解説して頂いたのは、『
「ご無沙汰」の意味とは?「久しぶり」との違いは?
null“ご無沙汰”(ごぶさた)の“沙汰”(さた)は、便りや知らせを意味します。“ご無沙汰”は、長らく訪ねなかったり、便りをしないままでいる“無沙汰”を丁寧に言った言葉。
「ご無沙汰しております」は「お久しぶりです」と意味が似ているのですが、本来であれば、もう少しまめに連絡をするべきなのに、それをしていないことへお詫びのニュアンスを含んでいるのが特徴です。
「ご無沙汰」はどんなときに使うといい?
nullビジネスシーンにおいて、“ご無沙汰”は、しばらく取引や連絡が途絶えていた取引先に対して、一言目の挨拶で使います。話し言葉でも書き言葉でも頻繁に使われており、目上の相手に対しても使うことができます。
「ご無沙汰しています」と言った後は、「お変わりありませんか?」「どうお過ごしですか?」など、連絡をとっていない期間への配慮の言葉を続けるといいでしょう。
先ほど、“ご無沙汰”にはお詫びのニュアンスが含まれているとお伝えしましたが、軽い言い方でも、お詫びのニュアンスを全面に出す言い方でも、どちらでも使うことができます。話し方や前後の言葉で相手への伝わり方が変わってくる言葉だといえます。
私生活においては、長らく会っていなかった相手と久しぶりの再会をしたときや、しばらく連絡が途絶えていた相手に連絡をするときなどに使います。
「ご無沙汰」の例文は?
null続いて、“ご無沙汰”を使った例文を通じて、使い方のイメージをふくらませていきましょう。
【「ご無沙汰」の使用例】
・久しくご無沙汰しております。しばらく連絡ができず失礼いたしました。
・長い間ご無沙汰しております。以前セミナーでご一緒した鈴木と申します。
・ご無沙汰しております。今日お会いできると思っていなかったので展示会に来てよかったです。
このように、久々に連絡をする相手、連絡を受けた相手、偶然出会った相手などに対して使うことができます。
「ご無沙汰」の使い方の注意点は?
null先述した通り、“ご無沙汰”は、もう少しまめに連絡をするべきなのに、それをしていないことへお詫びのニュアンスを含みます。
その点を踏まえると、取引先の相手や、知人に偶然出会って純粋に再会を喜ぶ場合は「お久しぶりです」のほうが適しているかもしれません。
「ご無沙汰」を言い換えると?
null続いて、“ご無沙汰”の言い換え表現をチェックしていきましょう。
(1)「お久しぶりです」
前回、会ったり連絡をとってから長い時間が経過しているときに使います。“ご無沙汰”よりも気軽に使うことができる表現です。
【例文】
・お久しぶりです。たまには一緒にご飯でもいかがかと思い連絡いたしました。
(2)「久方ぶりです」
“久しぶり”の類義語ですが、やや古風な言い回しです。
【例文】
・ずいぶんと久方ぶりです。お元気ですか?
(3)「不義理」
“不義理”は“義理を欠く”の意。義理と人付き合いの道理から考えれば、連絡をとるべきだったのにそうしてこなかったというお詫びの気持ちを全面に押し出すときに使うことがあります。
【例文】
・ずいぶん前にご連絡を頂いたにもかかわらず、不義理をしてしまい申し訳ございませんでした。
「ご無沙汰しております」と言われたどう返す?
null相手に「ご無沙汰しております」と言われたら、「こちらこそご無沙汰しております」とあいさつしたうえで、「いかがお過ごしでしたか?」などと付け加えて簡単に近況を確認し合うという流れが自然です。
今回は国語講師の吉田裕子先生に“ご無沙汰”の意味や使い方についてうかがいました。
普段何気なく使っている方も多いかもしれませんが、「ご無沙汰しています」と「お久しぶりです」の微妙なニュアンスの違いを知って上手に使い分けられるといいですね。
【取材協力・監修】
吉田裕子
国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。