1年間お世話になった方への感謝の気持ちを込めて
null現代では少しずつ贈る人も減ってきていますが、個人間でもビジネスの関係でも、日頃のお付き合いへの感謝の気持ちを表す良い機会として親しまれているお歳暮。贈る際に気を付けるべきマナーには以下のような点があります。
お歳暮を贈る時期は12/20まで、が基本!
お歳暮を贈る時期は地域によって多少異なりますが、関東では12月初旬~20日頃、関西では12月10日~20日頃とされています。
年末は誰もが何かと忙しいことに加え、年末年始の休みなども考慮して、相手が確実に贈り物を受け取れるように手配することが大切です。遅くとも20日までには先方に届くように手配しましょう。
ただし、お歳暮では、お正月の料理に使える生鮮食品を贈ることも多くあります。その場合は、あまりに早い到着だとタイミングが合わないので、20日より遅くなることがあってもいいでしょう。もちろん相手の都合をきちんと考慮することが必要です。
お歳暮ののしの選び方
お歳暮は改まった贈り物。のし紙には赤白の蝶結びの水引がかかったものを選びます。
のし紙の表書き(名目)は「御歳暮」とします。都合でお歳暮の時期が過ぎてしまった場合は、年明けから松の内までは「御年賀」、松の内を過ぎてから立春までは「寒中御見舞」という表書きに変えます。寒中御見舞いとして目上の方に品物を贈る場合は、表書きを「寒中御伺」にするとさらに丁寧な印象になります。
喪中でもお歳暮を贈ってもいいの?
お歳暮はお祝いではないため、贈る・受け取る側のどちらが喪中の場合でも贈ることができます。ただし、こちらから贈る場合、お歳暮を忌中(仏式では忌日から四十九日までを指します)に贈ることは避けます。さらにその後の松の内(1月7日頃)の期間が過ぎるのを待ち、8日以降に寒中見舞い(のし紙には「寒中御見舞」)として贈るようにします。
どちらの場合も赤白の水引は避け、水引の印刷のないかけ紙や短冊に「御歳暮」や「寒中御見舞」と書いたものを用います。
お歳暮の相場は5,000円前後と考えて
お歳暮の相場は相手との付き合いの深さなどで決まりますが、一般的には以下の通りです。
- 取引先や友人、知人:3,000円程度
- お世話になっている上司・結婚式の仲人:5,000円程度
- 同居でない親:5,000円程度
- 親類:3,000~5,000円程度
- 特にお世話になった相手:5,000円~1万円程度
- お中元を贈らずお歳暮だけ贈る場合、5,000円~1万円程度
お歳暮はその年限りのものではなく、毎年贈り続けることが多いものです。一度贈ったものから金額を下げるのは難しいので、5,000円程度を上限と考えるのが無難でしょう。
お歳暮には送り状・添え状を!
nullお歳暮を宅配で贈る場合は、事前に「送り状」(手紙・はがき)で相手に小包が届くことを知らせておくのがマナーです。その際は季節感のある絵柄のはがきや便せんを選びましょう。目上の人やビジネス関係の相手にははがきでなく封書で送る方がより丁寧です。
送り状の文例
【1】目上の相手
拝啓 師走の候、ご多忙な毎日をお過ごしと存じます。
○○様にはご清祥のことと改めてお喜び申し上げます。
本年も特別にご厚誼いただき、誠に有難うございました。
つきましては、○○様への感謝の気持ちを込めまして、
心ばかりのお歳暮の品をお送りいたしました。
ご笑納いただければ幸いです。
来年もご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
敬具
【2】取引先などビジネス関係の相手
謹啓 師走の候、貴社ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
平素は、格段のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
本年、多大なるご厚誼ご鞭撻を賜りました御礼と、
歳末のご挨拶を兼ねまして、別便にて心ばかりの品をお送りいたしました。
ご笑納いただければ幸いに存じます。
略儀ながら、歳末のご挨拶を書面にて申し上げます。
謹白
【3】親族・親しい相手
いよいよ年の瀬も押しせまって参りましたが、ご家族の皆様はお元気でしょうか。
おかげ様で、私どもは変わりなく過ごしております。
本日、日頃の御礼と年末のご挨拶代わりに、別便にて◯◯をお送りしました。
ご笑納いただければ幸いです。
寒さが一段と厳しくなります。お身体を大事になさって、良い新年をお迎えください。
送り状ではなく添え状をつける場合
贈り物に手紙を同封する「添え状」は、より簡略化したものとして親しい人に贈る場合などに利用しましょう。文章の内容は上記の送り状と同じ内容です。ただし、言葉遣いをところどころ変える必要があります。
例:「別便にて心ばかりの品をお送りいたしました」を、「心ばかりの品をお贈りいたします」に変更するなど。
また、デパートなどからお歳暮の品に同封して送付する場合、手紙やカードなどは、無封(封筒を糊付けなどしていない)の状態でしか受け付けてくれないので、注意が必要です。
お歳暮はお正月の先祖へのお供えが起源
nullここで、意外と知らないお歳暮の起源についての豆知識を。
お歳暮とは、12月初旬から年末にかけて、日頃お世話になっている人へ、感謝の気持ちを品物に代えて贈る風習です。本来は風呂敷で包んだお礼の品物を持参し、相手を訪問して「年末の挨拶」としました。最近ではすっかり、宅配便で届けるのが主流となっています。
そもそも日本には、お正月にご先祖様の霊を迎える「御霊祭」のためにお供えをする風習がありました。そのお供え物として、よそに嫁いだ人や分家の人たちが、年末に、お神酒のおつまみになるような塩鮭やするめ、数の子などを本家や実家に持っていくという行事があり、これがお歳暮の元になっていると考えられています。
ここから進んで、江戸時代には武士が今で言う上司、所属する集団の長に年末に贈り物をする習慣が生まれました。一方、商人の世界では掛け売りの商売が行われており、まとめて清算するのはおおよそお盆と年末の時期。その清算の際に得意先に贈り物をする人がだんだんと増えていきました。明治時代以降は、上司やお世話になった方にも贈り物をするようになり、お歳暮の習慣が一気に広まりました。
元は先祖の霊へのお供えという慣習から、年末の親や実家への年末の挨拶、さらにお世話になった人や得意先への感謝の贈り物へと、だんだんと変化していったものが現在の「お歳暮」につながっているのです。
お歳暮は1年間の締めくくりのご挨拶という意味があるので、半年間の感謝を表わすお中元よりも重きがおかれています。お中元を省いても、お歳暮だけは欠かさないというケースもあります。
いかがでしたか?
お歳暮には食品を贈ることも多いですから、品物を選ぶときに大切なことは、相手の好みや家族構成に合わせるということです。1人暮らしか、家族がいる場合は、子供がいるのか、夫婦だけなのかなどの要素によって選ぶものも変わりますね。家族全員に喜んでもらえるお歳暮の品を贈りたいものです。いずれにしても、お正月に使って嬉しい品物選びを基本と考えましょう。