「うろ覚え」の意味とは?
「うろ覚え」の意味とは?“うろ覚え”は、不確かな記憶の意。
あいまいな記憶について言及する際に、「正確な情報ではないかもしれない」という弁解を添えるために使われることの多い言葉です。
不確かな情報に言及する相手を注意する際にも用いられます。
◆「うろ覚え」の「うろ」って何?
“うろ覚え”の“うろ”は、空・虚・洞などとつづられ、中がからになっているところや、空洞の意。中身がつまっているのではなく、すかすかであるさまを表します。
“うろ覚え”は、記憶が抜け落ちている部分があることから”不確かな記憶”という意味で使われています。
「うろ覚え」の使い方の注意点は? 「うる覚え」は間違い?
「うろ覚え」の使い方の注意点は? 「うる覚え」は間違い?“うろ覚え”の注意点は2つです。
(1)書き言葉では「うろ覚え」とつづる
また、“うろ”は漢字で空・虚・洞などとつづられますが、“虚覚え”“洞覚え”とはつづらずに、ひらがな表記が読みやすいでしょう。
また、話し言葉で“うる覚え”
(2)「うろ覚えですが」と前置きをすれば何を言ってもいいわけではない
「うろ覚えですが」と前置きをすれば、どんな不確かな情報を伝えてもいいわけではありません。例えば、誰かのプライベートに関すること、相手の心理を揺さぶるようなことを伝えるのは後々のトラブルにつながることがあるので注意しましょう。
「うろ覚え」の例文は?
「うろ覚え」の例文は?“うろ覚え”を使った例文を通じて使い方をイメージしていきましょう。
・うろ覚えで申し訳ないのですが、次回の打ち合わせは火曜日で間違いないでしょうか。
・うろ覚えですが、A社はとてもわかりにくい場所にあったと思います。
・うろ覚えで物を言わないほうがいいと思いますよ。
「うろ覚え」を言い換えると?類語は?
「うろ覚え」を言い換えると?類語は?“うろ覚え”と類似した意味を持つ言葉をご紹介します。
(1)「おぼろげ」
“おぼろげ”は、ぼんやりしている様子。確実ではない記憶に言及するときにも使われています。
【例文】
・A社のビル入館手続きには、かなり時間がかかったのをおぼろげに覚えています。
(2)「判然としない」
“判然”(読み方:はんぜん)は、はっきりと明瞭なさま。「判然としない」と否定形で用いることで、はっきりしていないあいまいな様子を表します。
【例文】
・どうも記憶が判然としないので、現状に至った経緯を教えてください。
(3)「生覚え」
“生覚え”(読み方:なまおぼえ)は、確かではない記憶。“うろ覚え”の類義語ですが、日常会話ではあまり耳にしないやや古風な表現です。
【例文】
・あの日の会話の内容は生覚えですが、とても楽しかったことは記憶しています。
(4)「あやふや」
“あやふや”は、物事がはっきりしない様子。不確かである様子。
【例文】
・記憶があやふやなので正確な返答は難しいと思いますが、私が答えられることならお答えします。
以上、今回は国語講師の吉田裕子さんに“うろ覚え”の使い方について解説していただきました。
あいまいな記憶を語る際によく使われる表現なので、使い方を覚えておきましょう。
【取材協力・監修】
吉田裕子
国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)。東京大学卒業。