ビジネスコンサルタントの鈴木真理子です。私は手帳術や段取り術の本を書いたり、ビジネスパーソン向けの研修やセミナーに登壇するなどの活動をしています。
今回は、限られた時間を「段取り力」でコントロールする方法についてご紹介します。
(1)仕事は1時間単位で区切る
nullまず「休息」のタイミングについて。みなさんは仕事中、何時間おきに休憩していますか?
仕事は1時間単位で区切って計画するようおすすめします。というのは人の集中力は長くても60分。小中学校の授業は45~50分でしたよね。先生が授業を延長すると飽きてしまったり、あくびが出たりしたものでした。
社会人だって、ひたすらパソコンに向かって作業をすると、かえって仕事のパフォーマンスが落ちるなど、悪循環に。ある企業での実験結果をお伝えしましょう。
データ入力をする人たちのケアレスミスについて調査をしたところ、1時間に10分から15分程度の休憩を取る人と、休憩を取らずに入力し続ける人とでは、休憩を取る人たちにミスが少ないことが判明したのです。
長時間パソコンに向かうと、肩こりや腰痛、頭痛、眼精疲労にもつながります。そうならないよう1時間単位で仕事を組み立てましょう。
40分で仕事をし、残りの20分は休憩と次の準備にあててみてください。40分間集中したら脳と手を休ませる。この1時間セットをくり返しましょう。
時間割には、仕事の時間だけでなく、休憩時間もちゃんと書いておいてくださいね。集中しすぎたら、「おっと休憩時間だ」と気づけるように。
このように自分なりの作業のサイクルを決めると、ムリなく、ムラなく継続して成果を上げられることでしょう。
集中と自分メンテが同時に手に入る1時間単位のリセット術。メリハリがつくので、ぜひ取り入れてみませんか?
(2)朝のルーティーンで 仕事モードにシフト
著名なスポーツ選手には、自分なりのルーティンをもつ人が多くいます。試合前に必ず食べる物があったり、リラックスするために音楽を聴いたり、独り言を唱えて自分を鼓舞したり、心が落ち着くポーズを取ってみたり。
ビジネスパーソンも行動ルーティンを作ることで、安定的に仕事をスタートさせることができます。
いかなる状況でも精神を統一できたり、いち早く集中モードに突入できたりする効果があるので、ぜひあなたも朝に行うルーティンを作りましょう。
たとえば、時間に余裕をもって出勤したら、デスクでコーヒーか緑茶を飲みながら呼吸を整えます。リラックスしつつカフェインの力で頭をシャキッとさせたら、手帳タイム。マンスリーページを開いて眺め、予定を指差し確認します。
その後、「やることメモ」を作ります。前日に作っておいても結構です。やることに優先順位をつけて、重要な仕事は、いつ、どのくらいの時間でやるかを計画します。
「時間割」が完成したら、デスクの上に必要な書類やものを取り出します。私は最後にパソコンを立ち上げますが、パソコンで勤怠管理をする人は、早めに起動する必要がありますね。
いずれにしても朝のルーティンを作ると、考えずとも自然と体が動き、仕事モードへ早くシフトできるでしょう。たとえ体調が悪くても、気分が乗らなくても、日によってムラが出ずに、1日をスタートできますよ。
(3)まっさきに 帰る時間を決める
null「帰る時間」を手帳に書き込む「帰る時間」を手帳に書き込む1日の計画を立てるとき、まっさきに決めたいのが帰る時間です。
働き方は、スポーツにたとえると野球型とサッカー型の2通りがあります。野球の試合は1~9回まで時間の制限なく行われ、勝負がつかなければ延長戦になります。仕事が終わるまでやり続け、残業するタイプが野球型。対してサッカーの試合は、前後半90分間で何点入れ合うかを競います。仕事を定時内にキッチリ仕上げるタイプはサッカー型です。働くママは、時間をうまく使うサッカー型を目指したいもの。
サッカー型の働き方をめざす人は、帰る時間を決めて、延長戦なしでいきましょう。
帰る時間は、本来ならば決められた終業時間です。どうしても残業せざるをえない日もありますが、いずれにしても帰る時間を必ず決めてから、逆算方式で予定を立てましょう。
「○時までに終わらせるぞ!」と時間のゴールを決めて、集中して仕事に取りかかってください。帰る予定の時間は、忘れないようメモしておきましょう。
バーチカル手帳を使っていれば、18時など帰る時間に線を引き、それ以降に仕事の予定を入れないようにします。打ち合わせはもちろんのこと、自分だけでやる仕事も入れません。
マンスリー手帳を使う人は、帰る時間をメモするスペースが取りにくいので、「時間割」に退社予定時間を書き入れるとよいでしょう。
つまり、「やること」だけでなく、それらをいつまでに終わらせるのかを計画に盛り込むということです。ちなみに私は毎日18時までに仕事を終わらせます。帰る時間を決めないと、時間はいくらでもあると勘違いしやすいもの。長時間仕事を続けてしまうと、疲れて集中力が下がりやすく、残業が恒常的になってしまいます。
帰る時間や寝る時間が遅いと、睡眠不足のため、けだるい朝を迎えるといった悪循環に陥ってしまいますね。目標時刻をめざすと時間感覚が研ぎ澄まされ、仕事に集中できます。退社後のゆとりで、毎日の満足度が上がるでしょう
家事に忙しいママたちへ
nullこれらの3つのルールは、家庭の中でも応用できます。
家事は無限にありますよね。ママはやることが多くて時間に追われています。だからこそ、朝のたった5分を計画タイムにあてましょう。
朝やることを手帳やメモに書き出して、おしまいの時間を設定してみてください。
おしまいの時間は、子どもを寝かせる時間や、夕飯の片づけを終える時間などでもいいでしょう。おしまいの時間が来たら、家事は終わり。残りは明日に回してOKと割り切ることも大切です。
オンとオフの時間をハッキリ区別すること。
そして5分でも10分でもいいから、好きなことをする“自分時間”を作ってみてください。
まとめ
- 休憩することで生産性がUPする
- 40分仕事、20分休憩をワンセットに
- 時間割に休憩時間を組み込もう
- 行動ルーティーンがあると、自分を落ち着かせたり鼓舞したりできる
- 「やることメモ」を「いつもの行動」に
- 「帰る時間」から逆算して行動を決める
- 帰る予定時刻を手帳や「時間割」に書く
- 長時間労働は悪循環のはじまり
【教えてくれた人】
鈴木真理子
株式会社ヴィタミンM代表取締役。 三井海上火災保険株式会社(現三井住友海上)を退職後、さまざまな職業を経験した後、ビジネスコンサルタントとして独立。2006年起業し、講師派遣型の社員研修を行う株式会社ヴィタミンMを設立。これまで企業研修や公開セミナーにおいて数多の失敗談を告白しながら、ミス、ムダ、残業を減らすヒントを提唱している。講師業の傍ら、新聞や雑誌をはじめメディアの取材、ビジネス書の執筆まで幅広く活動中。主な著書に『絶対にミスをしない人の仕事のスゴ技BEST100』『仕事のミスが激減する「手帳」「メモ」「ノート」術』『「段取りが良い人」と「段取りが悪い人」の習慣』(明日香出版社)など多数。累計24万部を超える。