「夏の花」は1本でも様になる!
nullさんさんと輝く太陽のようなヒマワリを始め、梅雨時期から楽しめる日本原産のアジサイ、香りもよく優雅なユリ、夏から秋にかけて長く咲くサルビアなど。「夏の花」といっても、さまざまあります。
「一年の中でも暑い時期に開花する夏の花は、個性的なものや、花や葉が大きなものが多く、1本でも様になります。また、ゼラニウムやバジル、ミントなど、ハーブ類もたくさん育つ時期。このほかにもグリーンだけでもいろいろあるので、あえて“夏のグリーン”でまとめるのも、この時期の醍醐味ですよ」(以下「」内、松岡さん)
花屋で「よい花」を選ぶ3つのコツ
null冒頭で「旬がある」とお伝えしましたが、だからこそ“よい花”選びにはちょっとしたコツがあるそうです。
コツ1:「今のおすすめ」を聞く
そもそも旬がわからないという場合は、素直におすすめを聞きましょう。
「多くのお店には、バラやかすみ草など通年で扱う花も並びます。“今のおすすめ”を聞けば、季節の花を紹介してくれるはずです」
コツ2:新しく入った花を聞く
食べ物と同じく、花も鮮度が大事。
「とくに切り花は、新鮮なほうが長く楽しめます。だから花屋を訪れたら“新しく入った花はどれですか?”と聞いてみてください。
また、すこしマニアックですが、花屋に並ぶ切り花の多くは月水金曜に市場で買い付けられます。つまり、月水金曜に花屋に行くと、鮮度が高いものがそろっている可能性が高いということ」
コツ3:行きつけの花屋を見つける
好みの花を扱っている、立ち寄りやすいなど、行きつけのお店を決める理由にもいろいろあります。松岡さんのおすすめは、買った花が長持ちしたお店を行きつけにすること。
「よい産地で育てられた花は、色ツヤもよく、より長く楽しめます。また、茎が長くて太いものも多い。これは、木の年輪と同じく、時間をかけて育てられたものの証。大振りな花のほうが、切り花にしても持ちがよい場合が多いんです。
最初は花の違いを見極めるのは難しいと思いますので、まずは“このお店で買った花は長持ちする”と感じたお店を行きつけにしてみてはいかがでしょう」
花束に、アレンジメントに「夏の花」7選
nullヒマワリ
「今回はベーシックなヒマワリを選びましたが、花の小さなもの、茎のつき方、色味など、さまざまな種類があります。共通する選び方のコツは、茎や花弁が元気なものを選ぶことです」
- 特徴:「向日葵」「日輪草」「日車」。原産国はアメリカ、英語では「Sunflower」。いずれも「太陽の花」という意味を持つ。太陽に向けて花首を巡らすというのはつぼみの時だけで、開花後は東を向くことが多い。
- 開花期:8~10月
デルフィニウム
「白やピンクもありますが、水色や青を選べば、見た目にも涼やかです。花がすべて開いているものより、少しつぼみが残っているものを選ぶのがおすすめ。花瓶にいけた後でも花が咲きますので、より長く楽しめます」
- 特徴:一年草または多年草、薄青色から濃紫色まで、青系のグラデーションが豊かで美しい。青系以外にも、赤や白、黄色の品種も近年登場している。
- 開花期:5~6月
ヒペリカム
「花束やアレンジメントのポイントになる実ものの中でも、使いやすいものの一つ。キュートな印象が生まれます。赤のほかに、グリーン、クリーム、ホワイト、ピンクなどに色づくものもあり、年々色のバリエーションが豊富になっています」
- 特徴:別名「小坊主弟切」(コボウズオトギリ)で、つやのある実を小坊主の頭にたとえたのが由来。原産地はヨーロッパ、北アメリカほか。
- 結実期:8~10月
モカラ
「3種のランを掛け合わせて生まれた、ランの一種。これがあるだけで花束やアレンジメントにトロピカル感が出て、夏らしさが増します。切り花として流通しているものは、丈が短い場合が多いので、扱いやすいでしょう」
- 特徴:人工的に掛け合わせて作られた品種。日持ちがよいのが特徴。カラフルな花色は多くの種類があり、赤、オレンジ、紫、ピンク、黄色、クリームなど単色から、斑点が入ったようなものも。
- 開花期:7~11月
アンスリウム
「すっきり伸びる茎から広がる苞(ほう)は、赤やピンク、白、紫、緑など、色が豊富です。選ぶ際は、中心部分のお花(肉穂花序”にくすいかじょ”)が茶色になっているものは避けましょう」
- 特徴:別名「紅団扇」。中心部分の肉穂花序(にくすいかじょ)と大型の苞(ほう)が特徴。苞の色は深紅からオレンジ、桃色、白、緑、赤と緑の複色など。
- 開花期:周年
クルクマ
「花が少なくなる夏場にも強い品種です。花に見える部分は苞(ほう)で、長く美しい状態を楽しめます。中のお花が黒くなったら、残念ながらしおれてしまったサイン」
- 特徴:多年草。熱帯アジア、アフリカ、オーストラリア原産。花弁に見える部分は苞(ほう)で、花を包んでいる葉。ウコンの一種。
- 開花期:8~9月
ゼラニウム
「ゼラニウムといってもさまざまな種類がありますが、夏場はハーブゼラニウムがおすすめ。とくにローズゼラニウムは、飾っているだけで、お部屋がバラのような香りに包まれますよ」
- 特徴:春から初夏にかけて開花する一季咲きと、環境さえ合えばほぼ一年中開花する四季咲きがある。写真はローズゼラニウム。葉に良い香りがあり、ヨーロッパでは虫よけに植えられる。
- 開花期:3~12月
旬を知って、もっと楽しみましょう
null【取材協力】
フラワーコーディネーター 松岡陽子さん
花のアトリエ「Arianna(アリアンナ)」主宰。イギリス最古のフラワースクール「コンスタンス・スプライ」元校長であるゲイルデリック氏を始め、フランスのメートル・ダール(人間国宝)、マルセル・ルブラノ・ギエ氏に師事。ディプロマ取得。
現在は、個人、企業向けアレンジメントレッスンを中心に活動。舞台の装花や、ブライダルの花も手がけている。上品でシックな色使いを得意とし、その質の高いアレンジメントが女性を中心に人気を集める。著書に『プリザーブドフラワーレッスン』(浩気社)。
朝ランが日課の編集者・ライター、女児の母。目標は「走れるおばあちゃん」。料理・暮らし・アウトドアなどの企画を編集・執筆しています。インスタグラム→@yuknote