ジムでは筋トレをメインに頑張っているのはNG
null「脂肪を燃やすなら有酸素運動、っていうのはわかっているけど、筋トレも大事なんだよね。どのくらいのバランスでやったらいいのかな。ジムに行ったら、筋トレひと通りやって、あとランニングマシンかエアロバイクで流すって感じ。時間がないと筋トレだけで終わっちゃう」
そんな方は、有酸素運動と筋トレを組み合わせる場合も、有酸素運動を中心にメニューを組んでください。
先に筋トレを少し行うことで、有酸素運動の効果が上がります。
筋トレをすると、成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンには、筋肉と肝臓に蓄えられたグリコーゲンと、体についた脂肪、両方の分解を促す作用があります。そのため、この状態で有酸素運動を実施すれば、体に蓄積されたエネルギー源をどんどん消費できるわけです。
では、筋トレと有酸素運動の時間配分は? トレーニングを通じたダイエットの専門家は、筋トレ20分+有酸素運動40分のバランスをすすめることが多いようですが、筋トレは10分くらい、軽く行うだけでも効果があります。
ただ、運動初心者は、まずは有酸素運動だけを行い、運動に慣れたら筋トレを加えるようにしてください。現時点で体重がかなりオーバーしている人も、心臓に負担がかかるのを避けるため、体重を5キログラム程度落としてから筋トレを加えるのが安全です。

自宅でもできるトレーニング
nullジムでマシンを使わなくても、自宅でダンベル運動や腕立て伏せ、縄跳びをしてもよいですし、もっと手軽に、ペットボトルをダンベル代わりにする手もあります。ペットボトルは、水量を調節して重さを自由に変えられるから便利です。握りやすい形になっているのも嬉しいですね。まずは、500ミリリットルのペットボトルを使いましょう。
ペットボトルを両手に1本ずつ持ち、体の横に腕をたらして、肩をすくめるように引き上げて、おろします。胸を張ってゆっくりと。また、ペットボトルを持つ腕を体の前にたらして前かがみになり、ゆっくりと体を起こします。続いて腕を前から肩の高さまで上げたら、ゆっくりとおろしましょう。他にもさまざまな運動がありますから、インターネットで「初心者 ペットボトル運動」のように検索するか、書籍を参考にしてください。
最初は椅子にかけて実施するとよいかもしれません。無理なく、長く続けることが大切です。
物足りなくなったら、ペットボトルの重さを変えましょう。

ラジオ体操はとても有効
null有酸素運動も自宅でできるものがたくさんあります。その代表が、おなじみのラジオ体操です。もう何十年もやってないなあ、という人は、放映している「テレビ体操」でおさらいを。
ラジオ体操には第1と第2があり、第1は有酸素運動、第2は有酸素運動+無酸素運動です。
消費するのは30キロカロリー程度ですが、第1、第2を続けて6分20秒、インストラクターになった気分で、きびきびと体を大きく使いましょう。第1と第2をセットにして、1日に2セット実施するといいですね。
踏み台昇降もおすすめです。最近は運動用の踏み台を販売していますし、玄関の段差や階段を利用してもかまいません。足を上げたときに、膝が股関節を超えない高さ、20センチメートルくらいがよいでしょう。近くに手すりや壁があれば、初めは手を触れながら実施します。
踏み台昇降は動きが単調なので、テレビを観たり、好きな音楽をかけたりしながら行うと楽しめます。爽やかな汗が流れるまで、しっかり続けましょう。

まとめ
デブ行動……筋トレばかりのトレーニング
痩せる行動……有酸素運動をメインに、筋トレは10分でOK

奥田昌子先生。
【教えてくれた人】
奥田昌子先生
医学博士/内科医。京都大学大学院医学研究科修了。京都大学博士(医学)。博士課程にて基礎研究に従事。生命とは何か、健康とは何かを考えるなかで予防医学の理念にひかれ、健診ならびに人間ドック実施機関でのべ30万人以上の診察/診療にあたる。航空会社産業医を兼務し、ストレス対応を含む総合診療を続けている。著書に『これをやめれば痩せられる』(東洋経済新報社)、『欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」』(講談社ブルーバックス)、『内臓脂肪を最速で落とす』(幻冬舎新書)などがある。