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どんな種類を選んだらいい?葬儀の「供花」を贈るときのマナー

/ [最終更新日] 2022.03.03

葬儀用の“供花”を贈るとき、どのような物を選んで、どのようなことに配慮したらいいのでしょうか。
今回も、供花を贈る際のマナーを葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタントの吉川美津子さんがレクチャーします。

「供花」の読み方や供花の目的について解説

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「供花」の読み方は?

葬儀用の花は“供花”と言い、神仏や故人に花を供えることや、その花のことを指します。

“供花”には“きょうか”と“くげ”、2つの読み方がありますが、葬儀の現場では“きょうか”と呼ぶのが一般的です。“くげ”には“供華”という表記法もあり、その場合は仏堂などで仏具に供える花を指し、より狭い意味となるからです。

「供花」ってどんな花のこと?

お悔みの場面の供花には、2つの種類があることを覚えておきましょう。

(1) 葬儀場に手配を依頼して、祭壇や葬儀場に飾る供花

(2) 自分で選んで故人の遺族に贈る供花

どちらも“供花”ですが、混同しやすいので、分けて考える必要があります。

「供花」と「枕花」の違いは?

“供花”と“枕花”(まくらばな)も混同しやすいのですが、“枕花”は供花の中でも通夜や葬儀の前に、納棺する前の故人の枕元に手向ける花のことを指します。

葬儀社経由で手配!葬儀場への「供花」の贈り方

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続いて、葬儀場に手配を依頼して、祭壇や葬儀場に飾る供花の手配法について解説します。

葬儀場に供花を贈るときには事前に「お花を贈りたい」と遺族に伝え、指定された葬儀社に依頼します。

葬儀社に連絡をしたら、供花の費用、花の種類を確認して手配をします。供花に添える芳名板に書く社名や氏名も間違いのないように伝えましょう。このとき、支払い方法も確認しておきます。

葬儀場用の供花は通夜や葬儀の会場で使用するものなので、注文はできるだけ早めに済ませておきます。

「供花」を手配するときの注意点は?

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「花環」(はなわ)を禁止する葬儀場は多い

注意したいのが、祭壇用の供花を自分で手配するケースです。葬儀社は、祭壇の統一感を調整しながら、地域や宗派も配慮して供花を選んでいます。そのため、自分で供花を手配してしまうとせっかく贈っても会場に飾ることができないケースも出てきます。

中には「他社生花店からの供花持ち込みはお断り」というルールを設けている式場もあります。

また、近年では花環(はなわ)を禁止する式場も増加傾向にあります。いずれにしても、供花を贈る前には必ず葬儀社に確認をしましょう。

キリスト教の場合は?

キリスト教会で葬儀を行う場合、供花の持ち込みを受け付けないケースがあります。宗派や担当する葬儀社によってルールが異なります。事前に葬儀社に確認をしておきましょう。

供花の種類や相場

地域によっても異なりますが、全国的にみると、供花の相場は15,000円~20,000円程度です。先述したように、ほとんどの場合、葬儀社が葬儀場の雰囲気や宗派を配慮しながら花選びやアレンジをしますので、花の種類について依頼者が悩む必要はありません。

「ご厚志辞退」の場合の対応法

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最近の葬儀では、「ご厚志辞退」というケースが少なくありません。

葬儀案内の内容に「ご厚志辞退」との表記があったら、香典・供花・供物を辞退するという意味になりますので、供花を贈るのは控えましょう。

さらに、「供花・供物は辞退」という場合もあります。葬儀案内の内容を事前に確認しておきましょう。

供花につける「芳名板」の書き方

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供花には、団体や個人の名前を表記した芳名板が添えられます。個人で贈る場合、会社や団体で贈る場合など、様々なケースがありますが、以下のように表記します。

【芳名板 表記例】

・山田 太郎
・〇〇株式会社
・友人一同
・いとこ一同
・孫一同
・△△サークルOB一同
・□□同好会

ちなみに、最近では花に添えられた芳名板が外され、葬儀場の入り口付近にまとめられるケースも増えています。

遺族や故人の自宅に「供花」を贈る場合

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続いて、遺族や故人の自宅に供花を贈る場合について解説していきます。

供花を贈ったり持参する場合には、生花店で供花であることを伝え、お悔みのシーンを想定した花束やかご花などを作ってもらいます。

供花の選び方は?NGな花はある

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自宅に贈る場合は、故人の好きだった花を混ぜてもらうのもいいでしょう。「仏壇には菊の花を」と思っているかたが多いようですが、自宅用の供花に関しては、特に「これでなければいけない」というルールはありません。

一説では、トゲのある花や華美すぎる花は避けたほうがいいとも言われています。しかし、最近では、故人の好みに寄り添って花を選ぶケースもあるようです。

地域の風習を踏まえながら、故人への思いや、家族を慰める気持ちを大切にしたいものです。

供花を贈るときにはどんな配慮をしたらいい?

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葬儀を終えた後の遺族は喪失感を抱えながら、様々な雑事や手続きに追われている状態です。また、葬儀が終わって間もない時期は、葬儀場の花の一部を自宅に持ち帰っているケースもあります。

あまり大きな花束を贈ると、毎日の手入れが大変ですので、贈る相手の状況を配慮して選んだほうがいいでしょう。たとえお返しを想定していなくても、豪華な花束を渡すことで相手にお返しの負担をかけてしまう場合があります。値の張るものよりも、比較的手ごろな値段で探すのがいいかもしれません。

今回は、“供花”の贈り方について吉川美津子さんにお話をうかがいました。

親しい友人や、会社の同僚の家族が亡くなった場合などは、複数人で葬儀場に供花を贈るケースが多いようです。手配から支払いまでの流れを把握しておきましょう。

【取材協力・監修】

葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタント

吉川 美津子(きっかわ みつこ)

大手葬儀社、大手仏壇・墓石販売店勤務を経て、専門学校にて葬祭マネジメントコース運営に参画。現在は葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタントとしての活動に加え、医療・介護と葬送・供養の連携を視野に葬送・終活ソーシャルワーカー(社会福祉士)としても活動している。

共同監修『葬儀・相続 手続きとお金』(扶桑社)、共著『死後離婚』(洋泉社)、著書『お墓の大問題』(小学館)など。

葬儀ビジネス研究所

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