お通夜と告別式で服装マナーは違うもの?
null通夜は平服もしくは喪服、葬儀は喪服を着用
通夜には、「取り急ぎ駆けつけた」という意味をもたせるためもあり、かつては参列者は平服で訪問するのがマナーとされていました。
ただし近年は、携帯電話やSNSなどで連絡がとりやすい、亡くなられてから通夜までに日数があることが多い、日中の葬儀は仕事などで参列が難しい人が多いなどの理由から、喪服を着て通夜に参列するケースも多くみられます。ただ、会社帰りなどで準備できない場合のお通夜であれば、平服でもかまいません。
一方、葬儀は準喪服や略喪服を着用するのが基本です。平服は避けましょう。
通夜の席での平服とは?
通夜の平服はブラックスーツやダークカラーのスーツがベターですが、用意するのが難しい場合は、ビジネススーツやオフィススタイルで訪れてもOKです。カジュアルな印象にならないようにアクセサリーはつけず、スカート丈にも気を配りましょう。靴はブラックのパンプスなどシンプルなものがいいでしょう。
ただし、急な知らせでスーツ等の準備ができないケースもあります。その場合は、私服で駆けつけてもいいでしょう。
直葬や無宗教でのお別れの場合は?
最近では葬儀を行わない“直葬”も増えています。火葬後、自宅で行われるお別れの挨拶に伺う場合には、平服に近いダークカラーのスーツを選びます。
四十九日を過ぎてお別れの会が行われる場合は、会場によっても服装は異なります。レストランであれば平服、葬儀会館であれば略喪服など、シチュエーションに合わせるようにします。
また無宗教の葬儀の場合は、仏式に準じたものであれば喪服で参列しましょう。
どんな喪服を着ていけばいいの? 喪服選びのポイント
null立場に合わせた喪服を着用するのがマナー
喪服はもともと、“喪に服する”遺族だけが着用するものでした。戦後になって冠婚葬祭マナーに関する情報が急速に普及したため、現在では参列者も喪服や黒を着用することが一般的です。喪服には格の違いがあり、立場によって着用するものは異なります。
喪主および遺族は格の高い“正喪服”もしくは“準喪服”を着用し、参列者は“準喪服”“略喪服”を着用します。参列者が“正喪服”を着用するのは、格を超えてしまうためマナー違反とされるので注意しましょう。
(1)正喪服
色はスーパーブラック。ワンピースやアンサンブルで、詰襟など襟の詰まったデザインを選びます。なるべく肌を見せないようにするため、長袖かつ着丈はひざ下丈からくるぶし丈に。ストッキングは黒を着用しましょう。
光沢のない素材でレース、リボンなどの飾りも避けます。
着用する人:喪主、遺族
(2)準喪服
正喪服に準じる喪服で、色はスーパーブラック。ワンピースやツーピース、アンサンブル、パンツスーツがあります。袖丈は五分~長袖で着丈はひざ下丈が一般的です。
黒もしくは肌色のストッキングを着用します。ただし通夜で喪服を着用する場合、肌色ストッキングが望ましいとされる地域もありますので、不明な場合は故人の遺族や知り合いの参列者に確認しておくといいでしょう。
光沢のない素材でシンプルなデザインを選びますが、襟部分などにレース、折柄などが少し入っていても構いません。
着用する人:遺族、参列者
(3)略喪服
黒に限らず、濃紺やダークグレーも可。ワンピースやツーピース、アンサンブル、パンツスーツなどを着用します。ただし胸元が大きく空くデザイン、ノースリーブ、大胆なスリットはNG。スカートはひざ丈、光沢のない素材を選び、シンプルを心がけましょう。
暑い時期であれば、ブラックやダーク系のブラウスとスカートの組み合わせでもいいでしょう。
着用する人:参列者
子どもは制服が喪服に
子どもが参列する場合には、制服が喪服になります。靴下は白色でもかまいません。制服がない場合は黒かダーク系の衣服で、男児はズボン、女児はワンピースやスカートを着用するといいでしょう。
赤ちゃんの場合、ダークカラーのベビー服を着せましょう。自宅にあれば特に購入しなくても大丈夫です。
どこで買える? 購入できるお店と売っている喪服の特徴
null大型ショッピングモール
イオンなど大手スーパー系列のモールで専門のフォーマルコーナーがある場合、価格帯は3万円台~5万円台が主流。有名ブランドの取り扱いもあります。
スーパーが併設されていない専門店型のショッピングモールでは、紳士服店やスーツショップなどで取り扱いがあります。
ショッピングモールの形態にもよるので、あらかじめ店舗を調べておくとよいでしょう。
紳士服店
AOKIや洋服の青山など、ほとんどの紳士服チェーン店でも女性用のフォーマルな喪服を取り扱っています。1万円台のセットアップもあるので、リーズナブルに探したい人におすすめです。
百貨店
店舗にもよりますが、価格帯は5万~10万円が主流で、人気ブランドの取り扱いも。靴や鞄、アクセサリーなど小物のほか、仏具コーナーでは高級な念珠なども購入できます。
ネット通販
即日発送、試着に対応しているフォーマル専門ショップも多くあります。価格は数千円~数万円とさまざま。百貨店のオンラインショップでは実店舗よりリーズナブルなアイテムがそろっていることも。
急なご不幸! 葬儀に参列するのに喪服がない場合の駆け込み寺
nullたまにしか着ない喪服……必要なときはレンタルも
急なご不幸があったときに手持ちの喪服がない場合は、レンタルショップに直接駆け込むのも手。また地域によっては、宅配による当日や翌日レンタルを利用できることがあります。
喪服のみならず、バッグや靴などセットでの貸し出しができるところがほとんどなので、問い合わせてみるといいでしょう。
家族や友人に借りる
サイズが合いそうであれば、家が近い、もしくは葬儀会場の近くに住む親や兄弟、親戚に尋ねてみるのもいいでしょう。友人、知人、家族に借りる方法もあります。
注意! 急な通夜の平服でも流用は避けたい服
通夜に参列するのであれば平服でもマナー違反にはなりません。葬儀の場合でも、参列者であればブラックスーツを略喪服として着用できます。
ただし、入学式などに着用するセレモニースーツは、ブラックとはいえ光沢が強くファッショナブルなデザインが多いため、喪服には流用できないので注意しましょう。
ごくシンプルなブラックスーツを1着持っておくと、万が一のときに安心です。
【取材協力・監修】
葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタント
吉川 美津子(きっかわ みつこ)
大手葬儀社、大手仏壇・墓石販売店勤務を経て、専門学校にて葬祭マネジメントコース運営に参画。現在は葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタントとしての活動に加え、医療・介護と葬送・供養の連携を視野に葬送・終活ソーシャルワーカー(社会福祉士)としても活動している。
共同監修『葬儀・相続 手続きとお金』(扶桑社)、共著『死後離婚』(洋泉社)、著書『お墓の大問題』(小学館)など。