「焦がしきのこのオイスターソース焼きそば」の作り方
nullパスタのように麺をわざわざゆでなくていいから、調理時間が短くて済むうえ、実は意外な味付けでもおいしくまとまる懐の深さが焼きそばのすごいところ。
今までなんでソース焼きそばしか作らなかったんだろう!と後悔するほど、スヌ子さんが提案する焼きそばレシピは、未知なる味付けや組み合わせで新発見の連続です。
市販の焼きそばは、ズバリ「麺の下処理が大事!」とスヌ子さん。早速、作り方を見ていきましょう。
【材料】(1人分)
焼きそば用の麺・・・1玉
エリンギ・しめじ・舞茸・・・計2パック
ごま油・・・小さじ1
酒・・・大さじ1
オイスターソース・・・大さじ1
バルサミコ酢・・・適量
※麺は市販の焼きそば用のものを使います。
※今回はエリンギ、しめじ、舞茸を使いますが、お好みのきのこで何でもOK。2種類以上使った方が、味に深みが出ます。
【作り方】
(1)麺を600Wの電子レンジで約30秒加熱する。このひと手間で、麺がほぐしやすくなる。
「麺は、フライパンにそのまま投入するとブチブチ切れやすいので、最初に約30秒、電子レンジ(600wのもの)で加熱します。袋には穴を開けたりせず、そのまま温めて大丈夫。このひと手間で麺がグッとほぐれやすくなりますよ」(以下「」内、スヌ子さん)
(2)フライパンにごま油を入れる。この時、フライパンは冷たいままでOK。
「ごま油は風味づけと、きのこがフライパンにくっつかないようにするだけなので、少量でOKです」
(3)きのこは石突きをハサミで切り、大きめに手で裂く。
「きのこは金属を嫌うので、手で裂いた方がおいしく仕上がります。加熱するとかなり縮むので、大胆に大きく裂いたほうがご馳走感が出ますよ。石突きはハサミで切れば、包丁もまな板も使わずに作れます」
(4)温めた麺をきのこの上にのせて、強火にかける。
ここで初めて火をつけます。フライパンが温まるまでは強火でOKです。先に電子レンジで麺を温めておいたので、麺がほぐれやすくなり、ブチブチ切れずに仕上がりますよ。
(5)フライパンが温まったら、麺の上に酒を振る。
「フライパンが温まる前に酒を入れると、きのこから水分が出てしまうので、フライパンが温まるまでそのまま待ちましょう。十分に温まってシューッと音がしてきたら、麺の上に酒を振ってフタを閉め、蒸し焼きに」
(6)ふたをして弱めの中火にし、4〜5分蒸し焼きにする。
シューッという音がずっと出ているよう、火加減を弱めの中火に調整します。この時、ふたに水滴がつく状態を保つのがポイントです。
「きのこから出る水分の蒸気を利用して、麺をじっくり蒸し焼きにします。麺がきのこの蒸気で蒸されて、きのこの旨味が麺にしっかりと染み込みます。同時にきのこの旨味もギュッと凝縮されるんですよ。
そのまま火にかけた状態で置いておけばいいので、この5分の間にサラダやスープならササッと作れますね。今回は麺は1玉ですが、2玉になっても蒸す時間は同じで大丈夫です」
(7)香ばしい香りがしてきたら、ふたを開ける。麺の上にオイスターソースをかけ、麺が切れないように優しくほぐす。きのこが焦げそうだったら、ごま油を足して。
5分経たなくても、香ばしい香りがしてきたらふたを取ってOKです。ここまで、きのこや麺はいじらずに、最初に入れた状態のまま。ふたを開けると麺はふっくら、きのこには香ばしい焼き色がついて、とってもいい感じ!
「きのこがソースを吸ってしまうので、オイスターソースは麺の上にかけ、箸で麺を優しくさばいてほぐします。きのこが焦げそうになったら、ごま油を足して。でも、ちょっと焦げたかな?くらいが実はおいしいですよ」
(8)器に麺を先に盛り付け、きのこをのせる。好みでバルサミコ酢をかけたら、できあがり!
器に麺を先に盛り付け、きのこをその上にあしらいます。好みでバルサミコ酢や黒酢など、コクのある濃いめの酢をかけると、グッと高級な大人の味に。この組み合わせもスヌ子さんならでは!
早速試食すると、きのこの旨味がものすごく濃厚で、スタッフ一同驚き! そして、このちょっと焦げた香ばしいきのこがたまりません。3種類のきのこのそれぞれ違う食感も楽しいアクセントに。
きのこの旨味がしっかり凝縮されているので、調味料はオイスターソース1つで十分。作り方も材料もシンプルで、これなら忙しい日や疲れた時でも作れそう。さらに、赤ワイン、紹興酒、ビールなどにも合いそうなので、お酒のおつまみにもおすすめです。
「ボリュームを出したい人は、追加で豚肉やひき肉を入れても。その場合は、きのこ、肉、麺の順で重ねて、同様にじっくり蒸し焼きにしてください。包丁を使わないので子どもたちにきのこを手でちぎってもらい、家族みんなでホットプレートで作るのも楽しいですね」
手軽なのに、本当にびっくりするほどおいしいので、ぜひ試してみてください。次回は、パスタよりも簡単に作れる、スヌ子さんイチオシの「カルボナーラ風焼きそば」を紹介します!
【取材協力】
稲葉ゆきえ
料理家。スヌーピーが大好きで、自身の顔も似ているため、「スヌ子さん」の愛称で親しまれる。雑誌編集者時代、育児休暇中に始めた料理ブログで独創的なアイディアレシピを紹介して人気に。2009年に自宅で料理教室をスタートし、翌年には東京都・日本橋に『ギャラリーキッチンKIWI』を開設。2011年に16年勤めた出版社を退社し、料理家として独立。現在、料理教室はいつも満席で、2児の母、雑誌編集者、ワーキングマザーの視点を生かした新しいおうちごはんのあり方を提案する。著書に『酔いどれスヌ子の麗しごはん 賢い手抜きで「センスがいいね」とほめられる111皿』(小学館刊)など。
取材・文/岸綾香