「顔をしかめる」の意味とは?
「顔をしかめる」の意味とは?「顔をしかめる」は、心配・不安・不快な感情を表情にあらわすこと。
動詞の“しかめる”は、不快・苦痛のために顔にしわを寄せることです。不機嫌な表情を表す“しかめっつら”のような言い回しもあります。
「顔をしかめる」の例文は?
「顔をしかめる」の例文は?「顔をしかめる」は、以下のような形で使われています。
・騒ぐ子どもたちに、顔をしかめる大人もいた。
・彼は機嫌が悪かったようで、ずっと顔をしかめていた。
・その子は、顔をしかめながら苦手な野菜を食べていた。
・さっき部長が顔をしかめて外に出ていきましたが、何かあったのですか。
・彼女は、顔をしかめて気分が悪いと訴えた。
「顔をしかめる」の使い方の注意点は?「眉をしかめる」は間違い?
「顔をしかめる」の使い方の注意点は?「眉をしかめる」は間違い?「顔をしかめる」と類似した意味を持つ慣用句に「眉をひそめる」があります。「眉をひそめる」は、不満・不快・心配のために眉のあたりにしわを寄せること。2つの慣用句の意味と構成が類似しているため、混同しやすくなっています。
文化庁が実施した「国語に関する世論調査」によれば、「心配や不安を感じ、表情に出すこと」を意味する慣用句として、44.5%が「眉をひそめる」、44.5%が「眉をしかめる」と回答しており、2つの言い回しを混同している人が多いようです。
実は“しかめる”も“ひそめる”も漢字変換をすると“顰める”
「顔をしかめる」と「眉をひそめる」の使い分けは?
「顔をしかめる」と「眉をひそめる」は類義語で、いずれも不快・不安・不満を示す際に使います。
「顔をしかめる」の場合は、「彼は、痛みで顔をしかめる」というように、痛みや苦痛で顔をゆがめる様子にも使うことがあります。
「顔をしかめる」を言い換えると?類語は?
「顔をしかめる」を言い換えると?類語は?「顔をしかめる」と類似した表現をご紹介します。
(1)「眉を寄せる」「眉根を寄せる」
「顔をしかめる」「眉をひそめる」の類語。眉のあたりにしわを寄せ、不快・不満・不安な気持ちを表すこと。
【例文】
・彼女の歯に衣着せぬ物言いに眉根を寄せる者もいた。
(2)「表情を曇らせる」
ネガティブな心境を表す様子を指して「表情を曇らせる」という表現を使うことがあります。
【例文】
・彼女はその話を聞いたとき、表情を曇らせた。
(3)「苦虫をかみつぶしたよう」
「苦虫(読み方:にがむし)をかみつぶしたよう」は、非常に不愉快・不機嫌な表情を表す慣用句。「顔をしかめる」よりもあからさまな感情表現に対して使います。
【例文】
・課長は、ミスをした新入社員の言い訳を苦虫をかみつぶしたような顔をして聞いていた。
(4)「渋い顔」
「渋い」は、不平そうな様子を指して使うことがあります。
【例文】
・この報告をしたら、きっと部長は渋い顔をするだろう。
以上、今回は「顔をしかめる」の意味と注意点についての解説をお届けしました。
類似の表現が多いので、合わせて覚えておくと役立つかもしれません。
取材・文/北川和子
【参考】
国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)、『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)。東京大学卒業。