女性用喪服の種類と立場ごとのスタイル
null喪服デザインの格と参列者が避けるべきもの
喪服のデザインには格があります。もっとも格上の“正喪服”そして“準喪服”は遺族が着用し、“準喪服”“略喪服”は参列者が着用します。
スタイルとしては、もっとも格上がワンピース、そのあとにアンサンブル、ツーピース、略式の礼装となるパンツスーツと続きます。格式が高くなるほど肌は隠されるようになり、正喪服では長袖のロング丈~ひざ丈のワンピース、黒のストッキングを着用します。
また、黒紋付の着物も正喪服になります。参列者は遺族よりも立場が下になるので、黒紋付を着用するのは避けましょう。
女性用喪服の種類とデザイン
(1)アンサンブルスーツ
ワンピースとジャケットがセットになっているもの。ひざ丈であれば準喪服として遺族、参列者ともに着用できます。春、秋、冬の3シーズンに対応します。
(2)ワンピース
詰襟・ロング丈・長袖のワンピースは正喪服として着用できます。夏用の準喪服として、五分~七分丈袖のワンピースを着用することもあります。
(3)ツーピース
ジャケットと、スカートもしくはパンツが分かれているスタイルで上下でセットになっています。夏場はトップスに、ジャケットの替わりにブラウスを合わせることもできるので、幅広く活用できます。
デザインにもよりますが、主に準喪服、略喪服として着用されます。詰襟でロングスカートなど、肌の露出を控えたデザインのタイプが正喪服です。
(4)パンツスーツ
喪服のパンツスーツは黒で統一され、胸元の詰まったデザインが一般的です。
準喪服・略喪服として着用できますが、遺族の場合はカジュアルに見えてしまうため、パンツスーツの着用は避けたほうが無難でしょう。
(5)ブラウス+スカート
黒色のシフォンブラウスとスカートの組み合わせは、夏の略喪服として一般的に着られています。ご家族・親族の考えや地域の風習にもよりますが、遺族であれば新盆、三回忌以降の法要などの着用に適しています。
(6)着物
家紋入りの和装は正喪服で、遺族が着用します。ただ現代は、遺族も洋装を着る場合が多いので、一般の参列者が着物を着用するケースは少なくなっています。
参列者が着物を縁として故人とつながりがある方、着付けや踊りの師匠で普段から着慣れている方など、特別な理由がある場合が多いです。
喪服を着るときのアクセサリーとネイルについて
nullアクセサリーは外すのが基本、つける場合も重ねづけなどに注意
葬儀はおしゃれを楽しむ場所ではないので、結婚指輪以外のアクセサリーは基本的に身に付けません。
つけたい場合は、白のパール、黒のオニキス程度にとどめ、“不幸が重なる”という語呂合わせから二連三連のデザインは避けます。ネックレスとイヤリング、ピアスの重ねづけも忌み嫌われるので注意しましょう。喪服を引き立てるようなデザインのものもNGです。
ネイルは立場で変化、指先を隠す手袋も
ネイルは落とすことが基本ですが、ジェルネイルはプロに頼まないと落とせない場合もあります。参列者は、よほどカラーが派手なものや飾りが目立つものでなければ、そのままでもいいでしょう。
指先が気になる場合は、葬儀用の黒手袋で隠すという方法もあります。焼香時のために指先だけを外せるタイプもあるので、探してみても。
ただし、遺族となった場合は、手間暇がかかってもネイルは落としましょう。
葬儀に参加するときのヘアスタイルとメイク
nullヘアスタイルは目立たないようにシンプルに…ただし黒染めの必要なし
ヘアスタイルはシンプルにしましょう。アップスタイルであれば、結ぶ位置を低くし、ひっつめやおだんごにします。髪の毛の色が金髪など明るい場合は黒に染め直す必要はありませんが、髪が長いのなら目立たないようにまとめるのがマナーです。
メイクは控えめが基本
ヘアスタイルと同様にお悔やみの場所ではメイクも控えめにします。派手なアイメイクは避け、まつ毛や眉毛はナチュラルに整えます。パール系のメイク、濃い色の口紅、香水も控えましょう。
シンプルがいいからといって、ノーメイクもラフな印象があり、場にそぐいません。ナチュラルメイクを基本にします。
葬儀用に揃えておくべき小物と使うときのマナー
null香典を包んで渡すための“袱紗(ふくさ)”は必ず持参して
喪服に気を取られるとつい忘れがちですが、必ず用意したい小物は袱紗(ふくさ)です。
日本は古来より、金封を袱紗に包み、袱紗の上にのせて渡す習わしがあります。包み方が難しい場合は、ポケット式の袱紗を使ってもいいでしょう。たとえ急な訃報だとしても、袱紗は100円ショップやスーパーなどでも購入できるので、必ず用意しておきたいものです。
仏具である念珠を持参するときは、念珠入れに
葬儀でよく見かける念珠は仏教徒であれば持ちますが、そうでない場合はどちらでもかまいません。念珠は仏具なので、持参する場合はポケットなどに乱雑にしまわず、念珠入れに入れるようにします。
素材や装飾によってはNGな小物も
バッグやパンプスはエナメル素材や金具が目立つものはNG。素材は殺生を連想させる革素材も避けたほうがいいという人もいますが、小物であれば爬虫類以外なら許容範囲です。
ストッキングは、遺族は黒、参列者は黒かベージュ(肌色)を着用します。
外国映画などで見る“トーク帽”、かぶってもいいの?
肌を隠すためにベールなどが施されていて、葬儀の際にかぶる帽子を“トーク帽”と言います。ファッションアイテムではなく、格式の高い正喪服用の小物です。手袋とセットで使用しますが、参列者が身に着けると遺族と同格、もしくは格上になってしまうので注意しましょう。
喪服の値段の相場と選び方
null販売店によって値段はさまざま、考え方に合わせて選んで
喪服の値段は数千円~十数万円までと、かなり幅があります。百貨店の場合は安くても5万円~10万円から、ショッピングモールのフォーマルコーナーでは3万円台が多いでしょう。このほか、紳士服店やデイリー使いのファッションブランド店では1万円~2万円前後で見つかります。インターネット通販では、1万円未満の喪服も珍しくありません。
奮発して1着を長く大切に着用する、お値ごろの喪服を葬儀のたびに買い替える、体格に合わせて節目の年代で手頃な価格の喪服を買うなど、どの価格帯の喪服を選ぶかについては、個々の考え方で決めていいでしょう。
チェックしたい「喪服」が買えるブランド&ショップ
null喪服が買える量販店やショッピングセンター、喪服を扱っている代表的な『kufura』世代のブランドをご紹介します。
セレクトショップ
婦人服フォーマルウェアブランド
ユキコキミジマ
婦人服ブランド
INDIVI(インディヴィ)
MICHIKO LONDON KOSHINO(ミチコ ロンドン コシノ)
紳士服店
洋服の青山
ショッピングセンター
【取材協力・監修】
葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタント
吉川 美津子(きっかわ みつこ)
大手葬儀社、大手仏壇・墓石販売店勤務を経て、専門学校にて葬祭マネジメントコース運営に参画。現在は葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタントとしての活動に加え、医療・介護と葬送・供養の連携を視野に葬送・終活ソーシャルワーカー(社会福祉士)としても活動している。
共同監修『葬儀・相続 手続きとお金』(扶桑社)、共著『死後離婚』(洋泉社)、著書『お墓の大問題』(小学館)など。