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インフルでも預かってくれる?病児保育のイロハを聞いてみた【犬山紙子の答えはなくとも育児会議vol.18】

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子どもが体調を崩したとき、育児を担う父親や母親たちが後ろめたさを感じることなく休むことができる職場環境は理想的ですが、実際には厳しい現実が待ち受けています。職種によっては、主に育児を担う母親達の雇用がおびやかされることも……。

昨年、ワーキングマザーとしての歩みを始めた犬山紙子さんが、エッセイストの紫原明子さんとともに「認定NPO法人フローレンス」代表理事の駒崎弘樹さんに病児保育についてお話を聞いていきます。


『私、子ども欲しいかもしれない。』(平凡社)で「子ども本当に産んで大丈夫!?」「仕事と両立、本当にできるの?」など、出産についてとことん考えた犬山紙子さん。先輩ママ、独身女子などいろいろな立場から「妊娠・出産・育児」にまつわる話をしていく連載です。

【今回の会議参加者】駒崎弘樹(7歳女&5歳男の二児の父)、エッセイストの紫原明子(16歳&12歳の二児の母)、編集K(7歳女&4歳男の二児の母)、編集S(独身)、ライター北川和子(8歳&7歳&0歳の三男の母)

病児保育ってどんなところ?「施設型」「訪問型」の違いは?

犬山紙子(以下、犬山):最近twitterを通じて、育児に関するいろんな声をいただくことが増えました。とはいえ、私も知らないことだらけなので、駒崎さんに保育のことや行政の取り組みについて教えて頂きたいと思います! まずは、フローレンスの取り組みの一つである病児保育について、教えて頂けますか?

駒崎弘樹(以下、駒崎):子どもが体調を崩したときに、保育園に預けることができないから、保育園に代わって子どもを預かるのが病児保育です。

病児保育には、「施設型」と「訪問型」の2種類があり、「施設型」は、基本的に国が補助金を出し、保育園や小児科などに併設されています。料金は1日2,000円~くらいで比較的安価ではあるものの、定員が決まっているため、当日に予約がとれるかどうかはわかりません。

一方、「訪問型」は、ベビーシッターをご自宅に派遣します。フローレンスはこちらの型ですね。「施設型」に比べると高額になってしまいますが、フローレンスの場合当日朝当日朝8時までにいただいた依頼に100%対応しているという柔軟性があります。

犬山:病児保育って本当に予約が取れないという話をよく聞くのでそれはありがたい! 私は勝手に「結局予約取れないし」って勝手に諦めてたクチなので。

実際の保育の現場はどんな感じ?

犬山:病児保育の現場では、どんな保育が行われるんですか?

駒崎:保育中は、定期的に体温を測り、こまめな水分補給や室温、排泄回数にも気を配り、投薬も行います。

編集K:すごいですね! 家でみるよりも丁寧。

駒崎:病後、元気だけど出席停止中で登園できないというケースもあると思いますが、そういうときには子どもの体調を見ながら、遊びをコーディネートしていきます。

編集K:うわぁ、ありがたい。保育園には行けないけど、本当に熱があるのか!? ってくらい元気な時とかは、ついついテレビを多めに見せちゃったりすることも……。

駒崎:寝ているだけの不安で退屈な8時間を、「来てくれてよかったな」という時間に変えるのが、スタッフの手腕なんです。

インフルエンザなどの感染症でも預かってもらえるの?

犬山:訪問型の場合、インフルエンザや水ぼうそうなどの感染症にかかっていても、対応してもらえますか?

駒崎:派遣元によって異なりますが、フローレンスでは、マンツーマンの保育を実施しているので、はしか以外、対応しています。

編集K:知らなかった~!

犬山:病気は病気でも、こういう感染するものってシッターさんに頼むのも、義母に頼むのも気が引けていたんです。八方塞がり感がすごかったので、こういう業者さんがあることはすごく救いです。

“お母さんだから”なんでもやるべきという現状を男性から問題提起

犬山:駒崎さんが、病児保育を始めようと思ったきっかけをお聞きしてもいいですか?

駒崎:以前は、ITベンチャーを経営していました。しかし、僕の母がベビーシッターをしていて、働くお母さんが熱を出した子どもを預ける場所がなく、クビになったという話を聞いたことが訪問型の病児保育を始めたきっかけです。

犬山:実際に病児保育を運営してみて、今の日本のお母さんたちについてどんな風に感じていますか?

駒崎:お母さんたちは「抑圧されている」と感じます。子どものことについて「なんでも母親がやるべきだ」という意見があるんですけど、それは無理な話。父親に「病気になった子どもにテレビをつけずに8時間寄り添えますか?」と男性側から問うてみないと、この抑圧された状況は変わらないと思ったんです。

犬山:ほんとそう!! そして「母親が抑圧されている」ということを男性側が言うことに、とても意味があると思います。

駒崎:自分がやっていないのに、男性が「母親は3歳まで一緒にいるべき」「母親が育休をとって一緒にいるべき」言うのは違うと思います。

犬山:働き方についても、いろいろ議論されるようになりましたが、昔と比べて男性側の意識も変わってきたと思いますか?

駒崎:今は「働き方改革」という言葉が盛んに用いられるようになりましたが、じつは長時間労働に焦点を当てた『働き方革命 あなたが今日から日本を変える方法』という本を僕は2009年に書いています。当時は、男性の働き方についての議論は見向きもされませんでしたが。

紫原:当時、赤ちゃんも含めた家庭の問題が、男の人の問題とも地続きだということは、理解されていなかったなとは思います。今もまだ完全には理解されていないですけど。

駒崎:2010年に“イクメン”という言葉もつくって、言葉だけは浸透しましたが、実態はまだまだですよね。抑圧の構図は、形を変えて、様々なところに表れてきます。少子化というのは、こうした構図の結果だと思っています。

 

次回も引き続き駒崎さんにお話をうかがい、子育ての「情報格差」を解消するためにどうしたらいいか考えていきます。


【取材協力】

駒崎弘樹・・・1979年生まれ。「地域の力で病児保育問題を解決し、育児と仕事を両立するのが当然の社会をつくりたい」と考え、NPO法人フローレンスをスタート。日本初の「共済型・非施設型」の病児保育サービスを東京近郊に展開。現職認定NPO法人フローレンス代表理事、一般財団法人 日本病児保育協会理事長、NPO法人全国小規模保育協議会理事長。一男一女の父であり、子どもの誕生時にはそれぞれ2か月の育児休暇を取得。

構成/北川和子 撮影/田中麻以(小学館)

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