「生理」はプールを休む理由にならない?
null生理中の体育の授業、思い出してみてください。休みたくなるほど生理痛がある人、だるさを感じる人もいれば、まったく支障がないという人まで、さまざまでしたよね。
でも、特にプールの場合は、痛みやだるさなどの症状の有無にかかわらず、経血が気になり、お休みしたくなるものです……。このルール、実は学校のガイドラインがあるのだとか。
「日本臨床スポーツ医学会が提言した『月経期間のスポーツ活動に関する指針』というものがあるのですが、そこでは“生理だからと体育を休む必要はない”と書かれているんですね。なので、生理中だからといって、休まなくてはいけない理由にはならないのが現状です」(高尾先生。以下同)
学校は教育の場。きちんと授業ごとの規定があるわけなんですね。
水中での経血は、水圧で外に出てくることはない、とはいえ…
nullこの“スポーツ活動に関する指針”。どのような理由から決まっているのでしょう……。
「この指針に“体育は休む必要はない”とあるのは、そもそも軽く運動した方が生理痛は軽くなるとされているので、体育を休む理由にはならないという考えがベースにあります。 加えて、プールの中では水圧がかかるので、経血は腟内に留められ、出てくることは物理的にはないという、体の仕組みも理由です。
ただ、プールから上がると水圧がなくなりますから、いきなり経血が出てくることもあります。実際に出る経血量がそれほど多くなくても、周りの水に希釈されて、多くの出血に見えることもあるでしょう。そのためこの指針では、濃い色のバスタオルをプールサイドに置いておくことを勧めたりしています。でも対策方法がそれって……いかにも古い感じですよね」
濃い色のバスタオルをプールサイドに……。もう少し、実際の女子生徒たちの気持ちを理解したルールにアップデートされる日が来るといいのですが。
「生理痛が重い」のは、体育を休む理由になる
nullただ、高尾先生。こんなこともおっしゃっています。
「生理自体が体育を休む理由にはなりませんが、生理でお腹が痛いから休みたい、という場合は理由になります。ですが、高校生くらいになっても“生理痛”を理由に、毎月のように授業を見学し続けるというのは、ちょっと考えもので。
生理痛がそれほどつらい、ということであれば、鎮痛剤やピルを飲むなど、何らかの対策をしようよ、とお勧めしたいわけです。授業がつらいほどの生理痛を放置しておくのは、本人にとっても良くありません」
事実(生理)と疾患(生理痛)とでは、確かに考え方が違いますよね。生理は予測できるものだからこそ、対策もあります。自分でできる対策は実践しつつ、生理痛などカラダのつらさは放置しない、という意識をもっていたいところです。
生理中は浴槽に浸かってもいい?
null生理時のお風呂、浴槽に浸かるのは避けてシャワーで済ませている人も多いのではないでしょうか。実際のところ、カラダへの影響はどうなんでしょう。
「プールと同じで、浴槽に浸かっているときは水圧がかかります。そのため、経血が出てきてしまうという心配はありません。 また、お風呂の雑菌が入ってきてしまうのではないかと聞かれることもありますが、水圧がかかっているからこそ、腟の中に何かが入っていくことは考えなくて大丈夫です」
心配せずに、ゆっくり浴槽に浸かっても大丈夫だそうです。また、お風呂で温まると生理痛が軽くなるという話も聞きますが?
「生理痛は、子宮という筋肉(平滑筋)が収縮するために起こります。筋肉は冷えると硬直してしまいやすいという特性を持っているので、温めると血流も回復し戻ってきます。そういったイメージからきているのだと思います。
生活の中で手軽にできることとして、入浴をはじめ、腹巻やカイロなど、本人が望んでいて、プラスに作用しているのであれば、取り入れたらいいと思います」
生理期間の不調への対処は、あくまでも自分が快適に過ごせるかどうか、自分の感覚で決めていけばいいものなんですよね。自分なりの“少しでも快適に過ごせる方法”を見つけていけるよう、娘たちの世代にも伝えていきたいですね。
【参考】
産婦人科医 高尾美穂
産婦人科専門医であり、婦人科スポーツドクター。女性のための統合ヘルスクリニック『イーク表参道』副院長。Gyne Yoga主宰。
「すべての女性によりよい未来を」と、TVや雑誌をはじめ、ツイッター(@mippolin78)やstand.fmなどのご自身のメディアにて、正しい知識や知っておくといいことなど、精力的に発信されている。