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えっ、そんなに…?今までで一番高かった「医療費」を50代以上500人に聞いた

年齢を重ねて病院に行く機会が増えた、健康診断の数値が引っかかり始めたなど、かつては考えもしなかったようなことが自身に降りかかった方もいるかもしれません。

今回『kufura』では、「今までで一番高かった医療費」について50代以上の男女500人にアンケート調査を実施。医療費の実態を、ファイナンシャルプランナーである筆者と一緒に見ていきましょう。

「歯」の治療費が高かった!

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今回のアンケートでダントツに多かったのは、スバリ「歯科治療」。500人中、3割近い140人が最も高い出費だったと回答しました。

ただ、歯科治療といってもその治療法は様々。みなさん、どんなことに費用が嵩んだと答えたのでしょうか?

・歯の詰め物

「虫歯治療5万円、セラミック」(59歳/女性/営業・販売)

「歯のセラミック冠かぶせ。約15万円」(68歳/男性/その他)

「歯にマグネットを入れた治療。20万円」(76歳/女性/主婦)

「歯の詰め物を全部外し(13本)、害のないゴールド含有の多いものに替えた。費用は80万円くらい。アマルガムがなくなったので安心」(70歳/女性/その他)

「銀歯が嫌で、詰め物をセラミックにした時。12本あったがそれだと70万円かかると言われ、全部の費用が捻出できずまだ半分までです」(52歳/女性/その他)

虫歯になった歯を治療して詰めるものといえば、キラリと光る金や銀歯。一般的な金属などの保険診療のほかに、口を開けた時に一見わからないようなセラミックなど、見た目が良かったり体に優しかったりする保険診療外の素材を選ぶこともできます。長期間付き合っていく歯。高額であっても、思い切って踏み切る方も少なくないようです。筆者も経験があるのでよくわかります。

・歯列矯正 

「歯並びの矯正。20万円くらい」(52歳/女性/主婦)

「歯の矯正治療、70万円くらい、すごく痛くて嫌気がさしました」(53歳/女性/主婦)

「歯の矯正、55年程前、最初に10万円払ってその後治療1回につき500円、保険がきかないので高かったが、一時歯の並びは戻ったが、その後また歯並びが戻ってきた。その後、他の歯医者で差し歯にして、1本6万円の歯を4本入れた」(63歳/男性/その他)

「歯の矯正治療で46万円。保険が効かず、全額自費、毎月メンテで5千円、3年ほどかかって、見た目は満足です」(53歳/女性/総務・人事・事務)

歯並びがいいと見た目の印象は本当に変わりますよね。また見た目だけではなく噛み合わせにも影響することから矯正をするケースも。金額も時間もかかって苦労される方も少なくないようです。

・入れ歯、差し歯

「部分入れ歯で2つ。25万円でしっかりとした形のものなので安心できました」(61歳/男性/総務・人事・事務)

「虫歯の治療で入れ歯にした。22万円かかった」(71歳/男性/その他)

「約10万円。何十年も前に前歯数本を差し歯にかえた。自費治療」(61歳/男性/総務・人事・事務)

「前歯の差し歯、25万円、高すぎると思いました」(61歳/男性/営業・販売)

虫歯や歯の欠損などで入れ歯、差し歯にしたり……。様々な治療法があるのは助かりますが、なかなか高額で決心がつきにくいということも。ため息が聞こえてきそうですね。

・インプラント

「前歯1本のインプラント治療。65万円。高かったが見栄えが良くなったので結果良かったと思う」(54歳/女性/営業・販売)

「歯のインプラント治療。約200万円。保険が効かないので、高かった。歯磨き等の手入れを怠っていたことを後悔した」(59歳/男性/その他)

「歯のインプラント治療に薬110万円。保険対象にならなかったのでローンを組んだ」(58歳/男性/その他)

「インプラント、500万円。ほとんど歯がなく上下に入れたのですごく高くて、歯が丈夫で歯にお金のかからない主人に申し訳なかった」(72歳/女性/主婦)

インプラント治療がメジャーになって久しいところですが、こちらも結構な費用です。本数が増えれば増えるほど嵩んでいく治療費。日々のケアで防げるなら……、防ぎたいところです。

・その他の歯科治療

「歯のブリッジ。1本8万円で32万円以上かかった」(61歳/女性/その他)

「歯のブリッジで50万円ほど。前歯なのでやむを得ないと諦めた」(50歳/男性/その他)

「10万円。歯の根の治療。若い時から歯を大事にしておけばよかったと思った」(62歳/女性/主婦)

「歯周病になった歯の手術。50万円くらいかかった。これからはきちんとケアする」(58歳/女性/主婦)

虫歯以外にも歯茎の病気や根っこの治療など、歯の治療は根気がいる上に高額なものが多い印象です。できる限り歯をしっかりと磨いて、時間とお金の節約につなげたいところです。また、歯医者さんはどうも苦手で……という方も、定期的なチェックをすることで、軽度なうちに治療が済む場合もあるかもしれません。嫌がらずにこまめに通院しておくとよさそうですね。

いわゆる「三大疾病」で高額な出費

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・がん(悪性新生物)

「大腸がんの手術、約200万円。高額療養費制度を使ったが諸費用(入院経費・食費・医療用具等)を含めて自己負担額は約20万円。退院後の抗がん剤が1年で約30万円位」(70歳/男性/その他)

「中咽頭がん治療、約200万円」(64歳/男性/公務員)

「悪性リンパ腫で6カ月入院。治療と手術で1,000万円を超え、健康保険がなければどうなっていたことか」(74歳/女性/その他)

「口腔がんの手術、50万円ぐらい。体も財布も痛かった」(71歳/男性/その他)

「前立腺がんの治療で約80万円」(76歳/男性/その他)

「肝臓がんの治療1回約35万円、痛かった。2回治療を受けたが、もうこれ以上は受けたくないと思った。しかし、また受けなければならないかも……」(72歳/男性/その他)

今や2人に1人ががんにかかる時代です。医療も進み、治療法もどんどん進んでいますが、それに伴ってかかるのが医療費。みなさんのコメントにもあるように、体や心だけではなく、懐も痛みます。

・心疾患

「心筋梗塞ステント留置術で入院期間含めて750万円。しかし命の代償なので仕方ないと思った。イギリスでは同じ手術で1,500万円と聞いて驚いた。これは10年前の話です。心臓が停止して10日間で意識回復した」(73歳/男性/総務・人事・事務)

「急性心不全で入院した時は8カ月かかりました。入院費も高額になり、日頃から健康についてもっと気を付けていればと思いました。今は慢性心不全から慢性腎不全になり透析を受けております」(73歳/男性/その他)

「急性心筋梗塞の治療のため入院。70万円。思ったよりも高かった」(69歳/男性/公務員)

心筋梗塞でカテーテルにてステントを挿入した手術、入院。3週間入院、180万円。高額療養費にて18万円の実質支払い。高額。負担分以外は税金。保険制度の破綻が心配」(73歳/男性/営業・販売)

コメントを見ていると、心臓の病気は突然やってくることが多いようですね。しかも命に直結することなので、治療の時間や費用がかかるようです。日頃から保険などを備えておくことが大事かもしれません。

・脳卒中

「脳梗塞の治療、約50万円。日々健康に気をつけよう」(68歳/男性/その他)

「脳梗塞で入院。30万円くらいだったと思います」(53歳/女性/主婦)

こちらもやはり高額な治療です。自分が入っている保険や備えを確認しておきましょう。

日々の習慣が大事…「生活習慣病」

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「糖尿病治療。約10万円」(64歳/男性/営業・販売)

「高血圧と脂質異常症の継続治療40万円」(66歳/男性/その他)

「糖尿病治療、逆流性食道炎等の治療。毎月7千円以上かかり、それが長年継続している」(66歳/男性/公務員)

日々の習慣がとても大事な私たちの健康。健康的な食事や運動を心がけて、生活習慣病にならないように気をつけたいところです。またストレスが多い現代社会では、ストレスを溜めないためにも、自分でできる発散法や、打ち込める趣味などを持つことも健康につながるかもしれませんね。

思わぬアクシデント…「怪我・事故」

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「かなりひどい骨折で3カ月ほど入院した医療費。20万円ほど。交通事故には気を付けないとと思った」(51歳/男性/営業・販売)

「交通事故で入院費用。約250万円。身体が自由に動かないので、入院するしかない」(56歳/男性/その他)

「頭のけが約10万円。場所が場所なのでいろんな検査をされた。酒の飲みすぎに注意しようと思った」(64歳/男性/その他)

「滑落事故による入院費と手術料が約15万円。登山中に枯れ木に体重をかけすぎて木が折れ、そのまま斜面を数十メートル転げ落ちた。頭部と左足を合わせて15針縫うことになった。それ以来、木に手をかける時は慎重になった」(70歳/男性/その他)

「階段から落ちて頭から出血した時、CTスキャン・縫合・後日の通院で数万円かかった」(52歳/女性/その他)

「足の複雑骨折の手術と治療、長期入院、リハビリで100万円くらい。40日の長期入院になったのが想定外だった」(50歳/男性/その他)

思わぬ事故や怪我で高額な出費。痛みとともに、後悔が募ることもあるようです。この痛みや不便さを教訓に気をつけながら生活したいですね。

まだまだある!「その他の疾病」

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「腰痛での入院。約40万円差額ベッド代が高かった。治療にはやむを得ない」83歳/男性/その他)

「髄膜炎にかかって入院したとき13万円」(51歳/女性/主婦)

「卵巣嚢腫。1カ月の入院で15万円、健康診断の赤紙は軽視しないようにと思った」(50歳/女性/総務・人事・事務)

また、どうしようもないこと以外に、自らの不摂生との自覚から反省と後悔の念にかられるという意見も聞かれました。

「胃潰瘍。23万円、不規則な生活が祟った」(60歳/男性/その他)

「入院費約5万円、痛風で1週間入院。お酒を控えるようにした」(56歳/男性/営業・販売)

「肺炎で入院した時にかかった治療費。1カ月で43万円。個室しかあいていなかったので、高くつきました。その後は健康に気を付けています」(61歳/女性/その他)

「10万円、シャント手術、健康に留意すべきだったと反省した」(53歳/男性/その他)

「ヘルニアの手術。手術費だけでまけてもらって30万円、仕事でムリしすぎた」(54歳/男性/その他)

あの時こうしていればこんなことにはならなかったのに……、と「たられば」を感じている方もいました。

知っておきたい「医療費制度&保険」

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さて、医療費についてリアルな体験談を見てきましたが、いかがでしたでしょうか。日本は「国民皆保険制度」であり、私たちは何かしらの公的保険制度に加入しています。普段は病院にかかるたびに、年齢や所得により1〜3割負担で窓口で支払いをしているほか、高額な医療費を払った際には「高額療養費制度」を利用して自己負担額を抑えることができます。

高額療養費制度とは、1カ月の医療費が一定の金額を超えると、超えた分の払い戻しを受けることができる制度です。医療費が高額になることがわかっているのであれば、「限度額適用認定証」をあらかじめ提示しておくことで、限度額までの支払いで止めることができます。限度額は、年齢と所得によって変わります。

また、高額な医療費を賄うために加入しておくと助かるのが「医療保険」ですね。「晴れた日に傘を買おう」の原理で、保険は何かあってからでは加入することができなくなったり、保険料が上がったりすることもあります。

50代以降の保険加入は、

・必要なものを、必要な分だけ加入する

・保険料が家計を圧迫しないようにする

・子どもの独立などのタイミングで見直しをする

ことが大切です。

50代以降は、老後の資産形成を具体的にしていく時期です。いつまで仕事を続けるか、今後の収入はどれくらいか、生活に必要な金額はいくらかなど、自分たちのこれからの生活を考えて、しっかりと計画しましょう。

今回のアンケートでは、500人中52人の方が、「高額な医療費を払ったことがない」と回答してくれました。健康は体にも財布にも優しいという結果が出ていますので、できるだけ健康でいられるように、規則正しい生活、適度な運動、ストレスを溜めないなど、病気になるようなリスクはできるだけなくしておきましょう!

また、医療費を年間10万円以上払った方は「医療費控除」の対象です。確定申告をすることで、所得税、住民税の減税となりますので、時期が来たら手続きをするようにしてください。

 

毎日健康でいることが、自分だけでなく、周りの人の安心にもつながります。日々心がけていきたいですね!

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