「知恵熱」の意味とは?
「知恵熱」の意味とは?“知恵熱”は、生後半年を過ぎた乳児が、原因不明の発熱をすることを表す言葉です。
国語辞典によって「6、7カ月を過ぎたころ」「半年から1年くらいのころ」「知恵づき始めたころ」など、その時期にはバラつきがあります。
「知恵熱」という言葉を巡る社会の変化とは?
「知恵熱」という言葉を巡る社会の変化とは?文化庁が過去におこなった「国語に関する世論調査」では、40.2%が本来の意味と異なる「深く考えたり頭を使ったりした後の発熱」を選択していました。
現代では、医療・医学の発達により、昔よりも乳児の発熱の原因を特定しやすくなっており、育児の現場では知恵熱という言葉があまり使われなくなっています。
その反面、年齢に関わらず根を詰めて勉強や仕事をした後の発熱を、子どもの“知恵熱”に例える場面が見受けられます。
近年の国語辞典の中には、“俗に”(話し言葉)と前置いたうえで、頭を使いすぎたときに出る熱という意味を加えている辞典もあります。
そのため、冒頭の「資格の勉強をがんばりすぎて、知恵熱が出た」という表現は、必ずしも間違いとは断定できなくなっています。
◆英語にも「知恵熱」という言葉はある?
英語では“知恵熱”に該当する言葉はありませんが、生後6カ月頃に歯が生える頃の突然の発熱を表す“Teething fever”という言葉があります。
「知恵熱」の例文は?
null“知恵熱”を使った例文をご紹介します。
・今思えば、先日の子どもの発熱は、知恵熱のようなものなのかもしれない。
・母体由来の免疫が切れてくると、知恵熱が出るかもしれないから気をつけるように、と義母からアドバイスをされた。
・昔の人は、この時期の赤ちゃんの急な発熱を“知恵熱”なんていったものだ。
・昨日の熱はあっという間に下がったので、まるで子どもの知恵熱のようだと思った。
以上、国語講師の吉田裕子さんに“知恵熱”という言葉について解説していただきました。
頭を使いすぎた際に「知恵熱が出そう」という形で使われることがありますが、本来は、赤ちゃんの熱を表す言葉であることを覚えておきましょう。
取材・文/北川和子
【参考】
国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)、『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)。東京大学卒業。