そこで『kufura』では、大人の女性が今さら聞けないビジネスマナーを徹底特集! 最新のビジネスマナーについて解説頂いたのは、『働き方のセブンマナー』(講談社)、『新しいビジネスマナーの基本』(高橋書店)などの著書を持ち、ライフスタイリストとして多方面で活躍されている北條久美子さん(写真)です。
「身だしなみ」はなぜ大切?意味から考えてみましょう
“身だしなみ”とは、人に不快感を与えないように服装・容姿・言動などを整えることや、その心がけのことを指します。身だしなみで大切なのは、人に不快感を与えないことです。
職場には自分1人だけでなく一緒に働く相手がいます。自分の満足のためのおしゃれではなく、同僚や取引先の相手に安心感や落ち着きを与えるような服装を心がけることが大切です。
身だしなみとおしゃれの違いは?
null働く女性にとって、職場の雰囲気に沿った服を選ぶのは毎日の大切な課題。男性と比べて服装の選択肢がたくさんありますし、流行はシーズンごとに変わっていきますよね。「どんな服を着たらいいのか」というのはいくつになっても悩ましいものです!
そして、入社した頃の緊張感が消えた頃に忘れがちなのが、「身だしなみは人のため、おしゃれは自分のため」ということ。
大切なのは、ファッションの「さじ加減」
職場には自分1人だけでなく一緒に働く相手がいます。同僚や取引先の相手に安心感や落ち着きを与えるような服装を選ぶことが大切です。自分の好きなおしゃれをして、モチベーションをアップさせるのもひとつの仕事術なのかもしれませんが、相手に不快感を感じさせないために“さじ加減”を見極めることが大切です。
服装はただの“着るもの”ではなく、“その人の内面の一番外側の部分”つまり、自分の内面を映し出すもの。仕事で接する相手に対し、言葉にはならないメッセージを発するツールでもあるのです。
新入社員の頃には、「きちんとしなければ」という緊張感が服装に表れていたと思いますが、心の余裕ややる気も服装に表れてしまうことがあります。自分本位の服装にならないように注意が必要です。
身だしなみはここに気を付けて!「仕事服」選びのマニュアル
null服を選ぶときには、「何を着るか」よりも「どう着るか」に重きを置き、全身で見たときの統一感を意識します。季節感、色づかいを意識して、部分的に流行のシルエットや小物を取り入れると、トータルコーディネートがまとまりやすくなります。
相手が安心できる服装を
業界や職場によって服装の雰囲気は異なると思いますが、一緒に働く相手がいることを想像しながら、“相手が安心できる服装”をセレクトしましょう。
“うっかり服”を避ける
どんな業界であっても避けたいのが、胸元やワキから下着が見えるカットソーや、ショーツが透けやすいボトムスなどの“うっかり服”。仕事中に“うっかり”に気づいた場合、その日の仕事に身が入らなくなってしまうこともありますよね。おろしたての服を着るときには、前日や出かけるまえに入念なチェックを。
露出、汚れ、シワにダメージ…大人女性のNGな服装例
null例えば暑い日に「自分が着心地がいいから」と、露出度の高い服を選んでしまうと、近くで働く人はなんだか落ち着かない気持ちになってしまいます。また、汗ジミが目立つトップスや、ショーツが透けたボトムスなども、相手が目のやり場に困ってしまう可能性があります。
【NG服の例】
・露出の高い服(深いスリット、大きく開いた胸元など)
・シワや汚れ、毛玉などが目立つ服
・ダメージジーンズ
・色褪せた服
・メッセージ性が強すぎるTシャツ……etc
例えば、ハイブランドの上質な服を着ていても、シワだらけだったり、襟元に皮脂汚れが付着していたりすると、清潔感は損なわれてしまいます。
同僚や取引先の人たちが一緒に仕事をしていてなんだか落ち着かないと感じるような服装は避けるように気を配ります。
身だしなみのキモは小物にあり!意外と見られている小物の注意点
null“神は細部に宿る”という言葉がありますが、“身だしなみは小物にも宿る”と言うことができると思います。小物類は、意外と人から見られているからです。
ボールペンやペンケース、名刺入れや手帳など、人の前に出すものは、大人の女性こそ「きちんと選んでいるんだな」とイメージさせるものを。
バッグや靴は、その日のコーディネートの印象を支える土台。手入れが行き届いたものを使います。
アクセサリーは、小さくてもさりげなく身に着けていた方が顔回りの印象が明るくなります。
一方で、大人の女性が職場に身に着ける小物のNG例としては、写真のように清潔感が損なわれたものや、ガチャガチャと音が出るアクセサリー、手入れされていない靴などです。
働くママが「身だしなみでバタつかない」ためのコツは?
null『kufura』の読者の皆さんは、子育てと仕事を両立されている方も多いと思いますが、出社前にはゆっくりと服を選ぶ時間を持つことが難しいかもしれません。できれば前日のうちに「あの服を着て行こう」「あのアクセサリーを合わせよう」とあらかじめ準備したり、頭の中でイメージしておくといいでしょう。
もし、クタクタに疲れて翌日の服装に気を配る余裕がなかったときのために「これさえ着ればいい」というワンピースや、アイロン要らずのブラウス、どの服にも合う無難なジャケットなど、“お助け服”を用意しておくと役立ちます。
この身だしなみで大丈夫?前日のチェックポイント
null最後に、ここまでの内容を踏まえて、前日のうちにチェックしておきたい身だしなみのチェックポイントをご紹介します。
【大人女性の身だしなみ「10のチェックポイント」】
(1)お辞儀をしたときに胸元から下着が見えないか
(2)ノースリーブのワキの部分から下着が見えないか
(3)ボトムスから下着の色やラインが透けていないか
(4)トップスの汗ジミが目立たないか
(5)服にシミやシワがついていないか
(6)靴のかかとがすりきれていないか
(7)ストッキングのストックはあるか
(8)どんなアクセサリーを合わせるか
(9)バッグの中身は万全か
(10)ハンカチ・ティッシュは持っているか
先ほど、「身だしなみは人のため」と申し上げましたが、身だしなみに自信のある日は、誰に会っても自信を持って接することができるのではないでしょうか。自分自身が「1日を気持ちよく過ごせるかどうか」にも大きく影響します。
できれば前日のうちに、コーディネートを“作り置き”して、あわただしい朝に備えたいものです。
【取材協力】
北條 久美子
東京外国語大学を卒業し、ウェディング司会・研修講師を経て、2007年 エイベックスグループホールディングス株式会社人事部にて教育担当に。2010年にキャリアカウンセラー・研修講師として独立。全国の企業や大学などで年間 約2,500人へビジネスマナーやコミュニケーション、キャリアの研修・セミナ―を行い、顧問として企業の人財育成や教育体系の構築にも携わる。現在はライフスタイリストとしてワーク(仕事)寄りだった人生を、生きること=ライフにシフト。睡眠マネジメントやマインドフルネスなどをワークに取り入れ、自分らしく、かつ生き方(ライフスタイル)を美しくすることを自らも目指し、それを広める場作りに力を入れる。著書に『ビジネスマナーの解剖図鑑』(エクスナレッジ)、『働き方のセブンマナー』(講談社)ほか。