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命に関わる食べ物も…大切な「犬の食事」選び方とあげ方【ペット雑学帳】vol.6

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健康に関わる食事は、人間のみならずペットであっても良いものを選びたいですよね。とはいえ、種類がたくさんあって迷ってしまうことも。

動物を飼うために覚えておきたいことなど“ペットと一緒に暮らすためのあれこれ”をご紹介する【ペット雑学帳】。犬編vol.6の今回は「犬の食事」について、麻布十番犬猫クリニックと日本動物医療センター監修のもと、同センターの獣医師・眞鍋日登美先生と動物看護師・宮本あかりさんに教えていただきました。

犬の健康を支える「ドッグフード」の選び方と保管

犬の食べ物は、乾燥したドライフードや半生タイプ、缶詰タイプなど様々なものがドッグフードとして販売されています。缶詰タイプのものは嗜好性がよく水分摂取も増やせますが、歯石がつきやすくなることもあります。

主食には「総合栄養食のドッグフード」を選ぶ

どれも同じようなごはんに思えますが、裏面の成分表示を見ると「総合栄養食」または「一般食」と記載があります。
「総合栄養食」と記載のあるものは単独で1日分の栄養素を摂取することができます。「一般食」と記載のあるものは、私たち人間の食事でいうところの「おかず」でしかないので、単独で1日分の栄養を摂取することはできません。主食は「総合栄養食」と明記されているドッグフードにしましょう。

犬種や年齢、体質や病気に応じて様々なフードが出ています。安かろう悪かろうではないですが、中には成分表示が不明瞭なものもありますので、迷ったときはペットフード製造として歴史が長いメーカーや、動物病院用の食事療法食を作っているメーカーを選ぶのも一案です。

「期限内に食べきれる量」を購入して保管

商品記載の消費期限は開封前のもの。開封後は、見た目が変わらなくても油分が酸化したりカビが生えていたりする心配があるので、犬の体格に応じて食べきれる量のドッグフードを購入し小分けにして保管しましょう。

ドライフードは冷蔵庫ではなく冷暗所に、缶詰は冷蔵庫に保管してください。

「子犬の食事」はこまめに与える

子犬のうちは成長が早く、エネルギーを貯蔵しておく体の仕組みもしっかりしていないので、こまめにご飯をあげる必要があります。

(1)生後まもなくから1ヵ月齢まで

生後まもなくから乳歯が生え始める1ヵ月齢までは、母犬の母乳または子犬用の粉ミルクを哺乳しましょう。体重測定をしながら1〜2時間おきに与えてください。

(2)1ヵ月齢から2ヵ月齢まで

舌をまるめてミルクを吸っていた時期から、乳歯が生え始めてミルクをなめとる様子が出始めたら、ミルクと併用して離乳食を与え、徐々に切り替えていきましょう。

離乳食は、子犬用のドッグフードをぬるま湯でふやかしてペースト状にします。

(3)2ヵ月齢を過ぎたら

2ヵ月齢を過ぎて乳歯が生えそろってきたら、離乳食から徐々に固形のドッグフードへ切り替えていきましょう。固形のごはんに切り替えても、3〜4ヵ月齢までは1 日の食事を3〜4回に分けてこまめに与えましょう。

もちろん個体差がありますので、固形のごはんを食べない、お腹が下るなどの症状が出たら、動物病院の獣医師やドッグトレーナーに相談しましょう。

「成犬の食事」は体質に対応した種類を選ぶ

成犬用のドッグフードには、実にさまざまな種類があります。年齢別を明記したもののほか、不妊・去勢手術をした犬、活動量が多い犬、室内飼育の小型犬用なども。

犬は犬種による特異的病気が多く知られており、犬種に応じたごはんも数多く販売されています。皮膚炎をおこしやすい子、おなかを壊しやすい子、膀胱炎になりやすい子など体質によっても様々です。犬の体質に応じて適したものを選びましょう。

(1)1日2回、飼い犬に合った分量を

成犬には、朝と夕方など1日2回に分けて食べさせましょう。食事前に胃液を吐いてしまうことが多い場合には食事回数を増やしたほうがよいかもしれません。

1回の量は、犬の体重に応じてドッグフードに記載のある分量を与えてください。体重だけでなく、ぽっちゃりかやせ型かによって、また運動量によって量の調整が必要になることも。もし判断がつかない場合には、トレーナーや獣医師などの専門家に相談してみましょう。

(2)トッピングや手作り食には注意が必要

ドッグフードに食材を混ぜる“トッピング”や、飼い主などが食材から作る“手作り食”。

おやつやトッピングを与える場合は、総量の20%を超えないようにしましょう。クッキー1枚と思っても、私たちの体格に換算するとハンバーガー1個に相当する場合があります。

また、手作り食単独では総合的な栄養素が不十分な場合もあります。また食材にアレルギーがある犬もいますし、動物が食べてはいけない食材もあるので注意して与えましょう。

(3)犬の体質や病気のときは要相談

食材にアレルギーがある場合や、年齢に応じて病気を発症した場合には、療法食が必要になることもあるので動物病院に相談しましょう。

「高齢期や介護期」老犬の食事

老犬の食欲減退には工夫を

高齢期の老犬は、嗅覚や体の機能が低下してくることにより食欲が減ったり自分で食べなくなってくることも。子犬の頃と同じようにドッグフードをぬるま湯でふやかしてあげたり、少しあたためてにおいを強くしたりして工夫してあげましょう。

介護期には専用食を与え、動物病院に相談を

食事の補助が必要になった介護期の犬には、介護用のペースト状のごはんや流動食もあります。高齢期になると持病があることが多いので動物病院で相談してみるとよいでしょう。

犬がごはんを「食べないとき」は…?

上述したように見合った分量のごはんを与えても、犬があまり食べない……そんな場合には、以下のような要因があるはず。まずは動物病院などに相談してみましょう。

(1)犬の体質、また不調や病気の可能性

一食分より少ない量しか食べられない“少食”の犬や、食欲にムラがある“食ムラ”の犬もいます。

また、吐いてしまったり、便が緩くなったりといった消化器症状が出ることも。消化器症状や体調不良、体重が減少してしまう場合には、食事が合わなかったり病気が隠れている場合もあります。気づいたらなるべく早く動物病院に相談しましょう。

(2)選り好みや甘えん坊の場合も

獣医師に診てもらって健康であれば、原因は別にあるでしょう。もともと少食の犬や、食べるより遊ぶほうが好きな甘えん坊さんもいます。おやつや美味しいものを食べた経験から、それらが出てくるのをじっと待っている場合も。

偏食の習慣がついてしまうと、将来的に療法食が必要になったときに治療に影響することもあるので完食させる習慣をつけましょう。

・完食させる習慣をつけるテクニック

手のひらに乗せて与えると食べる犬もいますが、毎回付き添うのは大変ですよね。

ドッグフードを出して10〜20分程度待っても食べなければ下げ、次の食事の時間(子犬は1〜2時間後)まで与えないこと。これを根気よく繰り返すうちに、少しずつ決まった時間に同じくらいの分量を食べるようになっていくでしょう。

長時間留守にするときは「タイマー式給餌器」が便利

vol.5「必需品からあると便利まで!“犬と暮らすためのアイテム”あれこれ」でもお伝えしましたが、家を留守にする時間が長いときは、セットした時間にドッグフードが出てくる“タイマー式給餌器(きゅうじき)”を利用すると便利です。スマートフォンで操作できるタイプも登場していて、外出先で給餌器周りの様子を見ることができるカメラ付きのタイプもあります。

犬には事前に「給餌器から食べ物が出る」ことを教えるため、数日前から給餌器で食事を与えましょう。

犬の中には、給餌器を壊して中のドッグフードを全部食べてしまう食いしん坊も! 信頼できる友人やペットシッターに食事の世話を頼むのも一案ですね。

犬の健康のために「人間の食事は与えない」

食いしん坊な犬は自分のごはんだけでなく、家族の食卓の食べ物を欲しがるかもしれません。人間が使う調味料などで味付けした食べ物は犬の健康によくないことが多いので、与えないようにしましょう。

吠えたり跳びついたりされても飼い主が相手にしなければ、「もらえないんだ」と納得してあきらめます。

なお、犬用のおやつやジャーキーなどは、適宜食べさせてもOK。ただしあげ過ぎには十分注意しましょう。

「危険な食材」を食べてしまったら、動物病院へ!

人間には栄養となる食材であっても、犬にとっては有毒なものがあるので飼い始める前によく知っておきましょう。量によっては命の危険があります。犬の目につくところや口に入れられる場所に置くのも控えてくださいね。

(1)「犬が食べてはいけない食材」と出やすい症状

・ネギ類(タマネギ、ナガネギ)、にんにく、ニラ……貧血など

ネギ属に含まれる物質がヘモグロビンを酸化させることにより、赤血球の膜を壊し溶血性貧血を起こします。溶血により血尿が出ることも。

・チョコレート、カフェイン飲料……痙攣発作、不整脈、消化器症状など

チョコレートの主成分カカオに含まれるテオブロミンはカフェインと同じような作用を持ち、大脳の興奮や平滑筋への作用により、痙攣発作や不整脈を引き起こします。消化器症状をあわせて認めます。

・ぶどう、レーズン……急性腎不全

急性腎不全を引き起こします。

・イカ、タコ……ふらつき、神経症状、消化不良など

イカにふくまれる物質がビタミンBの吸収を阻害し、ふらつきや神経症状を起こす場合があります。加熱済のものは危険は減りますが、消化不良を起こすことがあります。

(2)もし食べてしまったら、急いで動物病院へ!

もし上記の食材や食品を食べてしまったら、すぐにかかりつけの動物病院に電話すること。診療時間外の場合は、24時間診療の病院や救急の動物病院に連絡して、なるべく早く診てもらいましょう。

インターネットには「食塩を飲ませて吐かせる」といった対処法も載っていたりしますが、逆に食塩中毒を起こす危険もあります。独断は禁物です。必ず獣医師の判断を仰ぎましょう。

 

家族の一員でもある犬。きちんと食事を摂って運動して、人間と同じく健康に気を遣いながら、一緒に長生きできる生活を心がけましょう。


【取材協力】

日本動物医療センター

東京都渋谷区本町6-22-3
03-3378-3366

1966年に設立された日本初の大規模な総合動物病院。準備を経て1969年に開業。以来、24時間診療を行っている。人と動物の関係の変化や動物の長寿化に対応するため、2004年から24時間看護にも取り組んでいる。

獣医師/眞鍋日登美、ドッグトレーナ・受付/宮本あかり

【監修】

獣医師/麻布十番犬猫クリニック 院長

島田健一郎

日本獣医生命科学大学卒。東京農工大学にて大学院博士課程(獣医皮膚科学専攻)を修了後、麻布十番犬猫クリニック院長として皮膚科専門外来を開設。港区のスキンホームドクターとして犬猫の皮膚病治療に従事。診療の傍ら、日本獣医生命科学大学保健看護学科にて犬猫の皮膚バリア機能に関する研究も行っている。カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)医学部皮膚科研究室に短期留学。日本獣医皮膚科学会認定医。獣医療関連誌の執筆、講演、セミナー等の活動も行なっている。

獣医師/日本動物医療センター マネージャー

長沼裕美子

岩手大学卒業後、獣医師として日本動物医療センターに勤務。現在は、宮古島から引き取った保護犬と暮らす。毎朝の代々木公園の散歩が日課。

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