『私、子ども欲しいかもしれない。』(平凡社)で「子ども本当に産んで大丈夫!?」「仕事と両立、本当にできるの?」など、出産についてとことん考えた犬山紙子さん。育児まっただなかの今、どんなことを考えているのでしょうか? 先輩ママ、独身女子などいろいろな立場から「妊娠・出産・育児」にまつわる話をしていきます。
【今回の会議参加者】編集K(7才女&4才男の二児の母)、編集S(独身)、ライター北川和子(8才&6歳&0歳の三児の母)
「睡眠時間削って、かえって不安になっただけだった」
編集K:子育てで、「これって大丈夫だよね」と「ちょっとは不安」の割合が「8:2」だとしたら、どうしても不安の方を掘り下げてしまう傾向ってありませんか? そんなとき、焦ってインターネットで調べると、ついつい不安な情報ばかり深掘りしちゃったりして。
犬山:妊娠してた頃、睡眠時間削って検索して、「かえって不安になっただけだった」という経験がありましたよ!
編集S:ただでさえ、お母さんたちは忙しくて疲れてるのに……!
北川:しかも、不安なときにネット検索すると、なぜか不安な情報にぶち当たりますよね。
犬山:そうなんですよ! インターネットの情報サイトには、ユーザーが正確な情報に行きつくようなものを作って欲しいと心から思う。正しい情報が行きわたって、みんなが理解できれば、不安が解消される部分もあるわけですよ。
「自分はこうだった」は誰にも当てはまるわけじゃない
犬山:不安にさせるといえば、SNSとかもそうだけど、そんなに根拠もないのに「○○するなんて信じらない!」とか母親を責めたりする書き込みを目にすることがあって。それはホントやめて欲しい。言ってる方は、「自分のときはこうだった」という善意かもしれないけど、それって1つの経験にしか過ぎないかもしれないし、誰にでも当てはまることじゃないから。
北川:たぶん、世のお父さんたちは、お母さんほど自分のこと責めたり責められたりしないですよね。
編集K:母はこうあるべき、というイメージが社会の中でもまだ強いし、同時に、自分自身の中でも意外と強いと思うから、そのイメージ通りにできてないと指摘されると傷ついちゃったりするのかも。
情報の大海!に投げ出される母親たち
編集K:うちは寝返りも、ハイハイも、歩くのもゆっくりだったから、ネットで「寝返り いつから」「はいはい 時期」とかでついつい調べちゃって。それで、同じ月齢の子どもはもう出来ている子が多い時期だったりすると、ますます不安になって……ということありましたよ。
北川:発達に関して問題があった場合、色々な情報があるから早く気付いて適切な対応ができるというメリットがある反面、今、情報の大海に投げ出されたママ達には本当に過酷な状況だと思います。
編集K:何も知らないから不安だし、だからといってインターネットで検索をすると、余計に不安になるという悪循環が確かにある。そこだけに頼るのは危険だなと。
犬山:責任感が強くてまじめな“いいお母さん”ほど、悩むようになっているかも。そんな悩んでいるお母さんがいたら、「そんなの普通よ!大丈夫!」と言ってもらえる環境って、ほんとに大事だと思うんですよ。お母さんたちは、思い詰めてしまったとき、逃げ場がないと本当にキツいですよ。
その逃げ場っていうのは、理解者だったり、正しい知識だったり、保育士さんだったり。
編集K:今思えば、「うちは寝つきが良かったけど、成長はゆっくりだった」とか、「おとなしいけど、夜は全然寝なかった」とか、みんな“何か”大変なことって、当たり前だけど多かれ少なかれあるんですよね。
犬山:「みんな“何か”ある」って、すごく腑に落ちるかも。変に自虐的になったり、比べたりせず、「みんなそれぞれ」っていう感覚でいられればいいなぁ。
一同:うんうん!
次回は、お母さん達が不安になったり焦ったりしたときに、心を平常心に戻す方法について話し合っていきます。
構成/北川和子