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今さら聞けない!? 現代版「喪服マナー」知っておきたい基礎知識

/ [最終更新日] 2022.03.03

ひと口に“喪服”と言っても、遺族か参列者なのか、通夜か告別式なのか、シチュエーションによって着用するアイテムが異なることがあります。どの装いが正しいのか、葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタントの吉川美津子さんにうかがいました。

注意! 喪服には「格の違い」があることを覚えて

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ロング丈のワンピースや帽子着用は遺族のみ

喪服には格の違いがあり、それぞれの立場に合わせて選びます。

“正喪服”“準喪服”は遺族が着用し、“準喪服”“略喪服”は参列者が着用します。洋装の格式は、一般的にワンピース、アンサンブル、ツーピース(スカートスーツ)、パンツスーツの順番で、ロング丈ワンピースのフォーマルドレスは最も格が高いため、遺族が着用するものです。

外国映画などでよく見かけるトーク帽と手袋も、フォーマルドレスに合わせた正喪服の小物。これらはもちろんおしゃれとしてではなく、肌の露出を隠すためのもの。手袋程度ならかまいませんが、目立つ帽子は参列者がかぶるとマナーにそぐわないので避けましょう。

黒無地染め抜き五つ紋付きも正喪服です。遺族以外の人が和装で参列する場合は、それよりも格下の三つ紋、もしくは一つ紋を着用しましょう。

喪服は「お悔みの場」にふさわしい装いが基本

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喪服の色は黒、略喪服としてはダークスーツもOK

葬儀に参列する場合は華やかにせず、弔意を表す服装を心がけるのが基本です。

一般的な喪服のブラックフォーマルに使われる色はスーパーブラックで、ブラックよりも深い漆黒です。略喪服として、ダークスーツを着用する場合は、黒のほか、ダークグレーや濃紺などを選びましょう。

派手な色や素材、デザインはNG

洋服の喪服は光沢のない素材で、ボタンやレース、リボンなどの装飾があまりついていないシンプルなものを選びましょう。大きく襟が開いたものやスリットスカートなどは華やかに見えるので避けて。スカート丈はひざ下~ふくらはぎ丈がいいでしょう。

バッグも黒一色など地味なものを選び、靴はローヒールのパンプスがベストです。黒色でもブーツやサンダル、オープントゥーのパンプスはカジュアルになるので避けます。

通夜には平服でもOK

ただし通夜の場合は、「取り急ぎ駆けつけた」という意味をもたせるためもあり、通夜本来の目的を考えれば平服で訪れてもかまいません。喪服で参列する場合も、黒のストッキングではなく、あえてマナーをくずした肌色のストッキングのほうがいいという地域もあります。

メイク、髪型、小物…喪服にまつわる服装マナー

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露出は抑え、夏でもできれば半袖は避けて

喪服はなるべく肌の露出を控えるのがマナーとされているため、一般的なタイプは襟元が詰まっていて袖丈は長袖、もしくは五分~七分丈になっています。

ダークスーツなど略喪服で参列する場合も、肌の露出はなるべく避けたいもの。どうしても持っていない場合は半袖でもかまいませんが、ノースリーブは避けましょう。

冬の葬儀ではタイツを着用してもOK

告別式では黒、もしくは肌色のストッキングを着用します。冬は黒のタイツを履いてもいいでしょう。タイツはカジュアルな印象があるため避けるべき、との意見もありますが、60デニール程度であれば適度な透け感もあり、きちんと喪服を着用していれば失礼にはあたりません。ただし、リブ編みやラメ入りなど派手なタイツは避けましょう。

派手なメイクは避けてシンプルに

きちんとメイクすることは失礼にあたりませんが、ラメやパール感のあるメイクや色の濃い口紅はお悔やみの場にふさわしくありません。アイメイクも基本的には必要なく、シンプルにするのが原則です。

髪型はひっつめて低い位置にまとめる

ロングヘアや髪の毛の色が明るい場合は、ひとつにまとめるようにします。髪飾りは使用せず、どうしても使う場合には黒に統一しましょう。カーラーで巻いたり高い位置で結んだりすると華やかに見えてしまうので、低い位置のひっつめスタイルなどシンプルにします。

アクセサリーやネイルはNG! ジェルネイルは隠す方法も

華やかにならないようにするため、基本的に結婚指輪以外のアクセサリーは外しましょう。つけたい場合は、パールのネックレス程度にします。二連のネックレスやイヤリングとの重ねづけは「不幸が重なる」との意味合いがあるので、絶対に避けましょう。

ネイルも基本的には落としますが、サロンなどで施術されたジェルネイルは落とすのが大変なので、参列者であれば黒い手袋をはめて隠してしまってもいいでしょう。ただし遺族の場合は、落としたほうがいいでしょう。

傘の色にも注意! ハンカチはシンプルなものを

傘の色に厳密なルールはありませんが、派手な色だと葬儀会場で目立ってしまうことがあります。雨の日の葬儀では、できれば黒や寒色系のものを持ちましょう。どうしても用意できない場合は、透明のビニール傘がいいでしょう。

ハンカチは、必ずしも白や黒と決まっているわけではありません。カラフルな柄物以外を選べばOKです。

ブラックスーツで参列する場合の注意点は?

ブラックスーツやダークスーツは、略礼服としての喪服です。ただし慶事用のブラックフォーマルスーツの場合、スカート丈が短かったりサテン素材などで光沢があったりして、華やかになってしまうことがあるので注意しましょう。
また、リボンやレース、刺しゅうなどがついた目立つデザインではないことを確認してから着用しましょう。

 


 

【監修】

葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタント

吉川 美津子(きっかわ みつこ)

大手葬儀社、大手仏壇・墓石販売店勤務を経て、専門学校にて葬祭マネジメントコース運営に参画。現在は葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタントとしての活動に加え、医療・介護と葬送・供養の連携を視野に葬送・終活ソーシャルワーカー(社会福祉士)としても活動している。

共同監修『葬儀・相続 手続きとお金』(扶桑社)、共著『死後離婚』(洋泉社)、著書『お墓の大問題』(小学館)など。

葬儀ビジネス研究所

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