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【年賀状のマナー・文例集編】出産・引っ越し・結婚報告などケース別の年賀状の書き方

年賀状を作る時、現在では印刷サービスを利用するという方も多いと思います。デザインを選ぶ際にも、入れる言葉(賀詞)や文章を考える際にも、知っておくべき基本があります。なんとなく選んでしまうと相手によっては失礼と受け取られかねませんから、マナー上のポイントはしっかり押さえておきましょう。年賀状を書くときは筆を使うべき?など、ちょっと疑問に思うことの多い点についても、マナーアドバイザーの松本繁美さんに教えていただきました!

年賀状の基本マナー、宛名面の書き方についてはこちらを参考にしてください。

・年賀状のマナー・基本編。いつまでに投函?喪中のときは…

・年賀状のマナー・宛名の書き方編。宛名は縦書きor横書き?漢数字を使うべき?疑問にお答えします

 

年賀状の書き方の基本

年賀状の文面の4要素

年賀状では、次の4つの要素が入ることが基本です。

年賀状 文面 4要素

(1)新年を祝うことばである賀詞や挨拶のことば
(2)旧年中の感謝・お礼、今後の厚誼・支援・指導のお願いなどの前文
(3)近況、抱負、所信などの本文
(4)相手の健康、幸福、繁栄、活躍などを祈念する結びの文、日付

印刷された年賀状では、(1)(2)と差出人の住所・氏名のみで構成される年賀状が多いようです。その場合は(2)の文と差出人の住所の間に余白を設け、そこに手書きでひと言を添えるようにするとよいでしょう。

年賀状を書く時に気を付けたいきまりごと

(1)年号や日付の書き方

元号(令和3年)か西暦(2021年)のどちらかを選びます。

日付は「令和三年元旦」「令和三年一月一日」「2021年元旦」「2021年1月1日」など。文章が縦書きの場合は数字も漢数字(一、二、三)で入れるのが基本ですが算用数字(1、2、3)を使用しても特に問題はありません。横書きの年賀状ではどちらでもかまいません。

(2)賀詞の選び方:「賀正」は上司にはNG!?

よく見かける「賀」「賀正」「迎春」など1~2文字の賀詞は、目上の人への敬意に欠けるとされるため、ビジネス用の年賀状では「謹賀新年」「恭賀新年」といった4文字の賀詞を使います。2文字以下の賀詞は、親しい相手に贈る場合に限ると覚えておきましょう。

また、「新年」と「明けまして」は意味が重複するとされています。よって、「新年明けましておめでとうございます」とは書かず、「明けましておめでとうございます」とします。そのほか「謹んで新春のお慶びを申し上げます」などの賀詞も相手が誰でも使えるものです。

(3)忌みことばは避ける

年賀状は、新しい年を祝う挨拶状のため、「失(う)」「枯(れる)」「暗(い)」「去(る)」「絶(える)」「病(む)」といった言葉は用いません。そのため「去年」とは書かず、「旧年中」「昨年」と書くようにしましょう。

(4)筆/筆ペンを使うべき?

多くの人が年賀状は毛筆でというイメージを持っています。毛筆が苦手なために、表面も裏面もパソコンで入力して印刷という人も多いようです。筆で書くことができれば申し分ありませんが、年賀状を1枚1枚筆で手書きするという人は稀だと思います。

そこで活躍するのが、毛筆で書いたような文字を書くことができる筆ペンです。筆の太さ(細さ)も選ぶことができるので、毛筆が苦手という人にもおすすめです。筆の扱いに慣れない人は硬筆タイプを選び、ボールペンで書いているのと同じタッチで書けば、案外、上手く書けるものです。

年賀状を書くのにサインペンや万年筆を使ってもマナー違反ではありません。

ボールペンで書く人を見かけることがありますが、普通の油性ボールペンだと、あまりに日常的すぎて新年の改まった感じが出にくいので避けたほうがよいでしょう。どうしてもボールペンでという人には、水性インクでペン先の太さが太いものをおすすめします。水性インクは万年筆で書いたような風合いを出すことができます。

また、油性のサインペンは厚みのある私製はがきならよいのですが、普通の官製はがきでは裏側までインクが滲みてしまうのでご注意を。

【シーン別】年賀状のマナーと文例集

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出産報告と兼用の年賀状

出産報告は、親しい身内や友人、お祝いをもらった人へは、出産後1~2カ月後くらいに挨拶状を送ります。そうでない人へは、出産報告はメール等で済ませ、出産報告は年賀状でするという人が増えています。

普段、交流の少ない人には年賀状での報告がベストでしょう。挨拶状を送ると、逆にお祝いに気を使わせてしまうこともあるからです。逆に、ある程度親しい相手なのに出産を知らせる機会がなく、いきなり年賀状で出産報告をすると「どうしてひとこと言ってくれなかったのかな」と違和感を持つケースもあるようです。そういった場合は、報告が遅れたことをお詫びする一言を添えると丁寧です。

出産報告の年賀状には、生まれた子どもの性別、名前(読みがなを忘れずに)、生まれた月日(もしくは月齢)を入れます。さらに、以下のような言葉を添えることが多いようです。

  • わが家に小さな家族が仲間入りしました 
  • わが家に新しい家族が仲間入りしました 

 

引っ越しの報告と兼用の年賀状

年末年始と引越しの時期が重なった時は年賀状で引越しのお知らせを兼ねる人も多いようです。年賀状に、引越しの挨拶を書いて送ることはマナーとしても特に問題はありません。

引越しの挨拶状は転居後、1カ月以内に送るのがよいとされています。なので11月から12月に引越しをする場合、年賀状で新年の挨拶と引越しの報告を兼用するのに問題はありません。また、1月から2月に引越しを予定している人が、年賀状で前もって引越しの報告を行う場合もあります。

注意点としては、新しい住所は特に相手に分かりやすく記載すること。文字が小さすぎて読みにくい、マンション名を省略して書くといったことがないよう注意します。

・上司や先輩など、目上の人向けの文例

謹賀新年
旧年中は格別のご厚情を賜り厚く御礼を申し上げます
昨年○月に下記(左記)住所に転居いたしました
公私ともに新しい気持ちで励む所存です
本年もよろしくお願い申し上げます
新住所:〒101-0321 東京都千代田区・・・

・親戚や友人に向けて送る文例

あけましておめでとうございます
旧年中は大変お世話になりました
昨年○月引越しのため、新しい住所になりました
お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください
本年もよろしくお願いいたします
新住所:〒101-0321 東京都千代田区・・・


郵便局の転居・転送サービスに申し込んでおきましょう

新しい住所に変更届けを提出してから1年間は、旧住所宛てに届いた郵便物を無料で転送してくれるサービスがあります。利用方法は、郵便局の窓口で転居届を提出するか、インターネット上のサイト「e転居」で申し込むだけ(届出は新居に引越しする前から行うことができますが、転送期間は転送開始希望日からではなく、届出から1年となりますのでタイミングにご注意ください)。

届出を出していない場合、宛先不明として年賀状が返送されてしまう可能性があるため、要注意です。

結婚報告と兼用の年賀状

本来、結婚報告は新住所のお知らせも兼ねて、入籍または結婚式後1~2カ月以内に挨拶状を送るのが正式ですが、最近は年賀状で済ませる人が増えています。特に10月以降の挙式なら、年賀状と兼ねても問題はありません。

結婚報告の年賀状は、必ず夫婦連名で出します。姓が変わった場合は、1年目は忘れずに旧姓もカッコ書きで書き添えるようにします。

・ひと言添える場合の例

  • 私たち結婚しました 
  • 結婚して初めてのお正月を迎えました 
  • 今後とも私達をよろしくお願いいたします 

・結婚と出産を同時に報告する場合

  • 新しい家族も仲間入りし賑やかなお正月を迎えました 
  • 新しい家族も授かり幸せが一度にやってきました 

 

年賀状の文面は今まで何となく見本の中から選んでいたという人も多いかもしれませんが、出す相手により、また報告事項があるかないかで文面も変わるものです。

また、印刷された年賀状を送る人も、ひと言手書きの言葉を添える事によって、年賀状の温かみがぐっと増します。「お元気ですか?」「お会いしたいですね!」など、ありきたりの言葉でも、添えるのと添えないのでは受け取った側も大きく違った印象をもつはず。ぜひ、ひと手間をかけてから投函することをおすすめします。

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