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正解率26%!「浮足立つ」は「浮かれて落ち着かない」という意味ではない…本来の意味は?【間違いやすい日本語#24】

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“浮足立つ”は、どんな感情に駆られた状態なのでしょうか。

今回は『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんに“浮足立つ”の意味について解説していただきました。

「浮足立つ」の意味とは?

“浮足立つ”(読み方:うきあしだつ)は、どちらの意味だと思いますか?

  1. 喜びや期待を感じ、落ち着かずそわそわしている
  2. 恐れや不安を感じ、落ち着かずそわそわしている

正解は「2」。「恐れや不安を感じ、落ち着かずそわそわしている」が正しい意味です。

文化庁が実施した「国語に関する世論調査」では、60.1%が「喜びや期待を感じ、落ち着かずそわそわしている」を選択しています。

“浮足”は、かかとが上がって十分に地を踏んでいない状態。気がかりなことがあって落ち着かず、逃げだしそうな状態を“浮足立つ”“浮足になる”という言葉で表します。

ところが、近年では喜びや期待によって“うきうき”した様子を表す言葉だと解釈している人が多くなっています。そのため、国語辞典の中には、“俗に”と前置きしたうえで“うきうき”の意を併記しているものもあります。

ちなみに、類似の変化を遂げた言葉としては「鳥肌が立つ」があります。本来は、寒さや恐怖のために鳥肌が生じる言葉でしたが、感動や強い喜びを感じた場合にも使われるようになっています。

「浮足立つ」と「浮き立つ」の違いは?

“浮足立つ”は、恐れや不安を感じて落ち着かない様子。

対して“浮き立つ”は、楽しく陽気になることうきうきすること

2つの言葉を混同しないよう、ご注意ください。

「浮足立つ」の例文は?

“浮足立つ”を使った例文をご紹介します。

本来の意味である、不安でそわそわした様子を表す場合には、以下のような形で用います。

・初めてのプレゼンテーションで浮足立つ思いがした。

・めったにないトラブルを前にみなが浮足立っていた。

しかし、実際には以下のような形で“うきうき”の意味で使われる場面が多くなっています。

・彼は、明日から1週間の休暇を取得予定のためか、浮足立って見える。

・その朗報を受け、みなが浮足立っていた

「浮足立つ」の使い方の注意点は?よく見かける間違った使い方

“浮足立つ”という言葉は本来、恐怖や不安によって落ち着かない様子を表す言葉ですが、近年は、喜びでうきうきする様子を表す人が多くなっています。

本人は緊張して不安な気持ちを伝えようとして“浮足立つ”を使っても、相手に真意が正しく伝わらない可能性があります。以下に紹介する言い換え表現を使った方がいいかもしれません。

「浮足立つ」を言い換えると?類語は?

続いて“浮足立つ”の言い換え表現をご紹介します。不安や恐怖を感じている様子を伝える際に使える表現です。

(1)「尻込みする」

不安になって、後ずさりすること。ためらうこと。“後込み”と表記することも。

【例文】

・久しぶりに大勢の前で発表をするので、尻込みしてしまう。

(2)「冷や汗をかく」

緊張したとき、恥ずかしいとき、恐ろしいときに、冷たく感じられる汗をかくこと。

【例文】

・総会では、想定外の質問が飛び交い、冷や汗をかいた

(3)「気ぜわしい」

気持ちがせかされて落ち着かない様子。“そわそわ”した様子を表す形容詞です。

【例文】

・やることが山積みで、なんだか気ぜわしい

 

以上、今回は国語講師の吉田裕子さんに“浮足立つ”について解説していただきました。

不安でそわそわした様子を表す言葉ですが、“うきうき”の意味で使われているケースもありますので、読解の際には注意してくださいね。

 

取材・文/北川和子

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【参考】

令和元年度「国語に関する世論調査」の結果の概要

プロフィール

吉田裕子
吉田裕子

国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)、『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)。東京大学卒業。

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