1:病気やケガで働けないこと
「傷病手当金の対象になるのは、“業務外”の理由による病気やケガの療養のために、仕事を休んだ場合です」と柳氏。
要するに仕事中ではなく、“プライベートで病気やケガをしたとき”ということだ。仕事が理由で病気やケガをした場合は、傷病手当ではなく、会社が全額負担をして保険に加入している“労災保険”でまかなうことになっている。
2:連続3日間休んでいること
「連続する3日間を含み、4日以上仕事に就けなかった場合に、受給申請できます。最初の3日間は“待期”とよばれますが、仕事をしていない日が3日間連続してあることが、傷病手当金をもらう条件の一つになっているのです。3日間は“体が動かなかったこと”を証明するものなので、土日が含まれていても構いません。」
なお、待期の3日間は給料が支払われていてもよいとのこと。3日待って、4日目になってもなお仕事に行けない場合は、4日目より傷病手当金の対象となることを覚えておこう。
3:給料を受け取っていないこと
「休業した期間について給与の支払いがないことも条件の一つです。そもそも傷病手当金は“生活を保障する”ためのものなので、もし休んでいても給料を受け取れているなら、この手当金を支給する意味はないからです」
たとえば療養に有給休暇をとる場合は、傷病手当金の対象とはならないということだ。傷病手当金でもらえる額は、前述の通り“通常の3分の2”なので、有給休暇を使ったほうが、額としては多くなる。有給が足りない場合や、有給を残しておきたいという場合で、日額の3分の2でも生活ができる場合に限り、傷病手当金を申請するとよいだろう。
以上、働く女性ならぜひとも知っておきたい“傷病手当金”のもらい方について、抑えておくべきポイントをお伝えしたが、いかがだろうか?
傷病手当金というと、長いスパンで仕事ができない人しか対象にならないと思われがちだが、4日以上休むことがあれば、その理由がインフルエンザや軽いケガなどでも対象になるのだ。具体的には、病院で医師の診断をもとに“傷病手当金申請書”を書いて、会社に提出すれば申請が完了する。
なお、傷病手当金はもらい始めてから1年半が対象期間で、疾病ごとに給付される。Aという病気で傷病手当金を1年半受給した人が、その後また別のBという病気になった場合も新たにもらえる対象になるということだ。
傷病手当金も、通常の生命保険と同様、毎月掛け金を支払っている“健康保険”である。いざというときはきちんと権利行使して補助金を受け取れるよう、基本のポイントだけはぜひとも抑えておこう。
【取材協力】
※ 柳和男(やなぎ かずお)・・・柳和男社会保険労務士事務所。特定社会保険労務士。NPO労働紛争解決支援センターにて、個人の労働相談に力を注いでいる。『NPO労働紛争解決支援センター』は、労働法の専門家であり国家資格者である社会保険労務士を中心に、職業生活にかかわる分野の専門家がそろう。初回相談は無料で、適切なアドバイスにより問題解決を支援する。
2015/1/28 BizLady掲載
執筆/坂口由乃