クイズ! 「司会者」が会議スタート時にすることは?
null突然ですが、クイズです。
Q.会議が始まる前、司会者が雰囲気を和ませるために時事ネタ・お天気ネタなどで場をほぐす時間を何と言うでしょうか?
a.コーヒーブレイク
b.ウォームアップブレイク
c.アイスブレイク
どれも当てはまりそうな言葉ですが、気になる答えは……
A.ズバリ、「c.アイスブレイク」です。
聞いたことがある人も多かったかもしれませんね。
ではこれから順を追って、司会者の仕事と役割についてご説明していきましょう。
「司会者」が事前に準備すべきこと5つ
nullvol.2の「“会議での役割分担”と見極めで生産性アップ!」でご紹介したように、司会・発表者・書記……会議の参加者にはいくつかの役割があります。
中でも、会議を招集する主催者が兼ねることが多い司会者の仕事は、すでに会議が始まる前からスタートしています。
必要な事前準備について順を追って説明しましょう。
(1)会議の目的を明確にする
会議は目的によって主に以下の3種類に分けられます。
・物事を決めるための会議
・情報共有をするための会議
・アイデアを出し合うための会議(いわゆる“ブレインストーミング”)
主催者はもちろんですが司会者の役割だけであっても、参加する会議がどれにあたるのかを明確にしておくことが重要です。
(2)参加者に役割を振り分ける
主催者が別にいて自分が司会者の役割を与えられたときを除き、司会者でかつ主催者である場合には、参加者の役割分担をする必要があります。
“発表者”“書記”“雑務・オブザーバー”などの役割を各人に割り振ります。とくに書記は、司会をしながらはできない仕事なので、必ず他の人にお願いしておくことがポイントです。
(3)参加者に(1)(2)を周知させる
意外と多いのが、参加者が目的や自分の役割を知らないまま、会議が実施されることです。
当然ながら、当事者意識の薄いメンバーで行っては、会議の目的を達成しづらくなります。必ず事前に周知させましょう。
(4)タイムテーブルを記載したアジェンダを作成する
会議の議題・課題項目・予定表などを明記したアジェンダは、会議という一隻の船を“目的地へ時間通りに到着させる”ための大切な航路図となります。
議題を箇条書きにして、必ず横にタイムテーブルを明記しておくことが無事に目的地に着くポイントです。
(5)想定質問をつくり、回答例と関連データを準備する
会議中に出席者から出る可能性のある質問を想定し、回答と裏付けデータを書面などにまとめておきます。
これはむやみに配布すると、参加者が会議中に読みふけってしまったり、内容が本題とずれてしまう可能性があるので、基本的には司会者の手持ち資料として準備します。
簡単な作業とは言えませんが、これら5つの準備が会議の目的を達成するためのベースとなりますので、しっかりやり遂げましょう。
司会者が舵をとる「会議の流れとスケジュール」
null一般的な会議の流れ
準備を万全にして、いざ会議へ。まずは、スタートから終了までの理想的な“会議の流れ”を見てみましょう。
“会議の型”のひとつとして、一般的な流れを把握しておくとアジェンダの作成もスムーズに進むはずです。
~会議スタート~
(1)アイスブレイク
(2)議題と会議の目的告知・書記発表
(3)発表・議論
(4)項目ごとの中締め
~以後、発表・議論と中締めを適宜行う~
(5)全体のまとめ・質疑応答
(6)本締め
~会議終了~
並べてみると、やることが多くて小刻みなスケジュールに見えるかもしれませんね。
しかし、人間の集中力はさほど長く続きません。3分もすると別のことが頭をよぎったり考えたりするようになるとも言われています。
会議の内容を参加者によく理解してもらい、意味あるものにするためには、集中力が切れないタイミングで中締めなどの“クッション”を入れることが大切なポイントになるのです。
それでは、各工程ごとに詳しく見ていきましょう。
会議前やスタート時は「アイスブレイク」で場をほぐす
会議の際は早めに会場に入り、場に馴染んでおくとよいでしょう。
開始するときに心がけたいのは、議題と直接関係ない気軽な話題を話す“アイスブレイク”の時間を持つこと。
過度な緊張感を減らして場の空気を和ませるべく、すぐに本題には入らずに、時事ネタ・お天気ネタなどで場をほぐしてから議題に移るようにしましょう。
雰囲気をやわらげることで活発な意見も出やすくなり、結果、司会の仕事もやりやすくなります。
会議が始まったら「議題と目的確認」をして「書記」を紹介
“アイスブレイク”をした後はいよいよ本題へ。参加者にアジェンダを配ったら、以下の2点を伝えます。
・会議の時間内に決めるべきこと
・書記担当を紹介し、会議後に議事録がシェアされること
この2点を伝えることで、目的の確認ができ、参加者が細かくメモを取る必要はないことがクリアになって、参加者は議題により集中できます。
いざ本題へ突入! 発表を交えて「議論を進める舵取り」を
目的確認と書記の紹介が終わったら、議題に沿って着実に会議を進行します。
アジェンダに記載した時間どおりに進めて終了できるよう、タイムマネージメントもきっちりこなしましょう。
発表や議論が行われているとき、司会として大切なのは“聞く姿勢”。
口角を上げながらうなずいたり、前のめりになって発言者が話をよく聴いてくれていると感じる姿勢を取ることで、発表者が緊張せずに話せたり、参加者がのびのびと意見を言える雰囲気になります。
会議の雰囲気を左右する“場づくり”は、司会にとって欠かせない仕事のひとつなんですね。
項目ごとに「中締め」をする
会議を進めながら、項目ごとに“中締め”をしましょう。
適度なタイミングで振り返りをおこない、“決定事項”と“未決定事項”をはっきりさせると、参加者の集中力を切らすことなくメリハリがつきます。さらに、次のステップや方向性も定めやすくなって、まさにいいことずくめ!
司会進行をする上で、非常にオススメしたいことのひとつです。
終盤に「全体のまとめ」と「質疑応答」の時間を
会議の最後には、必ず“全体のまとめ”と“質疑応答”の時間を設けましょう。
ポイントは、まとめを必ず前にもってくること。会議中に決まったことや課題、決定事項を受けて以後参加者がやるべきことなど、一旦全体をまとめて理解を促してから質疑応答の時間をとることで無駄な質問がなくなり、効率化にもつながります。
会議の最後は「本締め」で終了
いよいよ会議のフィナーレを迎えたら、司会者として必ずすべきことは“参加者全員へのお礼”を言うことです。
「本日はお時間をいただき、ありがとうございました」「みなさまのおかげで、大変有意義な時間となりました」などと感謝を伝えることで、参加者も気持ちよく終わりを迎えることができます。
「終わりよければすべてよし」とはよく言ったもので、人の記憶も時間とともに上書きされていくので、締めがよければ「いい時間だったなあ」と思えることが多いのです。
もし会議が「難航」or「漂流」し始めたら…?
null途中、思うような流れにならなかったとしても、そこは忍耐。司会はあくまでも進行役に徹し、自分の意見を押しつけるようなことはもっとも避けたいところです。
なかには会議の流れに逆らったり、違うところに話が飛んで“漂流”したり、関係ないことを訴えだしたりするような人も出てくるでしょう。
そんなときは「なるほど、その意見はごもっともですが、一度話を戻しましょうか」などと受け入れる姿勢を示しつつも話を本題に戻します。それでも長引いてしまう場合には、上述の “中締め”をするのもいいかもしれません。
また、ときに仏頂面や無表情で参加している男性を見かけることがあるかと思いますが、男性はそもそも感情を表に出さず表情が豊かではない人も少なくないもの。
必要以上に「つまらないのかな」などと心配したり緊張したりする必要はありません。
会議終了後のアフターフォローもしっかりと!
null会議が終わった後は、議事録の構成について書記と打ち合わせをしましょう。
たとえば、重要な発言・キーワードなどは人によってとらえ方が違う場合がありますので、内容にズレが生じないよう、すり合わせをすることが大事。
その後、書記から参加者全員へ議事録が配布された時点で、会議はすべて終了となります。
やむを得ず会議に欠席した人がいる場合は、議事録の送付を書記に伝えることはもちろん、必要があれば個別にフォローしてもいいでしょう。
会議という1隻の船を、目的地へ時間通りにきっちり到着させることができるか。船長である司会の役割はまさに大役です。
「議題を持ち帰ってそれぞれ検討しましょう」と解散するのはナンセンス。準備から終了まで目的意識をもって取り組みましょう。
【取材協力・監修】
チームビルディング・コンサルタント
尾方僚
大手就職情報会社に9年間勤務した後、コンサルタントとして独立。大学や企業人事担当者向けの講演を数多く行い、企業の採用コンサルテーション・研修に従事する。現在、日本女子大学リカレント教育課程 講師、日本工業大学、デジタルハリウッド大学の非常勤講師としてキャリア系科目を担当。著書は『プレゼン以前の発表の技術』(すばる舎)、『100人の前でもキチッと話せる本』(インデックスコミュニュケーションズ)など多数。