性教育は5歳からできる
null多くの学校では、小学3年生から保健の授業がはじまり、思春期を迎える小学4年生から“性”について扱いはじめるそうです。しかしそれより前の「5歳ごろから性教育ははじめられます」とは、ルナルナ事業部・小林さん。また「小さなうちから、ご家庭で気軽に話せる環境をつくることをおすすめします」と続けます。
「ユネスコが掲げる『包括的性教育』によると、からだや生殖の仕組みをはじめ、人間関係や性の多様性、ジェンダーの平等、性暴力の存在、自分の権利を守ることなど、ひいては子どもたちの健康とウェルビーイング(幸福や喜び)、尊厳といった、生きていく中で大切なことを5歳から学びはじめようと提唱されています。
最初は、みだりに他人に見せたり触らせたり、また他人が見たり触ったりさせない大切な場所=プライベートゾーンの重要性を伝えるところからでOK。また、お母さんとだけでなく、お父さんとも小さなころから性について話す機会があれば、家族間での性教育のハードルがぐんと下がるはずです。
そして、女の子だけでなく男の子にも、女性のからだに起こることについて話すのもよいでしょう。小さなころから理解していれば、思春期になって変にアレルギー反応を起こしたり、生理をからかったりといったこともなくなると思います」(小林さん)
初経(初潮)にむけて準備する「タイミング」と「できること」
nullからだの変化が見られたら一緒に生理用品をそろえる
内閣府の調べ※によると、現代女性の平均初潮年齢は12歳 2.3カ月。また『ルナルナ』が母親世代のユーザーへとったアンケートでは、お子さんの初経(初潮)年齢は11歳~12歳が中心で、とくに11歳が最多層なのだとか。また10歳も2割ほどおり、初経(初潮)が訪れる年齢は年々早まっているそうです。
「一般的に、胸がふくらむ、陰毛や脇毛などがはえる、オリモノが出るなどといった思春期のからだの変化の最後に初経(初潮)は起こるとされています。こうした変化がお子さんに見られたら、ナプキンやサニタリーショーツ、生理用品用のポーチをそろえるなど、少しずつ一緒に準備をはじめてはいかがでしょうか。最近では、ハンカチにナプキンが入れられるポケットがついている可愛いアイテムもあるんですよ」(ルナルナ事業部・芥川さん)
生理は大切なものと伝える
生理を「血が出て怖い」「面倒なもの」と感じる子どもは多いそうです。しかし、初経(初潮)がくるのは、健康に成長している証ともいえます。
「生理はケガで出る血とは違い、赤ちゃんを産む大事な準備であること。そして、最初のころは生理周期も不安定だけど、安定すると月に1回、3~7日間くるものと、ご家庭でも伝えてあげてください。
また、ナプキンの具体的な使い方や処分の仕方も、初経(初潮)がくる前から教えてあげられると安心です。小学校によりますが、高学年になると林間学校や課外活動のときに、初経(初潮)がきていなくても生理用品を持参するようにいわれるケースがあるようです。からだの発育がまだ見られなくても、少しずつ備えておけるとよいですね」(小林さん)
からだの変化を可視化する
『ルナルナ』が母親世代に行ったアンケートによると、少数ではありますが 、9歳から初経(初潮)がはじまったケースや 15歳以上といった回答もあるそうです。
「初経(初潮)はとくに、個人差も大きいです。また初経(初潮)後は生理周期が安定するまでは数年かかると言われており、経血量が少なかったり定期的に来なかったり、不安に思う方も少なくありません」(小林さん)
こうした、初経(初潮)ならではの特徴に寄り添うサービスとして始まったのが「ジュニアモード」です。
「もともと『ルナルナ』は10代にも使えるサービスでしたが、生理周期が安定していないお子さんが使うと、異常と認識してアラートが出てしまう。また、提供する内容がお子さんとは関係のない、ちょっとお姉さんに向けた遠い話が多かったのです。そこで、小学生・中学生世代に適切な使い方ができ、役にたつ情報をお伝えできればと『ジュニアモード』を設けました」(小林さん)
使い方はとっても簡単。お子さんのスマホにアプリをダウンロードし、からだの状態などを入力し、「ジュニアモード」に設定するだけ。すっきり見やすいシンプルなデザインで、課金システムはありません。また、有害な広告も出ないから、お子さんが一人で管理できます。
スマホネイティブな令和育ちの子どもたち。日記をつけるように体調の変化をアプリにつけることで、不調とうまく付き合えたり、受診したりするときの助けになるはずです。
生理は十人十色。辛さを我慢せず、気軽に婦人科へ
null最後に、いちばん大切にしてほしいことを伺いました。
「生理は個人差が大きいので、お母さんが生理前の不調(PMS)や生理痛が軽くても、お子さんは悩んでいるかもしれません。だからこそ、寄り添って話しを聞いていただきたいですね。
また、アプリをつけるだけでなく、医療機関を受診することも大切です。そのためには気軽に専門家へ相談できるよう、かかりつけの婦人科を親子でもっておくこともおすすめ。たとえば月経にともなう辛さがあるなら、風邪をひいたら内科へ行くように。我慢するのではなく、婦人科を受診していただきたいです」(小林さん)
『ルナルナ』では、医療機関受診の後押しになるようなコラムを発信したり、アプリ内で婦人科の検索や予約ができるようなサービスも提供しています。母娘で一緒に使えば、お互いのことについて、もっと深い話ができるかも?
どこか重く捉えがちな、生理などの性の話。日々の会話やアプリを上手に活用して、「普通のこと」として軽やかに付き合っていきたいものです。
【取材協力】
ルナルナ
【お話を伺った方】
小林未来さん
2014年、エムティーアイに入社。女性の健康情報サービス『ルナルナ』の企画マーケティングと開発ディレクションを担当。「ジュニアモード」を立ち上げ、小中学生が自分のからだと心とうまく向き合えるようなサービスを目指す。
芥川咲佳さん
女性のヘルスケア事業、デジタルコンテンツ事業を経験し、2020年にエムティーアイへ入社。女性の健康情報サービス『ルナルナ』の企画マーケティングを担当。生理日管理だけでなく、「ジュニアモード」や更年期向け「エイジングモード」などを通じて、初潮から閉経まで女性に寄り添うサービスを目指す。
朝ランが日課の編集者・ライター、女児の母。目標は「走れるおばあちゃん」。料理・暮らし・アウトドアなどの企画を編集・執筆しています。インスタグラム→@yuknote