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子犬だけじゃないの?「飼い始める犬の年齢」別のポイント【ペット雑学帳】vol.4

犬を飼うことを考えたとき、子犬を迎えるというイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。でも実際には、子犬から成犬まで様々な年齢の犬を選ぶことができるのです。

動物を飼うときに覚えておきたいことなど“ペットと一緒に暮らすためのあれこれ”をご紹介する【ペット雑学帳】。今回は「飼い始める犬の年齢」について、日本動物医療センター監修のもと、同センターの獣医師・眞鍋日登美先生とドックトレーナー・宮本あかりさんに教えていただきました。

子犬、成犬、老犬と出会える場所

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ペットショップやブリーダーは子犬を中心に扱っていますが、近年注目されている譲渡会や里親募集サイトなどでは、幅広い年齢の犬を選ぶことができます。

今回は1歳未満を“子犬”、 1歳以上を“成犬” 、7歳以上を“老犬”と分けて、それぞれの年齢の犬を迎え入れる特徴や良いポイント、覚えておきたいこと、入手できる場所などをお知らせしましょう。

かわいい時期を一緒に過ごせる「子犬」

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子犬は、主にペットショップやブリーダーで入手できます。少数ですが譲渡会などでも扱っていることがあります。子犬ならではのかわいい時期を一緒に過ごすことができますが、世話やしつけに時間と手間がかかります。

犬の時間は人間の約4倍ですすみますが、子犬の成長スピードは更に早く、1歳までに人間の20歳に相当するまでになります。たった1日と思っていても大きな変化があります。

・良好な関係を作りやすい

子犬から飼い始めると生後2カ月頃から世話をすることになるので、犬がなつきやすく早くから良好な関係を築きやすい傾向にあります。しつけや遊び方も含めて、一から育てられるのも醍醐味です。

・世話の手間や予防費用がかかる

生後6カ月頃までは、食事を1日3〜4回に分けて与える必要があります。トイレトレーニングなどのさまざまなしつけも必須。子犬の留守番時間が長い家庭では、友人やペットシッターなどに世話を頼む必要があるかもしれません。

ワクチンの接種や寄生虫予防薬など、動物病院での予防費用もかかります。

互いの相性チェックをしやすい「成犬」

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1歳以上の成犬を入手するには、譲渡会や里親募集サイトに問い合わせるとよいでしょう。トライアル期間を設けているところなら、選んだ犬と試しに生活してみることができ、互いの相性チェックもできます。

成犬はある程度成長しているので、飼い主や新しい環境に慣れるまでに少し時間がかかることもあります。

・トレーニングやしつけがある程度できていることが多い

自治体などが主催する譲渡会では、犬のトレーニングやしつけがある程度できていることもあります。子犬と違って人と暮らす経験を積んでいるので、コミュニケーションも図りやすいでしょう。

・犬が環境に慣れるまで時間がかかることも

犬にとってはそれまでと環境や生活スタイルが変わるため、性格にもよりますが、緊張して慣れるのに時間がかかるかもしれません。場合によっては飼い主がある程度犬に合わせてあげることも必要ですね。

新しい飼い主と環境が安全とわかってくれば、次第に心を開いてくれることでしょう。

共に穏やかな時間を過ごせる「老犬」

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7歳以上の老犬の入手方法は、成犬と同じく譲渡会や里親募集サイトです。団体によってトライアル期間があることも共通しています。

犬はシニアにさしかかった頃から落ち着きが増すので、共に穏やかな日常を送れます。ただし犬の平均寿命は約14歳なので、一緒に暮らせる期間はやや短いかもしれません。

・高齢者でも無理なく世話ができる可能性大

成犬よりも体力が落ちている老犬は、散歩の時間が多少短くても満足してくれます。性格が落ち着いてきている頃なので、犬のサイズによっては高齢者でも無理なく世話ができるかもしれませんね。成犬と同じく、しつけやトレーニングがある程度できていることも多いでしょう。

既に癖になってしまっていることはなかなか改善しにくいですが、根気よく付き合ってあげましょう。

・早いタイミングでの治療や介護を想定する必要がある

病気にかかるリスクが高く、健康でいられる期間が少ない可能性があります。既に病気をかかえている可能性もあるので、早期に病院で健診を行ったほうがよいでしょう。

迎えてからすぐ治療が必要になるケースもあり、歩行補助や寝たきりのケアなどの介護についても想定しておきましょう。どの年齢の犬を迎え入れても言えることですが、健康管理に気をつけて最後まできちんと看取る覚悟を持つことが必須です。

老犬は、あなたの家族になるまでにいろいろな出来事があったはず。愛情をもって過ごしてあげることでその子の生活はとても豊かになるでしょうし、あなたが動物にたくさんの愛情をもらうことの恩返しにもなるかもしれません。

 

無邪気な子犬ならではのかわいさに惹かれがちですが、成犬と老犬にもそれぞれ魅力がありますよね。自分や家庭の環境をよく考えて選びましょう。
縁があって迎える犬ですから、何歳であってもかけがえのない存在になってくれるはずです。


【取材協力】

日本動物医療センター・・・1966年に設立された日本初の大規模な総合動物病院。準備を経て1969年に開業。以来、24時間診療を行っている。人と動物の関係の変化や動物の長寿化に対応するため、2004年から24時間看護にも取り組んでいる。

獣医師 眞鍋日登美、ドッグトレーナー・受付 宮本あかり

 

【監修】

獣医師/麻布十番犬猫クリニック 院長

島田健一郎

日本獣医生命科学大学卒。東京農工大学にて大学院博士課程(獣医皮膚科学専攻)を修了後、麻布十番犬猫クリニック院長として皮膚科専門外来を開設。港区のスキンホームドクターとして犬猫の皮膚病治療に従事。診療の傍ら、日本獣医生命科学大学保健看護学科にて犬猫の皮膚バリア機能に関する研究も行っている。カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)医学部皮膚科研究室に短期留学。日本獣医皮膚科学会認定医。獣医療関連誌の執筆、講演、セミナー等の活動も行なっている。

獣医師/日本動物医療センター マネージャー

長沼裕美子

岩手大学卒業後、獣医師として日本動物医療センターに勤務。現在は、宮古島から引き取った保護犬と暮らす。毎朝の代々木公園の散歩が日課。

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