子育て世代の「暮らしのくふう」を支えるWEBメディア

スパイスは「タクコ」があれば大丈夫!一振りでいつもの料理がグーンと広がる、スパイス&ハーブ入門

スパイスやハーブを、料理やお菓子作りに活用している人は多いでしょう。一方で、何から選べばよいの?と悩む人も。そこで『ハウス食品』でスパイス製品の企画開発を担当する東 英範さんに「まずはこれさえ揃えればOK!」というラインナップと使い方を伺いました。

まずは「タクコ」を使いこなそう

null

世界中で、古くから使われてきたスパイスやハーブ。諸説ありますが、スパイスは数百、ハーブはさらにたくさんの数があるともいわれています。さらに、国ごと、地域ごとに使い方はそれぞれ違って、ひと口に「スパイス」といってもさまざま。だからこそ、何を選んでどう使えばよいのでしょう?

スパイスのプロフェッショナル、『ハウス食品』東 英範さん。

「種類がたくさんあり過ぎて迷うなら、まずは“タクコ”という3種類のスパイスから楽しんでみるのはいかがですか?」(以下「」内、『ハウス食品』東 英範さん)

左から「ターメリック(うこん)」「クミン」「コリアンダー」。全てパウダーで、振りかけるだけで香りがふわっと広がります(各159円 ※税込希望小売価格)。

「タクコ」とは、料理研究家の印度カリー子さんが推奨する呼び方。

タ=ターメリック
ク=クミン
コ=コリアンダー

3種類の頭の文字をとったものです。カレーに入っている基本的なスパイスで、これらがあれば本格的なスパイスカレーが出来あがるそうです。

「レッドペパーといった辛味のスパイスを入れなければ、スパイシーなよい香りは楽しめつつ、お子さんも食べられますよ。

スパイスやハーブ全体にいえることですが、“タクコ”の使い方はカレーに限らず、ほかのお料理や飲み物にもアレンジできます。家庭料理にちょっと足すという、気軽な感覚を大切にしてみてください」

タクコで作る「基本のスパイスカレー」

さっそく“タクコ”を使って、スパイスカレーを作ってみましょう。

「ここではお子さんも食べやすい挽肉を使っていますが、鶏肉や豚肉などお好きなお肉や野菜でアレンジが自由にききます」

ひき肉で作るキーマカレーは、子どもも喜ぶメニューの一つです。(画像提供:ハウス食品)

<材料(4人分)>

  • 牛豚合い挽き肉 400g
  • 玉ネギ 中1個
  • ニンジン 中1/2個
  • トマト  中1個
  • パプリカ(赤) 1/2個
  • 枝豆(ゆでてさやから出す) 50g
  • すりおろしニンニク 小さじ1/2
  • すりおろしショウガ 小さじ1/2
  • サラダ油 大さじ2

a

  • ターメリック(パウダー) 小さじ1
  • クミン(パウダー) 小さじ2
  • コリアンダー(パウダー) 小さじ1

 

  • 塩 小さじ1/2
  • 水 100ml
  • 無糖プレーンヨーグルト 大さじ3
  • 醤油 小さじ2

<作り方>

  1. 玉ネギはあらみじん切りにして、ふんわりラップをかけて電子レンジ600Wで約3分加熱する(炒め時間短縮のため)。ニンジンはみじん切り、トマトはざく切りにする。パプリカは1cm角に切る。
  2. フライパンにサラダ油を熱し、(1)の玉ネギ、ニンジン、ニンニク、ショウガを加えて、玉ネギがきつね色になるまで弱火で炒める。
  3. ひき肉、(1)のパプリカを加えて肉の脂がすき通るまでよく炒め、(a)のスパイスを加えてさっと炒める。
  4. (1)のトマトを加えて水分を飛ばすようにさらに炒めたあと、塩、水を加え、かき混ぜながら約10分煮る。
  5. ヨーグルト、醤油を加えて混ぜ、最後に枝豆を加えてひと煮立ちさせる。

「基本のスパイスカレー」にプラスアルファ

基本のレシピに、清涼感のあるスパイスの「カルダモン」を小さじ1/2〜1程度加えれば、風味に奥行きがプラスされます。また、辛みのスパイスである「レッドペパー」を小さじ1/2ほど加えれば、辛さも楽しめるスパイスカレーに

「辛いものがお好きな方には『花椒(かしょう)』という麻婆豆腐などに使われているスパイスや『ブラックペパー』を加えるのもおすすめです。どちらも痺れる辛みとすっきりとした香りがあり、一層本格的な味わいになりますよ。加える量は、どちらも小さじ1程度が目安です」

「タクコ」をもっと楽しむ方法

null

インド料理でおなじみ「ターメリック」

インド料理によく使われるターメリックは、土くささを感じさせる独特の香りとほろ苦い風味があり、黄色く色付けるのにも使われます。

「飲みやすいアレンジで楽しまれているのが『ターメリックラテ』です。牛乳や豆乳などお好きなミルクに、すりおろした生姜や蜂蜜などと一緒に加えて温めれば出来あがり。お好みでシナモンパウダーや黒胡椒などを入れてもおいしいです。

ごはんを炊く時に加えれば、黄色がきれいな『ターメリックライス』も出来ます。スパイスカレーと一緒に楽しんでみてはいかがでしょう」

「ターメリックライス」の作り方

カレー屋で出されるような本格的なターメリックライスも、自宅で作れます。(画像提供:ハウス食品)。

<材料(4人分)>

  • 米 2
  • ターメリック(パウダー) 小さじ1/2
  • 塩 小さじ1/4
  • バター 10g

<作り方>

  1. 米を洗い、通常炊くのと同量の水を入れて30分以上浸水する。
  2. 浸水後の米に、ターメリック、塩、バターを加えて全体を混ぜてから炊く。

一振りでエスニック風「クミン」

いわゆる「カレーのいいにおい」は、実はクミンの香りが中心。もっとも歴史の古いスパイスの一つで、現代ではインド、メキシコ、東南アジア、アフリカなどのエスニック料理に欠かせないスパイスです。

「スパイスカレーを作るには欠かせない香りのスパイスです。肉料理に合うので、ふだん鶏肉や豚肉などをローストする時に少しかけたり、唐揚げやフライドチキンの下味をつける時にちょっと加えたりすると、一気にエスニックな味わいになります」

野菜ならニンジンによく合うので、いつもの野菜炒めに振りかけるだけでもエスニックなおいしさに。また、クミンで香り付けした『クミンライス』もカレーと相性がよいそうです。

「クミン風味のフライドチキン」の作り方

クミンがあるだけで、いつもとひと味変わります(画像提供:ハウス食品)。

<材料(2人分)>

  • 鶏肉(むね肉) 1

(a)

  • プレーンヨーグルト(無糖) 大さじ3
  • レモン汁 小さじ1
  • すりおろしショウガ 小さじ2
  • すりおろしニンニク 小さじ2
  • クミン(パウダー) 小さじ2/3
  • コショー 少々
  • 塩 小さじ1/2

 

  • 小麦粉 適量
  • 揚げ油 適量

<作り方>

  1. (a)を混ぜ合わせる。一口大に切った鶏むね肉を1時間以上漬け込む。
  2. (1)に小麦粉をまぶし、170度に熱した油で鶏肉に火が通るまで揚げる。

「唐揚げの下味にちょっと加えるだけでよい」という東さんのアドバイスを受けて、記者もトライしてみました。

こちらは、鶏もも肉をウスターソースに漬け込み、下味をつけたもの。そこにクミンを小さじ2/3程度加え、揉み込み、米粉をつけて揚げてみました。

下味をつけているときから、クミンのよい香り。揚げている最中も、ずーっと香っていました。熱々はもちろん、冷めてもクミンを感じて、ビールと抜群。5才の娘も「おいしい!」と太鼓判でしたよ。

揚げた後の油には、クミンの香りが移っていました。もし油を使いまわす場合は、あえてクミンの風味を活かした料理に使ったほうがよいかもしれません。

淡白なお肉から甘いものまで「コリアンダー」

香草の一種である「パクチー」の種子を乾燥させてスパイスとして使われているのが「コリアンダー」です。甘くまろやかで柑橘類のような香りとかすかな辛みがあります。

「クミンと同じくらいカレーには欠かせないスパイスです。スウッと清涼感のある香りでエキゾチックな感じがするので、鶏肉など淡白なお肉料理におすすめ

唐揚げのアクセントで下味をつける時に少し加えたり、ソテーをするときに振りかけたり、トマト煮込みの肉の下味付けに加えたり。トマト煮込みの場合は酸味に独特な香りが加わることで甘みが引き立って、非常に相性がよいですよ」

また、お菓子にも合うそうです。クッキーや焼きリンゴのアクセントに加えたり、生の桃や洋梨にパウダーをかけると甘さが引き立つのだとか。

「コリアンダークッキー」の作り方

コリアンダーは加熱するとオレンジのような香りがします。(画像提供:ハウス食品)

<材料(30枚分)>

  • バター 100g
  • 砂糖 70g
  • 卵 1個
  • 小麦粉 150g
  • コリアンダー(パウダー) 小さじ2と1/2
  • グラニュー糖 適宜

<作り方>

  1. ボウルにバターを入れ、クリーム状になるまで泡立て器でよく練る。砂糖を2回に分けて入れ、全体が白っぽくなるまで混ぜる。
  2. 1)にとき卵を少しずつ入れ、よく混ぜる。ふるった小麦粉、コリアンダーを加え、木じゃくしで混ぜてひとまとめにする。
  3. 棒状にしてラップで包み、冷凍庫で30分ほどねかせる。
  4. 3)を5mmくらいの厚さに切る。片面にグラニュー糖をつけ、天板に並べ、180度のオーブンで約15分焼く。

好きな香りを少しずつ増やしていこう

null

たった3種類、されど3種類。「タクコ」さえあれば、毎日の食事がぐーんと広がりそうです。

「スパイスやハーブは、いつも作っている料理にちょっと使うだけで風味が変わり、ときには気分まで変えてくれます。一振りで料理のレパートリーが増えて、家族の食卓が楽しくなる存在ですよ。まずはこの3種類から入門して、使い慣れてきたら、少しずつ好きな風味のものを買い足してみてはいかがでしょうか」

【取材協力】
ハウス食品

ニイミユカ
ニイミユカ

朝ランが日課の編集者・ライター、女児の母。目標は「走れるおばあちゃん」。料理・暮らし・アウトドアなどの企画を編集・執筆しています。インスタグラム→@yuknote

pin はてなブックマーク facebook Twitter LINE
大特集・連載
大特集・連載