「僥倖」の読み方や意味とは?
null“僥倖”の読み方は“ぎょうこう”。思いがけない幸せのことを意味しています。
ビジネスシーンでは「僥倖」はどんなときに使う?
null“僥倖”は、願ってもかなわないような思いがけない幸運に巡り合ったことを伝える際に感謝や謙遜の気持ちをこめて使われています。
例えば、以下のような場面で使うことができます。
・自分の仕事・自分の会社の業績などが、思いがけない幸運によって良い展開となったとき
・目上の相手に到底受けてもらえないような依頼をするとき、
手紙やかしこまったメールなど、文章の中で使う言葉です。話し言葉で使うことはほとんどありません。
「僥倖」の使い方の注意点や間違った使い方は?
null“僥倖”は、“思いがけない幸い”を意味しています。スペシャル感がある言葉なので、文章中で多用することはありません。
【NG例文】
・昨日送ったメールをご確認いただけますと僥倖です。
→しょっちゅう用いる語ではない。「~していただけると幸いです」
また、“僥倖”という言葉の“思いがけない”というニュアンスを見落として“幸せ”と同義だととらえているケースが見受けられます。以下のような例文ですと“運任せ”のようなイメージを与える可能性があるため、注意が必要です。
【要注意例文】
・このプロジェクトの僥倖を祈るばかりです。
→責任ある仕事に関し、「僥倖を願う」とは言わない。
「僥倖」の例文は?
null“僥倖”の例文を通じて、使い方をイメージしてみましょう。
・ヒット商品を生み出すことができたのは我が社にとって僥倖であった。
・今回、〇〇様にお目にかかることができて僥倖です。
・消費者の嗜好に変化があり、僥倖にも今期の売り上げは好調です。
「僥倖」の言い換え表現や類語は?
null続いて“僥倖”の言い換え表現や類語をご紹介します。
(1)「もっけの幸い」
“もっけ”は、思いがけないこと。“もっけの幸い”は、思いがけない幸せのこと。
【例文】
・A社のキーパーソンと会えたことは、もっけの幸いでした。
(2)「棚からぼた餅」
思いがけない幸運が巡ってくること。
【例文】
・半ばあきらめていた大型案件が決まったのは、棚からぼた餅だった。
(3)「うれしい誤算」
自分の見込みが外れ、良い展開となること。
【例文】
・もう少し時間がかかると思ったが、これほど早く決まったのは、うれしい誤算だった。
(4)「儲けもの」
思いがけず得る利益。社内の同僚や友人とのくだけた会話の中で使われることがあります。
【例文】
・その商品のヒットは、本当に儲けものでしたね。
「僥倖」の対義語は?
null“僥倖”と対の意味を持つ言葉は以下のようなものがあります。いずれも思いがけない不運や、災いを意味する言葉です。
(1)「青天の霹靂」
“青天の霹靂(せいてん の へきれき)“は、青天に怒る雷の意から、急に起こる大事件、突然受ける衝撃のこと。
【例文】
・得意先であるA社の倒産は、青天の霹靂だった。
(2)「とんだ災難」
突然起こる不幸なできごとや災いのこと。
【例文】
・天候不良により、新幹線が止まるとは、とんだ災難でした。
(3)「奇禍」
思いがけない災難のこと。
【例文】
・本日のニュースでB社の奇禍を知った。
今回は“僥倖”という言葉について国語講師の吉田裕子さんに解説していただきました。
日常的に使う言葉ではありませんが、メールや手紙の中で目にすることがあるかもしれないので意味を覚えておきましょう。
【取材協力・監修】
吉田裕子
国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。