再確認しておきたい!インフルエンザの種類
nullまず、児玉医師によれば、インフルエンザは大きく分けると以下の3つのタイプがあるとのこと。
(1)A型・・・感染力も症状も強い
「もっとも感染力が高く、症状も重いのがA型です。38度以上の高熱や、筋肉・関節痛、頭痛などの全身症状が現れます」(以下「」内、児玉医師)
(2)B型・・・症状がお腹にも現れやすい
「A型よりは重症化しにくく、下痢や嘔吐などの症状がお腹に現れやすいという特徴があります」
(3)C型・・・流行の可能性は低い
「C型は1度かかると免疫ができるので、大人はほとんど感染しません。また、感染しても症状は軽く鼻水が出る程度なので、鼻かぜとも間違われやすく、知らないうちに治っていることも少なくありません」
インフルエンザに感染してから発症するまで
null(1)やっぱりせき?インフルエンザの感染経路
「インフルエンザウイルスの主な感染経路は飛沫感染です。感染した人がせきやくしゃみをすることで、飛沫としてウイルスが空気中にばらまかれ、その空気を吸い込むことで感染します。
もう1つの感染経路は接触感染です。せきやくしゃみをする際に口を覆うと、手にウイルスがつきます。その手でドアノブやつり革などを持つと、そこにウイルスが付着し、その部分に別の人が触れ、その手で自分の口や鼻や目をさわることで感染するというものです。
インフルエンザウイルスは、寒さと乾燥に強く、暑さと湿気に弱いという特徴があります。インフルエンザが冬に流行しやすいのは、こうしたウイルスの特徴によるものだと考えられます」
(2)インフルエンザの潜伏期間は?
「インフルエンザは感染してから発症までに、平均1~3日、長ければ5日ほど潜伏期間があります。このためウイルスに感染したことに気づかないまま外出して、感染者を広げてしまうおそれもあります」
対処法は発症後の時間がポイント!
null感染したときの対処法としては、発症からの経過時間によって大きく2つに分かれるようです。
(1)発症から48時間以内であれば抗インフルエンザウイルス薬が有効
「感染したときの対処法として、まず抗インフルエンザウイルス薬が挙げられます。抗ウイルスエンザウイルス薬は、ウイルスの増殖を抑えるはたらきがあり、適切な期間に投与すれば治りが早くなります。また鼻やのどからのウイルス排出量も減るので感染防止効果もあるでしょう。
ただ、抗インフルエンザウイルスが有効なのは、ウイルスが増殖している期間内、つまり発症(発熱)から48時間以内です」
(2)発症から48時間以降は解熱剤などの対症療法が中心
「48時間以降ではインフルエンザのピークを過ぎているので、抗インフルエンザ薬を投与しても、人間のからだにそなわった免疫力による回復とほとんど変わりません。
発症から48時間経過後は、抗インフルエンザウイルス薬よりも、解熱剤やのどの痛みを抑える薬を処方するなど対症療法がメインとなります」
インフルエンザ薬の投与については自己判断せず、医師の診断を仰ぎたいですね。
子どもの学校どうする?出席停止期間について確認
nullもし、お子さんがインフルエンザにかかった場合は、学校を休まなければなりません。出席停止期間についても確認しておきましょう。
「学校保健安全法により、インフルエンザを発症した場合、次の期間を経過するまでが出席停止期間と定められています。
(1)発症した後5日
(2)解熱した後2日(幼児の場合は3日)
上記2つ両方の期間を経過しなければ、原則として学校に出席することができません。かつては(2)の条件しか定められていなかったのですが、熱が下がったあともウイルスが体内に残っていることが少なくないことから、(1)も定められました。
熱が下がったからといって、発症から5日が経過していなければ、出席停止期間は解けていないという点に注意しましょう」
インフルエンザの予防方法
nullかかってから後悔しても遅い!? 自分自身や家族をインフルエンザから守るための、予防方法もぜひ押さえておきましょう。
(1)インフルエンザの予防接種を毎年受ける
「インフルエンザを予防する方法の1つはワクチンの接種です。
さきほどインフルエンザはA、B、Cの3つに分かれると話しましたが、なかでもA型はさらに細かく分類があり、毎年どのようなウイルスが流行するのか変化があります。
この流行を予測して、毎年異なるワクチンを作成しているので、予防接種は年に1度受けるのが望ましいでしょう」
(2)生活習慣で気をつけること
「ウイルスに感染しないためには、外出時に不織布のマスクをつけるほか、手洗い・うがいも励行すべきでしょう。
また、室内ではウイルスを活性化させないために、気温22~25度、湿度50~60%を目安に保つことが望ましいです。
あとは、ウイルスに感染してもからだの免疫力が高ければ、発症を防いだり症状を軽く抑えたりすることができます。したがって、免疫力を高めるために規則正しい生活を送って十分な睡眠時間をとったり、食事の栄養バランスをよくしたりすることも予防において非常に重要だといえるでしょう」
今年はまだインフルエンザにかかっていない人も、これからあと1カ月余りは、まだまだ油断できない状況です。日々の生活のなかで予防に努めるとともに、発熱などの心配な症状が現れた場合は、医療機関で診断・治療を受けましょう。
【取材協力】
児玉華子・・・北里大学医学部卒業、北里大学病院での研修後、膠原病・感染内科学教室に入局。東京逓信病院、北里研究所病院および北里大学病院勤務を経て現在は、医療法人東山会調布東山病院内科・リウマチ科として勤務。日本リウマチ学会、日本内科学会、日本感染症学会、日本東洋医学学会所属。『女医+(じょいぷらす)』所属。
【参考】