いい苗の選び方と植え付けのポイント
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「苗も鮮度の高いものがいい」と『プロトリーフ』の佐藤健太さん。
ホームセンターや園芸店に、ずらっと並ぶ苗。購入する際にチェックすべきは、次の3つです。
- 葉の色が濃い緑か?
- 葉に虫食いがないか?
- 幹の太さはしっかりしているか?
「元気な苗は、葉の色が濃い緑です。また、虫食いが多いと葉がしっかり光合成できないので、虫食いのない苗のほうがいいでしょう。
それから売り場に長くいる“売れ残り”は、ひょろっと長く伸びているものが多いです。幹の太さがしっかりしているか、葉と葉の間は詰まっているかも注目してください」(以下「」内、全て佐藤健太さん)

「ちなみにバジルやパクチーなど、暑い国が原産のシソ科のハーブは夏に植えても育ちます。ただ寒さが苦手なので、収穫できる期間は短くなります」
「買ってきた苗は、なるべく早く植えるのがおすすめです。ただ、お仕事などの都合ですぐ植えるのが難しければ、1週間程度ならしっかり水やりしておけばポットのままでも大丈夫。
とはいえ、今が植え付けのトップシーズンです。早く植えれば植えるほど、収穫できる期間も長くなるので、早く植えるに越したことはありません。梅雨に入る前、6月には植えましょう」
初心者にイチオシ「ミニトマト」
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数ある夏野菜の中でも、佐藤さんが開口一番におすすめしてくださったのがミニトマトです。「うまく育てれば、9月ごろまで1苗で50〜100粒ほど収穫できますよ」
中でも、佐藤さんが「おいしい!」と太鼓判を押すのは、『KAGOME』の「ぷるるん」という品種。
「一般的にスーパーなどで流通するミニトマトは、輸送中にキズつかないよう、ちょっと皮がかたい品種が出回っています。それゆえ、皮が口に残って苦手という方もいるかもしれません。
ところが『ぷるるん』は、皮がとっても薄いので育てた人しか食べられません。糖度が高く、まるでさくらんぼのようなおいしさですよ」
ミニトマトの植え方と育てるときのポイント

ミニトマト栽培でそろえるものは、苗1本・10号の鉢・培養土15Lほど、底石、支柱。
<必要な道具と資材>
- 苗1本
- 10号の鉢
- 培養土15Lほど
- 底石
- 支柱(支柱と苗を結ぶ天然素材の紐も準備)
<植え方>
「基本的に、苗は土に対して真っ直ぐに植えます。このとき、苗の背が高くてグラつきが不安なら、幹を1~1.5cmほど土に植える方法もあります。深植えすることで幹の途中からも根が生え、量が増えます。これを『気根(きこん)』といいます」
苗を植えたら、支柱と苗を天然素材の紐で結び、水をたっぷりあげましょう。

この小さな芽が「脇芽」です。
<育てるときのポイント>
- 「脇芽(わきめ)かき」をする
「上に伸びて実がなる野菜は、『脇芽かき』をします。というのも、植物は吸収したエネルギーを全体に平等に分ける性質があります。ですので、エネルギーを効率的に集中させるためにも、『脇芽かき』といって新しく生えてきた芽を摘むんです」
ちなみに少し枯れた葉の場合は、自然に落ちるまで放っておいてOK。「たとえしおれていても、緑色なら光合成をしてくれます」

受粉の様子。トントンと軽く叩きます。
- 「受粉をサポート」をする
「花が咲いたら、ごく軽く叩きます。これにより、本来であれば虫や風にお任せしている受粉を促すんです」
- 赤く色づいたらどんどん食べる
品種や気候条件などにもよりますが、植えてからおよそ1カ月半ほどで実り始めます。赤く色づいたら食べどき。「赤くなったらどんどん収穫したほうが、実がたくさんなります」
タフでおいしい「接(つ)ぎ木苗」もおすすめ
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また、トマトやナスの苗には「接(つ)ぎ木苗」というものもあります。
「大抵、ポットに『接ぎ木苗』と書かれています。これは、丈夫な根の品種と、おいしい実がなる品種を接いだハイブリッドな苗。丈夫で育てやすく、おいしい実が期待できますよ」
接ぎ木苗を育てるときに注意するのは、本木(もとぎ)という葉を見つけ次第、摘むことです。これは根の品種が育とうとして生やすものなんだとか。
「大きくなろうと実にいくはずの養分を吸ってしまうので、可哀想なようですが、小さなうちに摘んでしまいましょう」

ゆがいても、生でも食べられるオクラも育てたい!
今回教えていただいた「ミニトマト」を始め、夏野菜には育てやすい品種がまだまだあるそうです。
次回は「おすすめ夏野菜」続編。うまく育てれば、夏の食卓が大充実する予感!
撮影/田中麻以(小学館)
【取材協力】
プロトリーフ

朝ランが日課の編集者・ライター、女児の母。目標は「走れるおばあちゃん」。料理・暮らし・アウトドアなどの企画を編集・執筆しています。インスタグラム→@yuknote