お歳暮を受け取ったらまずお礼状を
元来、お歳暮は、「今年も1年お世話になりありがとうございました」という感謝の気持ちを込めてお礼の品を贈るものです。日頃の感謝を表すお歳暮は、教え子から先生、部下から上司など、目上の人へ贈ることが多く、そのため、お歳暮を受け取ったとしてもお返しの品は必要がないとされています。
しかし、お返しの品が必要がないからと言って、お礼をしないという意味ではありません。贈り物を受け取ったらすぐにお礼を伝えるのがマナーです。お歳暮が届いたら、お礼状を出します。親戚など、親しい人が相手の場合は、電話でお礼を伝えてもよいでしょう。
お礼状は、品物を受け取ってから遅くとも3日以内に出すようにします。お互いにお歳暮を贈っている場合でもお礼状を出すに越したことはありません。お歳暮というのはフォーマルな贈り物のやりとりです。お礼状を出す事によって「親しき仲にも礼儀あり」を実践したいものです。
一般的にお礼状にははがきを用いることが多いようです。目上の人や特別にお世話になった人にはより改まった封書で送ってもよいでしょう。文面は、品物の感想や自分の近況、相手を気遣う言葉なども添えて構成します。
お歳暮へのお礼状の文例
例1:一般的なお礼状
拝啓 日毎に寒さが増して参りましたが、
皆様、お変わりなくお過ごしでしょうか。
本日はご丁寧なお心遣いの品をお贈り
くださいまして、ありがとうございました。
新年の食卓に乗せ、家族で美味しくいただこうと
大変、楽しみにしております。
暮れはいつにも増して、お忙しいことと存じます。
ご自愛下さるようお祈りいたします。 敬具
例2:ビジネス関係の相手へのお礼状
拝啓 師走の候、○○様におかれましては
ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
さて、この度は素晴らしいお品をお贈りいただき、
誠にありがとうございました。
本年も大変お世話になり、お力添えを賜りました。
心から感謝するとともに、来年もご指導ご鞭撻を
頂けますよう宜しくお願い申し上げます。
まずは書中をもちまして御礼申し上げます。 敬具
例3:親族への文例
前略 師走に入り寒さも一段と厳しくなってまいりました。
皆様、お変わりなくお過ごしの事とお喜び申し上げます。
さて、この度は、見事なリンゴのお歳暮をお贈りいただき
誠にありがとうございました。
以前、リンゴが好物とお話しした事を覚えていてくださり
たいへんうれしく思っております。
しばらくは寒さもひとしおだと思います。
お体にお気を付けてこの年末をお過ごし下さい。
取り急ぎ、お礼まで。 草々
※差出人の名前の後ろに「内」「代」とつけたお礼状を見ることがありますが、「内」は夫宛てのお歳暮のお礼状を妻が代筆する、「代」は上司宛のお歳暮に部下が代筆するなどの場合で使います。縦書きの場合は差出人の名前の左下、横書きの場合は名前の下に小さめの字で内と書き添えます。
お歳暮を受け取りたくない、受け取れないとき
お歳暮が届いても、受け取りたくない場合や、立場上受け取ることができない場合もあるでしょう。
そういうときは、まず受け取らないのが一番。手渡しの場合には、受け取れない理由を述べてその場で断ります。送付されてきた時は、配送業者に受け取る意志のないことを伝えて受領を拒否する、一旦は受け取り、開封せずその上からもう一度包みをかけ、受け取れない理由を書いた手紙を添えて返送する方法などがあります。
会社のルールや、公的な職業などでお歳暮が禁止されている立場の人は、トラブルにならないよう、受け取れないことをきちんと伝えることが大事です。次回から断りたいという場合は、以下のようなお礼状を送ります。
お歳暮をお断りするときの文例
拝啓 平素は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。
この度は御丁寧なお心遣いをいただき、ありがとうございます。
しかしながら、当社では全てのお取引先様からの贈り物を辞退させていただいております。
今回に限りまして、ありがたく頂戴いたしますが、
どうぞ今後のお気遣いはなさいませんようお願い申し上げます。
折角のお気持ちは十分有りがたく受け止めております。
何卒ご理解の上、ご了承賜りたくお願い申し上げます。
どうぞ今後とも変わらぬお付き合いのほどをお願いいたします。
略儀ながら、書中をもちまして御礼ならびにお詫びを申し上げます。敬具
お歳暮のお返しを贈る場合
前述のように、お歳暮には感謝の気持ちを表すという意味があり、自分より目上の人へ贈ることが多いものなので、お返しは不要とされました。しかし実際には同僚や友人などにも贈る場合がありますね。そのような場合、お礼状だけでは悪いと思えば、同等のものを贈っても構いません。
ただ、お歳暮は1度贈るとその後もある程度の期間続けて贈ることを前提としています。ですから、そのお返しを「お歳暮」として贈るか、その時限りで継続の必要がない「御礼」として贈るかを自分で見極めなければなりません。
また反対に、お歳暮を贈った相手から、当然お返しが来るだろうと期待してはいけません。お歳暮は一方通行になることもあると認識しましょう。
品物でお返しをする場合のマナーについては、以下の通りです。
お返しはいつまでに贈ればいい?
お歳暮は関東では12月1日から12月20日頃まで、関西では12月初旬(10日頃)から12月20日頃までの間に贈りますが、近年、デパートなどでは、11月末からお歳暮シーズンとすることも増えています。共働きの夫婦も多くなり、確実に受け取ってもらえるのが週末のみとなると、期間を長めに設定したほうがよいという事情もあるかもしれません。
お歳暮を受け取ってからお返しを贈る場合、年内の手配が可能であればそのままお歳暮として送ります。年末までに送るのが難しい場合は、年明けから松の内(1月7日)までの間に、「お年賀」として贈るようにします。
お返しの金額
お返しを品物で贈る場合は、受け取った品物の半額から同額の品物を贈るようにしましょう。受け取った品物以上の品を贈ってしまうと「今後、お歳暮を贈らないでください」という意味に誤解されることもあるので気をつけなければなりません。
お歳暮を贈った相手から届くお礼状は、受け取った側にもあたたかい気持ちをもたらしてくれます。メールやメッセージなどでも十分気持ちは伝わるかもしれませんが、そんな時代だからこそ余計に、紙の質感や筆跡など、アナログなお礼状の良さが伝わってくるかもしれませんね。