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2時間で議題はいくつがベスト? 大人数会議の「スケジューリング」のコツ 【踊らず進む!会議のお作法】vol.20

時間通りに目的を達成してゴールにたどりつくことが、知的生産性を高める会議に結びつく――分かってはいても、とくに10人以上の大人数の会議になればなるほど難しくなるのがスケジューリング。会議を進行する司会者(主催者が兼ねることが多い)は、どんなことに気をつけて会議にのぞめばアジェンダのスケジュール通りに進めやすくなるのでしょうか?

【踊らず進む! 会議のお作法】最後のvol.20は、「大人数会議で時間通りに進行するコツ」について、チームビルディング・コンサルタントの尾方僚さんに教えていただきました。

クイズ! 2時間の大人数会議で取り上げる議題の数は?

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突然ですが、クイズです!

Q.2時間の会議で取り上げる議題の数として、ベストなのはいくつでしょうか?

a.3つ

b.4つ

c.5つ

ズバリ、正解は……

A.「a.3つ」です。

これをあなたは多いと感じましたか? それとも少ないと思ったでしょうか? 理由は追ってご説明しますね。

「部署ごとの状況説明」で時間を省略

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会議にもよりますが、できるだけ余分な時間を作らないために、冒頭で各部署から状況説明してもらうのも手です。

大人数の会議になると、お互いのバックグラウンドを知らぬまま意見を言い合うことになるケースも。事前に状況を共有しあうことで、無駄な議論や認識の食い違いを避けられ、会議がスムーズに進みやすくなります。

ただし、これは15人までが限度。それ以上になると、共有だけで時間オーバーとなってしまうので要注意!

コツは「1つの議題に時間をかけすぎない」こと

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休憩時間を入れて1議題30分以内に

会議の主催者(または司会者)になったとき、おすすめしたいスケジューリングは、会議の議題を1つ30分以内と時間を決めること。

そして必ず、下記のように20~30分間の“まとめ・質疑応答”の時間をとります。長めの会議であれば、1時間に一度5~10分の休憩時間を設けましょう。

【例】

1時間30分の会議=2つの議題(休憩含む1時間)+まとめ・質疑応答(20~30分)

2時間の会議=3つの議題(休憩含む1時間30分)+まとめ・質疑応答(20~30分)

これを基本に会議の構成を組み立てれば、たとえ途中で時間がオーバー気味になっても、まとめ・質疑応答の時間で調整することができます。

慣れていない人は「タイムキープできる工夫」を

司会進行役に慣れていない人は、30分毎にストップウォッチをかけて時間が過ぎないようにする、またはあらかじめ別の人にタイムキーパー役をお願いしておくといいでしょう。

避けたいのは「各自持ち帰り」による先延ばし

最も避けたいのは、議題やコンテンツを詰め込みすぎて時間通りに会議が進まず、各自持ち帰ること。せっかく会議の時間をとっているのですから、なるべく先延ばしせずに当日その場で会議の目的を果たしましょう。

1コンテンツの発表・報告は「3分以内」に

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スライドシートは「1コンテンツ1枚」が理想

会議で発表・報告する係になると、パワーポイント(PowerPoint)やエクセル(Excel)などの資料をスライドで映して説明するケースも多いでしょう。

そんなとき、参加者に集中して聞いてもらうには、1コンテンツ=1シートを基本にして、説明や発表の時間は3分以内に収めるのがコツ。

それ以上話すと、聞き手の集中力が持たずに内容が伝わりづらくなるからです。

話が長くなる発表者には「司会者が話を切ってまとめる」

また、自分が司会者の場合、だらだらと話して時間をオーバーする発言者がいたら、途中でうまく話を切って発言内容をまとめて言い換えるようにしましょう。

話し出して3分以上経過すると、自分が一体何を言っているのかわからなくなっているケースが多いのです。

白熱して「時間がオーバーしたとき」は…

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前出のコンテンツ発表もそうですが、vol.16「話は何分以内がベスト? 中人数会議で“伝える話し方”のポイント」でお伝えした通り、“発言時間は1人1分半がベスト、多くても3分”を心がけていても、議論が活発になって時間をオーバーすることも。

そんなとき司会者は、時間にシビアに、後のコンテンツを短めにまとめるなどして臨機応変に時間をまきましょう。

「決定事項を持ち帰る」までを進行と考える

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司会者は、最後のまとめの時間に「A部が○月○日までにBの資料を作成してください」など、必ず会議で決定したことをアナウンス。
参加者全員が次のステップを把握し、部やチームに持ち帰って共有されるところまでを進行を考えましょう。

きちんと会議の目的を果たして、はじめて時間通りのスケジューリングが活きるのです。

 

いかがでしたか? 人数が多くなればなるほど、準備や進行が大掛かりになる会議。しかしどんな規模であっても、その目的は“知的生産性を高める場”にすること。

参加者が一丸となって協力して、有効な時間にしましょう。

 


 

【取材協力・監修】

チームビルディング・コンサルタント

尾方僚(おがたりょう)

大手就職情報会社に9年間勤務した後、コンサルタントとして独立。大学や企業人事担当者向けの講演を数多く行い、企業の採用コンサルテーション・研修に従事する。現在、日本女子大学リカレント教育課程 講師、日本工業大学、デジタルハリウッド大学の非常勤講師としてキャリア系科目を担当。著書は『プレゼン以前の発表の技術』(すばる舎)、『100人の前でもキチッと話せる本』(インデックスコミュニュケーションズ)など多数。

【参考】

尾方僚(2011)『プレゼン以前の発表の技術』(すばる舎)

尾方僚(2007)『100人の前でもキチッと話せる本』(インデックスコミュニケーションズ)

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