「目処が立つ」の意味とは?「目処がつく」との違いは?
null“目処”の読み方は、“めど”。“目途”と表記されることもあります。目標とするところ、目指すところ、見通しといった意味があります。
“目処”は、動詞の“立つ”や“つく”とセットで使われています。
“目処が立つ”は、「目標達成までの先行きが見渡せた」という意味。“目処がつく”もほぼ同様の意味です。“目処が立つ”と“目処がつく”、どちらが正解か迷う方がいらっしゃるようですが、実はどちらも正しい言い方です。
【「目処が立つ」「目処がつく」のまとめ】
“目処が立つ”と“目処がつく”は類義語。「目標達成までの先行きが見渡せた」という意味。
ビジネスシーンでは「目処が立つ」はどんな時に使うといい?
null例えば、プロジェクトを進めている時に、細かい作業は終わっていないけれど間もなく作業が終わりそうな時や、達成のスケジュールがほぼ確定した時などに「目処が立った」と言うことができます。
“目処が立つ”を使うことで、「なんとかなりそう」「一段落しそう」というくだけた表現を、少し丁寧な印象にすることができます。
「目処が立つ」の例文は?
null続いて、“目処が立つ”を用いた例文をご紹介します。
■資金繰りの目処が立ちました。
→まだ資金の調達はできていないけれども、銀行などから融資の確約を得られた場合に使うことができます。
他にも以下のような使い方があります。
■ようやく完成の目処が立った。
■問題解決の目処が立っていない。
「目処が立つ」の使い方の注意点は?
null“目処”には、“目標”という意味もありますが、“目処がない”という言い方はありません。 否定形の文章で“目処”を使う場合、「目処が立たない」と言い方をするのが一般的です。
【「目処が立つ」否定形のNG例】
■人手不足なのに、採用の目処がない。
→“目処がない”という言い方はありません。この場合、“目処が立っていない”と言います。
「目処が立つ」を言い換えると?
null続いて、“目処が立つ”の言い換え表現をご紹介します。
(1)見通しが立つ
最終的な段階に至るまでのプロセスがクリアに見渡せた時に使います。“目処が立つ”と比べて長期的なニュアンスを含ませることができます。
【例文】
・ようやく新ブランド立ち上げの見通しが立ちました。
・生産ラインがストップしており、復旧の見通しが立っていません。
(2)見当がつく
“目途がたつ”よりも確実性がやや低く、予想の段階で使うことができます。
【例文】
・春の人事異動、だいたい見当はついているけど、まだ正確な情報はわからないよ。
・いつ終了するか見当もつかない。
(3)目算(もくさん)が立つ・目算が外れる
目で見て数量の見当をつけるという囲碁の用語。例えば、売れ行きやお客さんの数、選挙の票など、だいたいの見込みを語るときに使います。「目算が立つ」「目算が外れる」という言い方をします。
【例文】
・次回のコンペでA社に勝つ目算は立っている。
・もう少し売れると思ったけど、目算が外れたね。
(4)見込みが立つ
先行きの予定や予想について語るときに使います。
【例文】
・完成の見込みが立っております。
・まだ復旧の見込みは立っておりません。
今回は、“目処が立つ”の使い方や意味について解説しました。
仕事には締切がつきもの。現状を報告する時、“目処がつく”という表現が役に立つことがあります。その時の状況に応じた正しい表現を選ぶことで、相手との信頼を築くことができるのではないでしょうか。
【取材協力・監修】
吉田裕子
国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。