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子どもがインフルエンザ…何日休む?知っておきたい「出席停止」について

インフルエンザの流行が続いています。お子さんがインフルエンザにかかった場合、通常の風邪とは異なり、法律で“出席停止期間”というものが定められています。つまり、親の判断や本人の意思で欠席、出席を決めるのではなく、一定期間は家で安静にしなければなりません。今回は、調布東山病院の児玉華子医師の監修のもと、インフルエンザの出席停止について解説します。

そもそも出席停止期間が定められている理由は?

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学校は、児童生徒等が集団生活を営む場であるため、インフルエンザなどの感染症が発生した場合は、感染が拡大しやすく、教育活動にも大きな影響を及ぼすおそれがあります。

このため、学校保健安全法では、インフルエンザの出席停止期間が定められています。本人の意思にかかわらず、感染を予防するために学校へ行けなくなるので、普通の風邪などとは異なり、基本的に欠席扱いにはなりません。

つまり、皆勤賞にも影響しないので、お子さんがインフルエンザにかかったら、自宅でしっかり休ませましょう。

インフルエンザ 出席停止

「学校」の出席停止期間は?

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学校保健安全法では、出席停止期間について、“発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで”と定めています。

つまり、

(1)発症した後5日を経過すること

(2)解熱した後2日を経過すること

この2つの条件を両方とも満たさなければ、登校を差し控えなければなりません。また、ここでいう“発症”とは発熱を目安とします。

インフルエンザ 学校 出席停止

発熱期間が2~4日間の場合、発症(発熱)後、5日の経過を待っての出席となります。

他方で、発熱期間が5日以上の場合は、発症後5日を経過しても、解熱から2日が経過していません。発熱期間が1日長引くごとに、出席可能日が1日ずつ先延ばしになります。

熱が下がってもすぐに出席できないのはなぜ?

かつては、(2)の解熱後の条件しか定められていなかったのですが、(1)の条件があとから追加されました。これには、抗インフルエンザウイルス薬によって、熱を下げやすくなったという事情が影響しています。

薬によって解熱しても、体内にはまだウイルス自体は残っているので、その状態で登校すると、まわりの児童生徒にうつしてしまうおそれがあるのです。

風邪などで学校を休ませるかどうかは、“熱”を基準にする家庭が多いことでしょう。お子さんも熱が下がったら家を元気に動き回り、「学校行きたい!」と言い出すかもしれません。

ただ、インフルエンザの場合は解熱してもまだ油断は禁物。発症から5日、解熱から2日の両方の条件をクリアするまでは、自宅で安静にしましょう。

「幼稚園・保育園」の出席停止期間

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幼稚園・保育園の出席停止期間も、学校とほぼ同じです。ただし、幼児は免疫力が低いことから、「保育所における感染症対策ガイドライン」(厚生労働省 )でも示されているように、 解熱からの期間が1日長くなっています。

(1)発症した後5日を経過すること

(2)解熱した後3日を経過すること

幼稚園・保育園 出席停止期間

発熱期間が2~3日の場合、発症(発熱)後5日を経過したら出席可能になります。

発熱期間が4日以上の場合、発症(発熱)後5日を経過した時点では、まだ解熱から3日が経過していません。発熱期間が1日長くなるごとに、出席可能な日が遅れることになります。

出席停止に必要な書類はある?

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出席停止は法律で定められたお休みなので、基本的に欠席扱いにはなりません。ただ、インフルエンザでやむをえず登校できなかったことを示す書類などを、学校や園に提出する必要はあるでしょう。

どのような手続きを要するかは学校ごとに定めがあります。ただ、お子さんの看病で大変な保護者のかたに、面倒な手続きを要求するケースはそれほど多くないと考えられます。

「たとえば、私が勤務する病院では、検査でインフルエンザの陽性反応が出た場合、その結果と自宅での安静期間の目安を示すシートを無料で出すようにしています。そのシートを学校や職場に提出される方も多いようです」(児玉医師)

もちろん、学校によっては正式な診断書が必要な場合もあるかもしれません。お子さんがインフルエンザにかかったら、まずは学校に連絡し、手続き方法を確認しましょう。

子どものインフルエンザで特に注意することは?

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子どもは大人よりも体力や免疫力が弱いもの。最後に、お子さんが万が一、インフルエンザにかかった場合の注意点を児玉医師にうかがいました。

子どもに異変がないか大人がしっかり観察!

「お子さんの場合、大人と違って自分の状況をうまく話せず、適切にSOSを出せないおそれがあるので、大人がしっかり観察することが大事です。

たとえば、脱水症状を起こしていないか、呼吸が速すぎないか、受け答えはおかしくないかなどをチェックして、“これは変だ!”とピンとくることがあれば、すぐに病院に相談するのが安全でしょう」

異常行動の原因は薬じゃない!?

異変といえば、かつて抗インフルエンザウイルス薬によって、お子さんが異常行動を起こすおそれがあるというニュースがありましたが……。

「あのニュース以降、お子さんへの薬の処方については細心の注意を払っている病院が多いようです。

ただ、最近では、お子さんの異常行動は薬が原因なのではなく、インフルエンザの症状として引き起こされているのではないかという見方もあります。15歳以下の患者さんが、薬を飲んでいなくても、急に走り回ったり、意味不明な発言をしたりするという報告があるのです。

万が一の事故を防ぐためにも、高熱のお子さんからはなるべく目を離さないこと。また、窓際に寝かせないなどの配慮も必要でしょう」

 

インフルエンザは病院で診断・治療を受け、自宅でしっかり休めば重症化を防ぐことが可能です。お子さんにも、インフルエンザにかかったら学校を休まなければならないこと、欠席扱いにはならないことを伝えて、一定期間は病気を治すことに専念しましょう。

 


【取材協力】

児玉華子・・・北里大学医学部卒業、北里大学病院での研修後、膠原病・感染内科学教室に入局。東京逓信病院、北里研究所病院および北里大学病院勤務を経て現在は、医療法人東山会調布東山病院内科・リウマチ科として勤務。日本リウマチ学会、日本内科学会、日本感染症学会、日本東洋医学学会所属。『女医+(じょいぷらす)』所属。

 

【参考】

2012 年改訂版「保育所における感染症対策ガイドライン」 – 厚生労働省

学校において予防すべき感染症の解説 – 文部科学省

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