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「キャンピングカー旅」は本当に節約になる?17年で2台乗り継いだ私が断言「節約になるし、楽しい!」

旅エッセイストの国井律子です。 5月になり、夏休みが近づいてきて、旅の季節に入りました。今回の連載「無駄のない暮らし」は、「キャンピングカーの旅って節約になるの?」です。
私は免許取りたての10代のころからちょいちょい車中泊をしていましたが、満を持して憧れのキャンピングカーに乗り始めたのは2008年。その後家族が増えたので設備が充実した車両に乗り継いで……。果たしてキャンピングカーって本当に節約になっているでしょうか。発表したいと思います!

最近旅費が高すぎる!

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栃木県は湯ノ湖にて。目覚めたらこんな景色が見られるのもキャンピングカー旅のいいところ。
石川県の千里浜なぎさドライブウェイでちょっと休憩。海が間近。

コロナ騒動が落ち着いて、国内、インバウンドともに旅行需要が増しているこのごろ。
次男が通っていた幼稚園が主催するスキーレースの応援で、新潟県湯沢町に行ってきたときのこと。たくさんの保護者が一堂に会したのですが、なかには宿が取れなくて行くのをあきらめたご家庭や、「宿泊費が高過ぎて鼻血そう!」と嘆くママ友もいました。

そんななか、われわれはキャンピングカーなので宿泊はもちろん問題なし。充実の旅となったのですが、この春から次男が小学校に進学し、未就学児から小児料金へ。ますます旅費がかさむようになったわが家です。海外なんてちょっとやそっとじゃ行けません。春休みは家族でタイに行きたいなーと試算したら、100万円コース。あっさりあきらめました……。
独身時代、バンバンひとり旅していたころが、気楽で安く行けてよかったなーと遠い目になっているこのごろです……。

子どもの成長はうれしい。でも旅費は高い。なんだか世知辛い旅エッセイストですが、「キャンピングカー」には救われています。

クルマはそれだけ!一台体制のキャンピングカーライフ

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キャンピングカーでわが街、世田谷を走る。
ちょっと背が高いだけで、普通のクルマと同じです。
経堂のゴミゴミした商店街も突っ込みます。

1台目のキャンピングカーは中古で、寝るための最低限の装備しかないクルマでした。旅の要領を得た2台目は、家族が増えたこともあり、オプションが整った新車を購入。乗り出し900万円ほどでしょうか。ちまたで「高級車」とくくられるくらいの価格帯です。

値段だけ聞くと高く感じるかもしれませんが、うちの自家用車はこの一台だけ。徒歩かママチャリか公共交通機関で事足りるからです。週末にスーパーへちょっとまとめ買いに行くとかは、キャンピングカーで出かけています。運転で気を付けるべきは「車高」。看板の出っ張りに気を付けたり、立体駐車場とかには停められませんけど、平面駐車場ならOK。あとは「悪目立ちする」ことを除いたらふつうのクルマです(笑)。

わが家のキャンピングカーは「普通車」扱いです。駐車場は自宅に停めているので料金がかかっていませんが、税金、車検など維持費は乗用車同様にあります。ひとつこだわったポイントは、車両が「TOYOTA」ということ。近所のTOYOTAディーラーでほかのTOYOTA車と同様に車検が通せます。輸入車は雰囲気はとても素敵ですが、修理代金が高かったり、パーツの取り寄せに時間がかかることもあるそうです。

立体駐車場は車高がアウト。搬入車スペースに通されます。混んでいるときはワープできてラッキーなことも。
飛び出した道路標識や看板は、運転に慣れるまで注意。

乗用車としての「普段使い」もでき、予期せぬ災害などの「シェルター」にもなるキャンピングカー。とくに小さなお子さんやペットさんがいるご家庭は、人目を気にせず過ごせます。ただ、狭い空間で活発な次男に大声を出されるとツラいときもありますが……(笑)。そういうときはドアを開けたらすぐそこはフィールド。大自然のなかで、エネルギーを発散させてきてもらっています。そういう使い方ができるのも、キャンピングカーのいいところかもしれません。

高級車は機能的には走るだけですが、キャンピングカーは寝たり、食事したり、目を覚ましたら大自然のなかにいたり。いろんな経験、楽しみを私たちに提供してくれます。基本的にキャンピングカーの旅でかかるオカネは、大まかに言えばガソリン代、高速道路代、食費くらいです。そう考えたら、キャンピングカーって「高コスパ」なクルマだと思うんです。

最近はキャンピングカー人気が高まって、私が購入したときよりも同車種で200万円前後値上がっているそうです。しかし中古の車両が市場に多く出回っています。また安めの車体を購入してご自身でDIYカスタマイズしたり。そのように工夫することにより、購入費用をずいぶん抑えることもできます。

赤ちゃんだったころの次男。好きなタイミングでミルクタイム。
スキー場の駐車場は端っこに停めている。ほかのクルマが通ることがないので子どもが安全に遊べる。
レンジもあるので、いざという震災のときなども快適に過ごせます。

キャンピングカーのお得ポイント解説します!

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1:宿泊費の大幅節約ができる

基本的に私はキャンプはしないのですが、気候がいいときはオーニングを出してランチなど。
電源が繋げられる「RVパーク」ではバッテリー残量を気にせずエアコンON。外は豪雪でも車内は半袖で過ごせます。

ホテルに泊まらなくてすむので人数分の宿泊費が浮きます。これは大きいです。ペットOKのホテルは割高なことが多く、ワンちゃんがいるご家庭はとくにお得かもしれません。

そのように複数人だと割安感が大きいキャンピングカーです。「何人寝られるの?」という質問、本当によくされますが、私は4~5人がマックスかなと思います。つまりひと家族ですね。一応うちのクルマは7人寝られますが、そんな大人数で寝た日には、密になりすぎて息苦しいでしょう(笑)。ともあれ、家族や3~4人くらいのグループでの移動・宿泊がまとめてできるので、コスパは絶対にいいですね。

また、夏場・冬場は外部電源を繋げて、バッテリー残量を気にせずエアコンをガンガンで使用したい。そんなときに利用するのが「RVパーク」。一泊一台2,500円~5,000円くらいでしょうか。それでも宿に比べたら全然安いですよね。

2:外食費を抑えられる

キッチンがあるとはいえかなり狭い。なるべく切ったり焼いたりしないメニューにしています。
冷蔵庫はじゅうぶんな大きさ。ビールや白ワインが常にキンキンですよー。
自宅から持ってきたストックおかずをまずは消化します。

キッチン付きなら自炊も可能。地元のスーパーや道の駅で食材を買えば、家計にもやさしいです。
しかも旅先のごはんは濃い味付けのときが多く、旅に出ると子どもたちが水をがぶ飲みしています。また糖質過多のメニューが多く、そのあたりも自宅同様に調整ができます。私のような「万年ダイエッター」にもメリットは多いですね。

わが家のキャンピングカー「食事ルーティン」紹介

混雑を避けて前の晩から出ることが多いので、夕飯はサクッと食べられるものを。
朝は簡単にパン食。サッと食べて遊びに行きたい。
昼ごはんは前の晩の鍋出汁を使用したメニューが多い。
  • 夕飯は鍋と総菜
    →地元で買っていくことが多いです。刺身や総菜を副菜にして、メインははじめからカットされた食材をドサドサ入れるだけの鍋。旅先で包丁は使わない主義なんです(笑)。左下の細ネギなどはあらかじめ家で切ってきます。この日はキムチ鍋。いつまでたっても車内からキムチ臭が消えなくて大変でしたが(笑)。子どもはおにぎりや白米などをプラス、大人は晩酌がメインなので炭水化物でシメず、鍋出汁は翌日に取りおきます。
  • 朝食はパン
    →早く遊びに行きたいので、朝ごはんに時間はかけたくない派です。素早く食べられるパンが多いです。お皿にサラダをドサッと盛って、スープにお湯を注ぐだけ。
  • 昼食は前の晩の鍋出汁を使用
    午前中たっぷりフィールドで遊んだ昼は、朝よりも時間があります。前の日の鍋出汁のシメをいただきます。この日はキムチ鍋に煮込みラーメンを投入。おいしかったけど車内に臭いが……(笑)。別茹での必要がない冷凍うどん、軽くレンチンしたごはんで雑炊などもします。市販の温玉を乗っけたら、栄養バランスのよいランチになります。

国井律子が勝手にピックアップする「オススメご当地スーパー」

新潟の「原信ナルス」は魚介も肉も安くて新鮮。
千葉は房総半島によくある「ODOYA」は刺身がおいしい。
  • 千葉県房総半島「ODOYA」
  • 静岡県「フードストアあおき」
  • 新潟県「原信ナルス」
  • 長野県「ツルヤ」
  • 三重県「ぎゅーとら」
  • 和歌山県「オークワ」
  • 高知県「サニーマート」  

皆さんも旅先でひいきにしているスーパー、ありますか?
ちなみに
わが街世田谷の気の利くスーパーは「信濃屋」です。やや高めなのですが刺身も総菜もとてもおいしい。そこで買い出ししてから出かけています。デパ地下などで購入することも多いですね。それでもサービスエリアや居酒屋などで家族4人でちょっと外食するよりも、ずっと安上がりです。

3:フレキシブルな行動・移動ができる

移動中、思い思いの時間を過ごしています。夫よ運転ありがとう。
交通情報をチェックしたら高速道路が混んでいたので、時間つぶしに今夜の食材を求めて市場を散策。
夫と次男がゲレンデに滑りに行っている間、長男は学校の宿題をしています。

旅人の鉄則「みんなと同じ行動を取らない」。
連休のお出かけでも、キャンピングカーがあれば混雑が避けられます。というのも帰りの高速道路が混んでいたら、車内で夕飯を食べたり、風呂に入ったりして「タイムラグ」を作ります。連休中でも渋滞にさほど巻き込まれず家に帰ることができますよ。渋滞ってほんと時間と体力の無駄なので……。

より天気のいい方へと自由にルートを変えたり、日本中の「名湯巡り」もできます。温泉好きにはたまりませんね。あえてデメリットを言うなら、お風呂代が毎回かかることでしょうか(笑)。

リモートワークが定着して、お休み中もPC持参、旅先で仕事をするという方も多いのではないでしょうか。キャンピングカーがあれば、コワーキングスペースなど利用せず、車内で仕事に没頭できます。またお湯を沸かしてコーヒーを淹れたりなど、カフェ代の節約にもなりますね。

キャンピングカーに向いているのはどんな人?

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  • 向いている人

車両の初期投資がそこそこするので、泊まるほどにお得になるキャンピングカーです。わが家のように子連れ家族で、長い休みのたびに3泊4日くらいの旅に出かけたり、ペット連れでホテルなどが泊まりにくいケースなど。釣りやサーフィンや登山などの趣味で毎週のように出かける人。観光地のホテルが高騰しているとき自由にルート変更したい人にはメリットしかないですね。
ちなみにわが家は年間20~30泊は車中泊をしています。家族4人でざっくりと一泊4万円かかるとして、一年で80~120万円。いまの車両を購入してから10年。購入時の乗り出しが900万円ほどで、その間もほかにクルマを所有してこなかったので十分に元は取っていると思います。

  • 向いていない人

日常でしょっちゅう利用しないとコスパが悪い、ということに尽きますね。また旅の快適さやラクさを重視する人は、ホテル泊の方がいいかもしれません。クルマの維持にお金や手間をかけたくないという場合は購入・所有ではなく、レンタルという作戦も。

茨城は大洗を旅していたら地元の皆さんが潮干狩りをしていて……。私たちも急きょ加わりました(笑)。
栃木の湯ノ湖畔にて、クルマで夕飯を食べていたら突如ドーンと。びっくりしたー。キャンピングカーで旅をしているとこういううれしいサプライズも。
一番コスパがいいのは雪遊びの旅!リフト代はかかりますが宿泊費でギュッと節約できる。

もちろん旅費を「節約」できるのはうれしい要素ですが、キャンピングカーの最大の魅力は「非日常の景色に飛び込める」だと思います。家族や仲間などと、ぜひ「移動する別荘」ですてきな時間を体験してみてはいかがでしょうか。

国井律子
国井律子

1975年東京生まれ。大学卒業後ラジオレポーターなどを経て二輪雑誌でエッセイスト・デビュー。現在は、オートバイのほか、旅、クルマ(キャンピングカー所有)、自転車、サーフィン(ショートもロングも)、スノーボード、ファミリートレッキングなど多趣味をいかしたエッセイを執筆中。旅が好きなのと同時に、おうちも大好き。家での一番の趣味は収納(整理収納アドバイザー1級資格取得)。いかにラクするか考えること、「時短」という言葉も大好き。嫌いな言葉は「二度手間」。インテリア、ネットショッピング、お取り寄せグルメ・酒、手抜きおつまみ作りに熱心。「痩せたい」というのが口癖。直近は苦手な掃除をがんばっている。飼い犬はボストンテリア。ふたりの男児の母でもある。

https://ameblo.jp/kuniritsu/
https://www.instagram.com/ritsuko_kunii/

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