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相場はいくら? 現代版「香典の金額」と気をつけたい参列者のマナー

/ [最終更新日] 2022.03.03

お通夜や告別式に参列する際に持参する“香典”。金額は相手との関係性や立場によって変化しますが、大体の相場はどのくらいかご存じですか? ある程度の幅はあるものの、近年の香典返しの慣例から、故人が友人や知人の場合でも少なくとも5,000円程度は用意したほうがいいとの見方もあるよう。

昨今の葬儀事情を踏まえた香典の相場やマナーについて、葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタントの吉川美津子さんが解説します。

「香典」の由来と元々の意味

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お金を渡す香典のはじまりと意味って?

香典にはもともと“相互扶助”の意味合いがあります。かつての葬儀では、遺族が近隣の人に食事を振る舞う習慣があり、金銭的に大きな負担になっていました。そこで近隣地域の人たちがお互いに助け合うため、食物は弔問客が持ち寄るようになったそう。

これが戦後になって、金銭による香典に変化したのです。

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何で決まる? 香典の金額と相場

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香典の金額は、大体の目安と故人との関係性によって決まる

まずは、一般的に言われている香典の相場をご紹介しましょう。

(1)両親:5万円~10万円

(2)祖父母:2万円~5万円

(3)兄弟姉妹:2万円~5万円

(4)友人、知人、隣人:5,000円~2万円

(5)仕事関係者:5,000円~2万円

(6)顔見知り程度であれば3,000円~1万円

金額は上記を目安に、故人との関係性や年齢・立場によっても変わります。

たとえば両親であれば5万円~10万円、親しい友人の場合は1万円、仕事の関係者でお世話になった人や、自分自身が故人より高い立場にいる場合は1万円などです。

以前に相手から親族が香典をいただいている場合は、その金額を参考にしましょう。

香典の金額は多ければよいではなく、遺族のことを考慮に入れて

香典は多ければ多いほどいい、ということでもありません。いずれいただいた側に葬儀があった場合、遺族は同程度の金額を返す必要があるため、むやみに高額だとかえって負担になってしまうことも。

基本的に金額は故人とのかかわりを重視して考え、地域や町会などのしきたりで決まっていることもあるので、悩んだ場合は周囲に相談してみましょう。

なお、香典は通夜か告別式のどちらかに持参します。通夜と告別式の両方に参列する場合は、通夜のときに持参すれば告別式で供(そな)えなくてもかまいません。

香典 金額 相場

香典で包むお札の枚数は「1・3・5・10」が主流

明確な理由はありませんが、偶数は割り切れるため「縁が切れる」と解釈され気にする人も少なからずいることから、香典のお札の枚数は1枚、3枚、10枚(すべて同じ種類のお札)で、金額は1・3・5・10の数字にするのが一般的です。つまり3,000円の次は5,000円、その次は1万円です。

4,000円、2万円、6万円などが失礼になるわけではありませんが、その場合、例えば2万円だったら1万円札と5千円札2枚を包み奇数にするなど配慮すると良いでしょう。

即日の香典返し…3,000円以下の香典だと金額が十分ではないことも

最近は葬儀の当日に香典返しを渡すパターンが増えていて、首都圏では8~9割程度も。

香典返しは香典の半分程度の額にするのが一般的。そのため多くの場合、遺族側は5,000円の香典を想定して2,000円~3,000円程度の品物を用意しています。このほか、遺族は食べ物やお酒などの“通夜ぶるまい”や参列者全員に渡す1,000円程度の“返礼品”も用意していることが多いため、3,000円の香典ではむしろ遺族に負担をかけてしまうケースが出てきます。

会社や町内会などで香典の金額が決まっている場合は別ですが、通夜や告別式に参列するなら、少なくとも5,000円を渡すようにするといいでしょう。

金額以外にも! 香典に入れるお札のマナー

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香典にピン札はNG? 気になるときの対処法

香典は「前もって準備するものではない」との考え方から、以前は新札を使用するのはよくないとされていました。けれど、近年は金融機関のATMなどで簡単に新札に替えられることもあり、新札を入れてもマナー違反にはなりません。

たまたま新札しか手元になく、どうしても気になる場合はお札に折り目をつけるといいでしょう。

使い古したお札は失礼にあたる? 封筒に入れる向きは…

香典のお金は旧札でもまったく問題ありませんが、シワのたくさんついた使い古しのお札は故人に供えるものとしてふさわしくありません。傷んでいるお札を包むのは避けましょう。

なお、封筒(中袋)にお札を入れる向きには諸説ありますが、とくにこだわらなくていいでしょう。

避けるのが賢明? 香典を連名で渡すときのマナー

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遺族は、参列者の記名で故人との関係性を把握

連名で香典を渡すことはマナー違反ではありませんが、じつは遺族側には手間をかけてしまう可能性が高いので注意が必要。

遺族は、故人と参列者の関係性を“香典袋”“会葬者芳名帳(かいそうしゃほうめいちょう)”“香典帳”“供花供物帳(くげくもつちょう)”をすり合わせることで把握していきます。

すべてに名前が書かれてあれば、その人と故人との関係性や、どれだけの香典を持参したのかがわかるので、香典返しや挨拶状の発送がスムーズに行えるのです。

香典はできれば連名ではなく、個人で用意したほうがベター

葬儀後の負担を減らすためにも、香典は連名ではなく、なるべく個別に渡したほうが遺族側は助かるでしょう。

連名で香典を渡して中袋の住所が代表者のみになっていると、香典返しや挨拶状をどこに送ればよいか悩んでしまうことに。また、香典返しの中身そのものにも頭を悩ませてしまうでしょう。

さらに、香典の連盟の代表者のみが通夜や告別式に参列した場合は、残りの人たちが故人とどういった関係にあるのか把握するのが難しくなってしまいます。

連名で渡すときの香典袋の書き方

やむを得ず香典を連名で渡す場合は、最大でも3名が一般的。名前は中央から右上位(右側が目上、左側が目下の順番)で、もしくは五十音順で記入します。

そして、香典を送った全員の名前と住所を便せんなどに記して入れておくと親切です。

「○○一同」として香典を渡す場合も、別途名前を記して

4名以上の大人数で香典を送る場合、表書きには「○○部有志」「○○ 外一同」などと記し、中袋には代表者の氏名と住所を記します。さらに中には便せんなどに全員の氏名を記した紙を入れましょう。この場合、香典返しは代表者に届くようになります。

法要の香典

法要は身内で営まれることが多いのですが、四十九日忌や一周忌法要の場合は、親交の深かった友人・知人が招かれることもあります。法要に出席する際には、お香典を包みます。金額は法要の形態、地域の慣習、故人や遺族とのお付き合いの度合いによって異なるものの、1万円~3万円程度が一般的です。身内で営まれる場合、参列者同士で金額を相談して決めるケースも多く見受けられます。

 

故人との最期のお別れの場になることが多い、お通夜やお葬式。お供えする香典のマナーもきちんと把握して、遺族に負担をかけずにお見送りしたいものですね。

 


 

【監修】

葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタント

吉川 美津子(きっかわ みつこ)

大手葬儀社、大手仏壇・墓石販売店勤務を経て、専門学校にて葬祭マネジメントコース運営に参画。現在は葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタントとしての活動に加え、医療・介護と葬送・供養の連携を視野に葬送・終活ソーシャルワーカー(社会福祉士)としても活動している。

共同監修『葬儀・相続 手続きとお金』(扶桑社)、共著『死後離婚』(洋泉社)、著書『お墓の大問題』(小学館)など。

葬儀ビジネス研究所:http://www.1sogi.com/info/profile.html

葬送儀礼マナー検定:https://funeral-manner.org/

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