「ご多幸」の意味とは?
null“多幸”とは、たくさんの幸せのこと。相手の幸せを祈って“ご多幸”という形で使います。
「ご多幸」はどんなときに使うといい?
null“ご多幸”は、メールや手紙、あらたまった場面におけるスピーチの中で使われることの多い言葉です。
メールや手紙では、締めくくりで「ご多幸をお祈りいたします」といった形で使うのが一般的です。
ビジネスシーンにおいては、一つの仕事の区切りがつき、しばらく会うことがない相手に向けたメールの中でよく使われています。
【ビジネスシーンでの「ご多幸」使用場面例】
・異動時の挨拶
・退職時の挨拶
・担当変更のお知らせ
・スピーチの締めくくり
・取引先への年賀状の一文…etc.
私生活においては、以下のような場面で使われています。
【私生活での「ご多幸」使用場面例】
・お世話になった人に向けたメールや手紙
・年賀状
・結婚式の乾杯前のスピーチ…etc.
「ご多幸」の例文は?
nullそれでは、“ご多幸”を用いた例文を通じて使い方をイメージしていきましょう。
・○○様のご多幸をお祈りいたします。
・末筆ながら、皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
・お集まりいただいた皆様のご多幸を祈念して、結びの言葉と致します。
「ご多幸」と「ご健勝」の違いは?
null例文でもご紹介した通り、“ご多幸”と“ご健勝”は並べて使われることがあります。
2つの単語の意味は異なり、“ご多幸”はたくさんの幸せ、“ご健勝”は元気で健康であることを指します。
「皆さまのご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます」といった形で使われています。
「ご多幸」の使い方の注意点は? 企業に使える?
null“ご多幸”に含まれる“幸せ”というものは、
【気をつけたい表現】
・御社のますますのご多幸をお祈り申し上げます。
→企業に向けた言葉では、“成長”や“発展”を用いるのがベター。
また、“ご多幸”は、しばらく会うことがないような相手へのメールや、節目のパーティなどで使う言葉です。日ごろから多用するような言葉ではありません。
「ご多幸」を言い換えると?
null続いて“ご多幸”の言い換え表現をご紹介します。
(1)「ご活躍」
“活躍”とは、めざましく活動して成果をあげること。幅広いシーンで使われる言葉ですが、退職や異動など、何かの節目の挨拶メールの中で、相手の活躍を願って使うこともできます。
【例文】
・新天地におかれましても、益々のご活躍をお祈りいたします。
(2)「ご清栄」
“清栄”は文字通り清く栄えること。メール・手紙の中で、相手の健康や繁栄を祈って使います。企業に対しても個人に対しても使うことができます。
【例文】
・ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
(3)「ご発展」
“発展”は、栄えていくこと。個人ではなく企業に対して用います。“〇〇さん(個人名)のご発展を願って”
【例文】
・貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。
(4)「ご清祥」
“清祥”は、相手が元気で幸せに暮らしていることを祝う挨拶の言葉です。主に手紙やビジネス文書の中で個人の相手に向けて用います。
【例文】
・先生におかれましては、
以上、今回は国語講師の吉田裕子さんに“ご多幸”の使い方について解説して頂きました。
しばらく会うことのない相手との縁をつなぐためにも、最後は美しい言葉で締めくくりたいものです。何かの節目に備えて“ご多幸”という言葉を覚えておきましょう。
【取材協力・監修】
吉田裕子
国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。