラムで同じ年頃の子を持つママ友さんと知り合い、やり取りする中で、同じ悩みを持つ人がいると思って自己肯定感を保っています」(35歳・公務員/子3歳・2歳)
(6)元気になる情報を「能動的」に収集
「失敗談をたくさん読む」(29歳・金融関係/子0歳)
「Twitter等で情報収集した」(29歳・総務・人事・事務/子1歳)
「さまざまな人の育児体験を見たり、テレビやニュースで聞いたりして、悩んでいるのは自分だけじゃないんだと思うことで、自己肯定感を持てた」(27歳・主婦/子3歳・1歳)
(7)子どもの存在を通じて
「子どもが自分を必要としてくれると自分の存在価値を感じるようになった」(32歳・主婦/子5歳・2歳)
「出産後はホルモンバランスが崩れて情緒が不安定になり、悲しくなったりして産後うつ状態だったが、それが落ち着いてきて育児にも自信がつき、子どもが自分のことを大好きなのを感じて自己肯定感が上がった」(38歳・総務・人事・事務/子8歳・5歳)
(8)自己肯定感を削る人とは距離を置く
「否定的なことを言う姑にできるだけ会わないようにすごした」(38歳・主婦/子12歳・7歳)
子どもと楽しいことをしてたくさん笑う、リアルやオンラインでの誰かと交流することで自己否定の感情を和らげて“理想と現実のかい離”を埋める、心を削る人とちょっと距離を置く……などなど、さまざまな方法が寄せられました。
“母性”や“理想の母親”という“見えない虚像”を思い求めながら、「身の丈と現実を知り、何かをあきらめ、現状を受け入れる」ことで、1つの強さを身に着けた人は強いな、という印象を受けました。
同様の質問を子どもがいる男性に投げかけていますが、男性のほうが、自己肯定感の変動が小さい傾向が見られました。考えられる背景とは?
次回は【父親編】をお届けします。
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