「否定」から入らない
null良かれと思って改善の提案をしても、そのやり方になじんでいる既存社員は「否定された」と感じるかもしれません。良い提案であったとしても、「押し付けられる」という印象を持たれる可能性もあります。
そこで、入社して最初の3ヵ月くらいは、すべて「一旦受け入れる」という姿勢で臨むことをお勧めします。既存社員のやり方を認め、現状を正しく把握した上で、「課題の提起」→「改善の提案」のステップへ進みましょう。
「質問」の体裁で指摘する
null「このやり方はおかしい」「これでは効率が悪い」とストレートに指摘するのではなく、「質問する」という形で切り出してみましょう。
「どうしてこういうやり方をしているんですか?」
「こういう流れで進めるのには、何か理由があるんですか?」
そこで説明を受ければ、その会社ならではの事情を理解できるでしょう。しかし、聞かれた相手も、「以前からのやり方を受け継いでいるだけ。そういえば、どうしてだろう?」と、初めて疑問を抱くかもしれません。
その場合、「こういう方法もあると思いますが、いかがでしょう」と提案すれば、受け入れられやすくなります。
理解を示した上で、「感想」として伝える
null「このやり方をされているのには何か理由や事情があると思うのですが、一つの意見として、私が感じていることを聞いていただけますでしょうか」
――このように「問題点を指摘する」ではなく「感じていることを伝える」というスタンスで切り出すと、耳を傾けてもらいやすくなると思います。
「成功事例」として伝える
null「私が前にいた会社ではこうしていた。そのほうが効率的だから、このやり方に変えるべき」――こんな提案の仕方では、反発を招いてしまいます。同じことを伝えるにも、表現を変えてみてください。
「私が前にいた会社でもこんな課題で悩んでいて、このやり方を導入したらうまくいったんです。うちでも取り入れてみると、今より楽になるんじゃないでしょうか。一度試してみませんか」
このように、「今よりも楽になる」「手間や時間を短縮できる」といったメリットを合わせて伝えることで、「チームのために、より良くすることを考えてくれているんだな」と好意的に受け取ってもらえるはずです。
プラス面を褒めた上で、マイナス面を指摘する
null「否定」だけでなく、「称賛」もすることで、強い反発は起きにくくなるものです。
例えば、
「この会社は、〇〇を実践していてすばらしいですね。前の会社ではもっと××でした。ただ、△△についてはもっといい方法があるように思います」
「とても効率のいいオペレーションが確立されていてすばらしいですね。ただ、○○の部分が少し抜けているので、××というリスクがあるように感じます」
このように、まずプラス面にフォーカスした上でマイナス面に言及すれば、反発が生じにくいと思います。
最初にもお伝えしたとおり、「否定」ではなく、「こうするともっとよくなる」「もっとやりやすくなる」を強調することがポイント。そうすれば、「外から来て自分たちを否定する人」ではなく、「自分たちの仕事がもっとやりやすくなるようにヒントや情報を与えてくれる人」と見てもらえるようになるはずです。
構成/青木典子