段取り上手になる手帳の選び方
nullビジネスコンサルタントの鈴木真理子です。私は手帳術や段取り術の本を書いたり、ビジネスパーソン向けの研修やセミナーに登壇するなどの活動をしています。その際、よく聞かれるのが「どんな手帳を買うと、段取りがよくなりますか?」という質問。
結論をいいますと、どの手帳を使っても段取り上手になれます! なぜなら手帳を使うこと自体に意味があるからです。
手帳で整える「段取り」
・手帳に自分の予定を書き入れ、それを見返す。
・締切りや期日を確認し、「いつまでに」「なにをすればいいか」
を前倒しで考えて、やることを洗い出す。
1冊の手帳があれば、こうして段取りを整えることができます。手帳にはマンスリー、ウィークリー、デイリーの3タイプがあります。その特徴を説明します。
手帳初心者におすすめ! マンスリー
マンスリーは、月間予定が見開き1ページになっているものです。
マンスリーページは、どのタイプの手帳にも入っています。マンスリーページのみで構成されたマンスリー手帳は、紙の枚数が少ないので薄くて軽く、持ち運びしやすいのが特長です。
大きさは、手のひらサイズの小型のものから、A4版のノートサイズまで。マンスリー手帳は記入する面積が少ないため、心理的な負担が軽く、手帳デビューする人におすすめです。
1日の予定が多い人におすすめ! ウィークリー
ウィークリーは、週間予定表が片面~見開き1ページに印刷されています。
メモタイプとバーチカルタイプがあり、メモタイプは自由度が高く文字やイラストなどを書けます。バーチカルタイプは時間軸があります。社内会議や外出などの予定があれば、該当する時間帯にそのまま書き込めるのでラクです。
書きたいことを1冊にまとめたい人におすすめ! デイリー
デイリーは、1日分が片面~見開き1ページあります。
メモ欄がたっぷりあるので、手帳兼ノートとして使うことができます。ページ数が多いので厚みが出て、重さもありますが、情報を一元化できたり、日付順に記録を残したりできるのがメリットです。
手帳を使う際の3つのルール
null次に、手帳を使う際の基本的なルールを3つご紹介します。
1 . ペンを常にセットしておく
手帳専用に使うペンを用意して、手帳についてるペンホルダーやカバーに差し込んでおきましょう。ペンが迷子にならず、いつでもすぐに書き込めます。ペンを探す時間があると、モチベーションが削がれるものです。
なお、おすすめするペンはノック式です。片手でペン先を出し入れできるので、電話中でもラクにメモできますよ。
2 . すぐに・その場でメモする
予定が決まったときやアイディアが浮かんだときは、時間を置かず手帳に書き込みましょう。「このくらいのことなら覚えられる」と思っても、時間が経てば経つほど記憶が遠のいてしまいます。正しく暗記したつもりが間違っていた、なんてことにならないよう、すぐに・その場でメモするのが鉄則です。
3. 公私混同にする
手帳に書き込む予定は公私混同、つまり仕事とプライベート両方にしましょう。仕事のことだけ書く人もいますが、きっちり公私の区別をつけるのは難しく、ムリに区別するとかえってうまくいきません。
たとえば、次の予定は仕事の一部? それともプライベートな時間? どっちなのか迷いませんか。
上司や先輩社員と非公式で行く飲み会、会社帰りに通うスクールや資格取得のための勉強、有給休暇……
きっとどなたも仕事とプライベートの両方で1日を組み立てているでしょう。ですから手帳にはオンとオフ両方の予定を書き入れておくのです。
また、アフターに予定があれば、残業せずに仕事を終わらせようとエンジンがかかります。あるいは金曜日に有給休暇を取るとしたら、前日までに気になっていることを済ませておくと、安心して休めます。
このように公私混同すると、時間のやりくりがうまくいきます。
朝5分の「段取り手帳術」の方法
null朝5分の「段取り手帳術」の方法
基本ルールをおさえたら、いよいよ朝5分の「段取り手帳術」のスタートです。段取りに必要な時間は、朝のたった5分。
次の5つの手順を踏みましょう。かける時間は、それぞれ1分ずつがめやすです。
- 1 分 手帳で1カ月間の予定を眺める
- 1 分 「やることメモ」を書き出す
- 1 分 「優先順位」を問いかける
- 1 分 「投入時間」を決める
- 1 分 「時間割」を完成させる
(1)1分 手帳で1カ月間の予定を眺める
スケジュール管理は、大きなところから小さなところへ、の順にします。全体をとらえてから部分に移りましょう。
つまり“今月の予定→今週の予定→今日の予定”という順に確認していきます。なぜかというと、目先のことだけにとらわれると、先の予定をうっかり忘れ、ほかにやるべきことがあるのに別のことをやりかねないためです。なにごとも俯瞰することが大切です。
このときマンスリーページは、1カ月の大まかな予定を把握するのに役立ちます。マンスリーページを開いて、今月はどんな予定があるのかなとまずは確認しましょう。月の後半になったら、ページをめくっ
て来月の予定も確認しておくと万全です。
(2)1 分「やることメモ」を書き出す
次に、「やることメモ」を書き出します。今日中にやりたいこと、やらなくちゃいけないことをどんど
ん書き出していきます。
(例)・10時〜11時までチームの打ち合わせ
・上司に昨日受けた研修の報告をする
・○○の書類を作る
・先輩社員○○さんの仕事を手伝う
・A社にメールを送る
このように書き出すと今日という1日でやろうとしていることの全体像を把握することができますし、仕事のヌケやモレを防ぐことができます。
(3)1分 「優先順位」を 問いかける
(2)で書き出したやることに優先順位をつけていきます。優先順位をつけることは、段取りの肝といっても過言ではありません。優先順位をつけずに仕事をすると、手慣れた仕事やラクな仕事、さほど重要でない仕事から手をつけやすいものです。本当はやるべき仕事があるのに先送りし、時間切れということになりかねません。
そうならないよう、大事な仕事から手をつけていきましょう。絶対に今日中にやることを選び、1、2、3と順位づけをしてください。
(4)1分 「投入時間」を決める
4つめに、それぞれの仕事に、どのくらい時間をかけるかを決めます。
ポイントは、「どれくらい時間がかかるか」ではなく、「どれくらい時間をかけるか」です。
時間をかける価値ある仕事と、時間をかけるまでもない仕事があるので見極めましょう。そして自分の大切な時間をどれくらい投入するかを具体的に計画します。
(5)1分 「時間割」を完成させる
最後に1日の時間割を作ります。時間割といえば、小学校の教室に貼ってあった時間割を覚えていますか? 1時間目は国語、2時間目は理科というように朝から夕方までやることが並んでいましたね。そんなイメージで、私たちも始業から終業までの時間軸に、仕事を並べていきましょう。
このように、たった5分で1日の段取りが完成します。これに従えば、集中して仕事をし、成果を上げる人になれるのです。
なお、(2)~(5)のステップは手帳に書いてもよいですし、手帳のスペースがなければメモ帳やノートなどに書いてもよいでしょう。
1冊の手帳でまとめたい場合、マンスリー手帳ではフリーのメモ欄を、ウィークリーのバーチカルタイプなら時間軸をそのまま時間割として活用できます。自分のやりやすい方法を選んでくださいね
【教えてくれた人】
鈴木真理子
株式会社ヴィタミンM代表取締役。 三井海上火災保険株式会社(現三井住友海上)を退職後、さまざまな職業を経験した後、ビジネスコンサルタントとして独立。2006年起業し、講師派遣型の社員研修を行う株式会社ヴィタミンMを設立。これまで企業研修や公開セミナーにおいて数多の失敗談を告白しながら、ミス、ムダ、残業を減らすヒントを提唱している。講師業の傍ら、新聞や雑誌をはじめメディアの取材、ビジネス書の執筆まで幅広く活動中。主な著書に『絶対にミスをしない人の仕事のスゴ技BEST100』『仕事のミスが激減する「手帳」「メモ」「ノート」術』『「段取りが良い人」と「段取りが悪い人」の習慣』(明日香出版社)など多数。累計24万部を超える。