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「立つ鳥跡を濁さず」の意味は?「飛ぶ鳥跡を濁さず」は間違い?【間違いやすい日本語#10】

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「立つ鳥跡を濁さず」は、間違いやすいことわざの1つ。今回は、意味や類似表現、よくある間違いをお届けします。

解説していただいたのは、『印象が飛躍的にアップする 大人の「言い方」練習帳』(総合法令出版)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんです。

「立つ鳥跡を濁さず」の意味とは?どんなときに使う?

立つ鳥跡を濁さず」は、立ち去るときには後始末をきちんとしておかなければならない引き際は潔くあるべき、という意味のことわざです。

“立つ”は、飛び立つの意。しばしば“発つ”と表記されることもあります。

◆どんなときに使われている?

以下のような場面で使われています。

・組織を離れる人が、しっかりと引継ぎをして迷惑をかけずに立ち去っていく様子を評価するとき

・きちんと後始末をして潔く組織を立ち去ろうという自分の意志表示をするとき

◆「飛ぶ鳥跡を濁さず」は間違い?

「立つ鳥跡を濁さず」と同様の意味で「飛ぶ鳥跡を濁さず」という表現が使われることがあります。

辞書によって「飛ぶ鳥跡を濁さず」を「可」としているケースと「誤り」としているケースがありますが、すでに広く使われているのが実情です。

「立つ鳥跡を濁さず」の使い方の注意点は?よく見かける間違った使い方

「立つ鳥跡を濁さず」は、漢字の表記を間違いやすいことわざです。

よくある間違いをご紹介します。

【よくある間違い例】

断つ鳥跡を濁さず

・立つ鳥を濁さず

・立つ鳥跡を汚さず

・立つ鳥を落とす勢い

「立つ鳥跡を濁さず」の例文は?

「立つ鳥跡を濁さず」を使った例文を通じて使い方をイメージしていきましょう。

・Aさんは、引継ぎもあいさつも完ぺきで、まさに立つ鳥跡を濁さずでしたね。

・退職する際には立つ鳥跡を濁さずを実践したいと思う。

立つ鳥跡を濁さずといいますから、きちんと片付けてから帰りましょう。

「立つ鳥跡を濁さず」の類語は?

「立つ鳥跡を濁さず」と類似の意味がある表現をご紹介します。

(1)「原状復帰」

“原状復帰”(読み方:げんじょうふっき)は、もとのままに戻すこと。会議室やレンタルルームなどの使用時に「後始末をきちんとして、元通りにしてから退出」の文脈で使われています。賃貸物件の場合には“原状回復”という言葉が使われることがあります。

【例文】

・イベントでの使用の際は、原状復帰が基本です。

(2)「有終の美」

「有終の美」(読み方:ゆうしゅうのび)は、最後までやり通して、立派な成果をあげること。組織を去る際にしばしば使われる表現です。

【例文】

・退職前にこのプロジェクトを成功させて有終の美を飾りたい。

「立つ鳥跡を濁さず」の対義語は?

「立つ鳥跡を濁さず」と対の意味を含む言葉をご紹介します。

(1)「後足で砂をかける」

「後足(読み方:あとあし)で砂をかける」は、去り際に迷惑をかけたり、恩知らずなことをしたりすること。「後ろ足で砂をかける」「後足で砂を浴びせる」などと言うこともあります。

【例文】

・彼女を大切に指導してきたつもりだったが、後足で砂をかけるようなSNSの投稿に心底傷ついた。

(2)「旅の恥は掻き捨て」

「旅の恥は掻き捨て」(読み方:たびのはじはかきすて)は、旅先には知っている人がいないから、普段できないことを平気でするということわざ。

【例文】

旅の恥は掻き捨てとばかりに、出張先で羽目を外していた。

(3)「後は野となれ山となれ」

差し当ってのことを済ませてしまえば、あとはどうなってもかまわない、ということわざ。

【例文】

・彼は退職前の引継ぎをほとんどせず、後は野となれ山となれという態度だったので、同僚からのひんしゅくを買った。

 

以上、今回は国語講師の吉田裕子さんに「立つ鳥跡を濁さず」という言葉について解説していただきました。

美しい“去り際”を表すことわざです。正しい意味を覚えておきたいですね。


 

【取材協力・監修】

吉田裕子

国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)。東京大学卒業。

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