「斜に構える」の意味とは?
「斜に構える」の意味とは?「斜に構える」(読み方:しゃにかまえる)は、物事に正面から対応せず、皮肉やからかいなどの態度で臨むこと。まともに対応しない様子を表す言葉です。
「斜に構える」には逆の意味もある?
「斜に構える」の語源は、剣道で刀をまっすぐに相手に向けずに斜めに構える姿勢。転じて「しっかりと身構える」「きちんとした態度をとる」という意味で使われるようになりました。
現在、多くの国語辞典では「改まった態度をとる」「物事に正面から対処しない」の2種類の意味が掲載されていますが、実際には後者の「まともに対応しない」意味で使われる場面が多くなっています。
言葉の使われ方が時とともに変化していくことを示す良い事例と言えるでしょう。
「斜に構える」の使い方の注意点は?
「斜に構える」の使い方の注意点は?“斜”を訓読みすると。“斜め”(読み方:ななめ)。
普通とは違った見方や、ひねくれた考え方をする様子を「斜めに見る」などと言い表すことがありますよね。
「斜に構える」を「斜めに構える」などと言い間違えるケースも見受けられますので注意が必要です。
【要注意表現】
・彼はいつも斜めに構えた物の見方をする。
→「斜めに構える」という慣用句はない。「斜に構える」が正解。
「斜に構える」の例文は?
「斜に構える」の例文は?「斜に構える」の例文を通じて使い方をイメージしていきましょう。
・斜に構えた態度では誤解されても仕方がない。
・斜に構えず、素直に対応しましょう。
・そのコメンテーターは、斜に構えたキャラクターが持ち味だ。
「斜に構える」を言い換えると?類語は?
「斜に構える」を言い換えると?類語は?現在、多くの場面で「まともに対応しない」という意味で使われている「斜に構える」ですが、類似の場面で使われる言葉には以下のようなものがあります。
(1)「はすに構える」
「はすに構える」を漢字で書くと「斜にかまえる」。いずれも同様の意味で使われています。
【例文】
・彼女のはすに構えた態度は、顧客を不快にさせた。
(2)「ひねくれる」
考え方や態度、性格がまっすぐでないこと。素直でない様子を表すときの言葉です。
【例文】
・今回の件に関して、部長はひねくれた見解を示している。
「斜に構える」の対義語は?
null「斜に構える」の対の意味を含む言葉を紹介します。
(1)「素直」
性格や態度にひねくれたところがない様子、人に逆らわない様子を表す言葉です。日常会話でも広く使われる表現です。
【例文】
・彼女は上司からの忠告を素直に受け止めた。
(2)「虚心坦懐」
「虚心坦懐」(読み方:きょしんたんかい)は、心になんのわだかまりもなく、さっぱりして平な心のこと。また、そうした心で物事に望むこと。
【例文】
・あまり斜に構えず、虚心坦懐に相手の声に耳を傾けることが大切だと思っています。
今回は、国語講師の吉田裕子さんに「斜に構える」について解説していただきました。
本来の意味を含めて「斜に構える」の意味を覚えておきたいですね。
【取材協力・監修】
吉田裕子
国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)。東京大学卒業。