連名にするときの「香典袋の書き方」
null表書きの名前は最大3名、右上位か五十音順に
表書きに名前を書く場合は最大3名までが一般的。それぞれの名前は、中央から右上位(右側が目上、左側が目下の順番)、もしくは五十音順で記入するようにします。
内袋の裏側には必ず全員の氏名と住所を記しましょう。
大人数の連名は、香典に全員の氏名を書いたリストを同封
大人数の場合は、香典袋には「○○部有志」「○○ 外一同」「○山○子 他一同」などと書き、中には便せんなどに全員の氏名を記した紙のリストを入れましょう。内袋の裏側の連絡先は代表者のものを書きます。
故人が以前勤めていた会社の同僚一同で香典を送るなど、遺族がすぐに故人との関係性がわからないような場合は、一筆添えたうえで、代表者の名刺を入れておくのもいい方法です。
香典を連名にするときに気をつけたいこと
null全員が葬儀に参列する場合は、香典を個別で用意
香典を連名にするとき、代表者のみが葬儀に参列するパターンと全員が葬儀に参列するパターンがあるでしょう。ですが、もし全員で弔問に訪れる場合は、香典は連名ではなく個別にしましょう。
なぜなら、最近ではその場で香典返しをするケースが多く、2,000円~3,000円相当の品物が用意されています。そのほか返礼品もあるので、もし3名連名で香典が1万円という場合は、かえって遺族の負担になってしまう可能性が出てくるからです。
それでも何かの理由があって連名で参列する場合は、知人・友人の関係性であれば5,000円~1万円を目安にしましょう。
代表者のみ参列する場合は、芳名帳も当人のみ
連名の香典袋を持って代表者のみが葬儀に参列する場合、芳名帳には代表者の氏名・住所のみを記入します。全員の氏名・住所は、前出のように内袋の裏側に記し、人数が多い場合は別紙にリスト化して同封すればOK。
遺族側の香典の管理がスムーズに行えるようになります。
香典を預かり、代表者のみが参列する場合の注意点
香典の管理は、遺族が“芳名帳”“香典帳”“香典袋”の3つを照らし合わせながら行います。芳名帳は葬儀の受付で参列者が氏名と名前を書くもの、香典帳は担当者が香典袋をもとに香典を持参した人の名前・住所・香典の金額を記していくものです。
連名ではなく、何人かが個別で用意した香典を代表者がまとめて持参して葬儀に参列した場合、参列していない人の名前が香典帳にあると、帳面を照らし合わせただけでは、遺族側は実際にその人が弔問に訪れたのかどうかわからなくなることが。
他の人の香典を預かった場合は、香典だけで参列していない人の名前も芳名帳に記入したほうがいいかどうか、受付に聞いてみましょう。
香典ではなく、一同で供花や供物をおくるとき
null事前に遺族などに問い合わせ、葬儀社に依頼
大人数の場合は、香典ではなく供花や供物を送るケースもあります。ただ会場の規模によっては生花を飾れない、遺族側が供花・供物の辞退を申し出ていることもあるので、事前に遺族や世話役に問い合わせてみましょう。
供花は生花店で作ってもらうこともできますが、祭壇は決められた生花でトータルコーディネートをすることも少なくないため、持ち込みができない場合も。送ることになったら、葬儀社に依頼するのがスムーズです。
供物は供花と同等サイズの盛籠(もりかご)を祭壇に飾るのが一般的ですが、最近は葬儀の簡略化が進み、供物を送る習慣も減ってきています。まずは遺族に供物を送ってもよいかを問い合わせ、その後で葬儀社に依頼しましょう。
誰かの代理で参列するときに気をつけたいこと
null芳名帳の記帳には「代理の印」をつける
誰かの代理で参列する場合は、記帳するときに“代理である印”をつけておくと、後で遺族が整理する際にわかりやすくなります。
例えば上司の代わりに参列する場合は、上司の部署名・役職名・名前を書いた下や横に、小さく「代」と書きます。妻が夫の代理で参列する場合は、夫の名前の下や横に「内」と書きます。
また、代理で参列した人の名前を入れる場合は「代」「内」に続けて書きます。
受付には「預かっておいた名刺」を渡す
受付で名刺を出す場合、誰かの代理で参列するときは自分の名刺ではなく、あらかじめ預かっておいた人の名刺を渡します。
現代では徐々に薄れつつありますが、預かった名刺と自分の名刺を一緒に渡す場合は、預かった名刺には角に「弔」の文字を入れ、自分の名刺は角を内側に折って渡すという慣習も。折るかわりに角に「代」の文字を入れてもOKです。
名刺は江戸時代から使われ始めましたが、当時は現在のような使われ方ではなく、訪問先が不在のときに来訪を知らせる意味で戸口の隙間に挟んで帰るという使い方がなされていました。その際、本人が来訪した場合に目印として角を折っていたことに端を発している習わしです。
いかがでしたか? 香典は、単に一緒に参列する人数が多いという理由だけで連名にするべきではないようですね。一番は香典の管理がスムーズにできるよう、遺族に負担をかけない贈り方をすること。
もし理由があって香典を連名にする場合は、参考にしてみてくださいね。
【取材協力・監修】
葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタント
吉川 美津子(きっかわ みつこ)
大手葬儀社、大手仏壇・墓石販売店勤務を経て、専門学校にて葬祭マネジメントコース運営に参画。現在は葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタントとしての活動に加え、医療・介護と葬送・供養の連携を視野に葬送・終活ソーシャルワーカー(社会福祉士)としても活動している。
共同監修『葬儀・相続 手続きとお金』(扶桑社)、共著『死後離婚』(洋泉社)、著書『お墓の大問題』(小学館)など。