転職のリスクやマイナス面にも目を向けて
null転職した自分をイメージすると、「今よりも良くなっている」部分を強く想像しがちです。ただ、「変化」するということには、良い面もあれば、ある意味リスクもあります。
メリットだけに目を奪われて転職に踏み切り、「こんなはずじゃなかった」と後悔しないように、リスクの一面にも目を向けておくことが大切です。リスクやマイナス面も理解した上で、自分の「本気度」を確認してみてください。
転職後に「想定外」が発生しがちなポイントとは
null私は転職エージェントとして多くの転職相談をお受けしてきましたが、その中には「転職したけれどうまくいかなかった。再び転職したい」という方も少なからずいらっしゃいます。不満の理由は必ずしも一つではありませんが、「想定外だった」というポイントには次のようなものがあります。
●収入
前の会社より給与額が高い! そう思って転職したけれど、前の会社にあった各種手当(住宅手当、家族手当など)や福利厚生がなく、可処分所得が減少した。
●勤務地
オフィスがある街の雰囲気や通勤アクセスの良さに惹かれたが、入社後に会社が拡大方針を打ち出し、多拠点を展開。通勤に不便な地域、転居が必要な地域への異動を命じられた。逆に、事業縮小で、キレイなビルから雑居ビルに移転することになった。
●組織の慣習・風土
仕事内容に魅力を感じて入社したが、「やり方」「慣習」が自分に合っていない。例えば、「水面下での根回しや何重もの稟議に時間がかかりすぎる」「関連部署との調整が面倒」など。
●働く人
面接で会った人事担当者や経営者に魅力を感じ「この人たちと働きたい!」と思ったが、配属先の上司や同僚とソリが合わない。部署によって社員のキャラや雰囲気がまったく異なっていた。
●サポート体制
前の会社ではさまざまな専門部署があり、専門知識を持つ人たちからのサポートを受けられたが、それらをすべて自分で勉強してこなさなくてはならず、自分の業務だけに集中できない。
●評価制度
自分が強みとすることを評価する指標がない。プロセスが評価されず、成果だけで査定される、など。
これらはほんの一例。前の会社では当たり前で、それが普通だと思っていたことが、次の会社にはないことも十分あり得るのです。転職後に「前の職場は恵まれていたんだな……」と初めて認識することも。
だからこそ、転職によって何が変化するのかを、いろいろな角度から想定しておきたいものです。そうすれば自分が大切にしたいポイントについて面接時に確認しておくなど、転職後の「まさか」を防ぐことができるでしょう。
もちろん、実際に入社してみなければわからないこともたくさんあります。けれど多少の不便・不満、ストレスなどが生じたとしても、自分が心からその会社で働きたい! その仕事がしたい! という強い想いがあれば、気にならないもの。
自分が転職に対して、また、やりたい仕事に対してそれだけの想いや覚悟があるのかを自問自答していただきたいと思います。
構成/青木典子