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雨晴兼用傘と晴雨兼用傘はどう違う?自分にぴったりの「日傘」を選ぶ方法、教えます 【猛暑が来る前に】

ここ数年の猛暑もあり、老若男女が日傘をさすようになりました。それもあり、いまや「日傘」と一口に言っても、サイズも色もバリエーション豊富。また、開閉が手動か、自動か。さらにUVカット率やら遮光率やら……じつに多彩で迷ってしまいます。

ずばり、何を基準にどう選べば、自分にぴったりの日傘が見つかるの? 名古屋の老舗傘メーカー『小川』に伺いました。

Step1:「雨晴兼用」ではなく「晴雨兼用」を選ぶ

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お話を伺った、「小川」の営業・小川太志さん(写真右)と企画・矢頭由妃さん(写真左)。

小川太志さんによると、古くから「日傘」とは、布製で日光を遮るものを指すのだとか。また、傘の内側に黒のポリウレタン加工を施して遮光率を高めている日傘は「晴雨兼用」と表記されているそうです。

「間違えやすいですが、傘には“雨晴兼用”と“晴雨兼用”があり、どちらもUVカットはできます。でも、日差しによる暑さもガードしたい場合は“晴雨兼用”を選んでください」(小川さん)

「雨晴兼用」と「晴雨兼用」の特徴

  • 雨晴(うせい)兼用
    雨傘にUVカット加工を施したもの。遮熱効果はナシ。
    雨の日だけ傘を使う人におすすめ。
  • 晴雨(せいう)兼用
    傘の内側に黒のポリウレタン加工を施し、遮熱効果もあるので、日差しによる暑さもガードできる。熱中症対策も兼ねて日傘を使いたい人におすすめ。

Step2 :「親骨のサイズ」を決める

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傘は、『親骨(おやぼね)』と呼ばれる骨の長さで直径が決まります。未就学児なら35〜50cm、大人なら50〜55cmが標準で、55〜60cmは大きなサイズ。一般的に、5cm刻みでサイズが用意されているのだとか。

「親骨とは、傘を開いたときに放射状に伸びる骨組みのことです。その骨の長さ(傘の半径)を指します。

大人の場合、体をきちんと覆える体型に合った親骨のサイズを目安にしてください。そこから、好みやシーンに応じて絞り込んでいきます。軽いほうがよければ、男性でも50cmの小ぶりなものがおすすめです」(小川さん)

骨の数、大きさによってサイズは異なります。

子どもは「サイズ」+「安心・安全なつくり」に注目!

日傘デビューは小学生になるタイミングがおすすめ。

近頃では熱中症予防から、お子さんが登下校時などに日傘をさす姿も珍しくなくなりました。

「雨傘、日傘に限らず、子どもの場合は、体型に合っているかどうかはあくまでも目安。持ったときにフラつかないサイズにしましょう。『子どもはすぐに大きくなるから』と大きめを選ばれるご家庭もありますが、大きすぎると風にあおられたりして危ないんですよ」(小川さん)

できれば一緒に買いに行き、試着するように“試しざし”できるとよいですね。また、サイズ以外にも、視界が確保できる“透明窓”や“反射板”が付いているかもチェックするとよい、とも。

「登下校や塾へのお出かけなど、朝夕の視界が悪い時間にさす場合も安心ですよ」(小川さん)

“露先(つゆさき)”がない傘。

「あとは、周りの人たちの安全を守る意味でも、尖ったパーツがないといいですね」(矢頭さん)

たしかに、傘の先端にある“石突(いしづき)”や、雨粒が骨に沿って落ちてゆく先端にある“露先(つゆさき)”といったパーツは、目を突くなどの危険性も……。近年では、あえてこうした“とんがりのない傘”も出回っているそうです。

Step3:「折りたたみ傘」か「長傘」か

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使う頻度にもよりますが、小川さんのおすすめは折りたたみ傘。

「やはりコンパクトになるので、持ち運びやすさで折りたたみ傘に軍配が上がります。ただ、折りたたみ傘でも、骨の関節をポキポキと折ったり伸ばしたりして開閉するタイプと、骨を折らず簡単に開閉できるタイプとがあります。それぞれのメリットとデメリットを知ったうえで選びましょう」(小川さん)

傘の開閉、それぞれのメリットとデメリット

筆者が愛用する『mont-bell(モンベル)』の「トラベル サンブロックアンブレラ 55」(税込み6,800円)は、手動タイプ。重量159gと軽量だが、確かに開閉がちょっと手間。

  • 骨をポキポキと折ったり伸ばしたりして開閉するタイプ
    メリット:比較的に軽くて壊れにくい。
    デメリット:開閉に手間がかかる。
  • 骨を折らず簡単に開閉できるタイプ
    メリット:開閉が楽。
    デメリット:比較的に重い。

コンパクトな長傘を選ぶのもアリ

ミニマムな『-0&(ゼロアンド)』の「晴雨兼用日傘」(税込み3,520円)。

いわゆる「日差しを遮る」ことにこだわっているなら、コンパクトな長傘もある、と矢頭さん。『小川』オリジナルの『-0&(ゼロアンド)』には、親骨の長さ40cm、全長60cmというミニパラソルがあります。

「この日傘は、人気イベントの行列や屋外の観客席など、人が密集した場所で広げても周囲の迷惑になりにくいよう、省スペースな晴雨兼用傘として開発しました。40cmは5歳児がもつ傘と同じくらいのサイズ。長傘派でコンパクトなものをお探しの方は、親骨の長さが短いものを探すのもおすすめ」(矢頭さん)

【結論】傘のプロが考える「おすすめの日傘」とは?

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『小川』のイチオシは『-0&(ゼロアンド)』の「ラディクール」シリーズ。高機能素材「ラディクール」を使用し、UVカット率・遮光率は100%、遮熱率も65%と、絶対に日焼けしたくない民の味方。

最後に、この夏に備えて1本買うなら? 小川さんに聞きました。

  • 親骨の長さは55cm
    「しっかり体を覆えるのは55cm。バックパックを背負っているときや、男性でも、晴れでも雨でも安心できるサイズです」
  • 骨は6本
    「5本タイプもあり、こちらは6本に比べると軽量ですが、風への耐久性や生地への風当たりが強くなります。親骨のサイズに対して骨への力の分散を考えると、6本骨を推奨しています」
  • 素材はカーボン
    「カーボンは、やはり軽くて丈夫!」
  • 形は折りたたみ傘
  • 色は白色
    「遮熱率55%以上がすぐれているとされますが、表の色が白色は55%以上、黒色だと40%以下。白色に軍配が上がります。一方で、UVカット率と遮光率でいうと黒色のほうが優れているんですが、どちらも99.9%と表記されている場合は紫外線を100%近くカットしてくれると言っても差し支えありません。だから猛暑対策を考えると、白色の傘がいいですね」
  • 値段は3,000円以上
    「3,000円以上のものであれば、機能性もしっかりしたものがほとんどでしょう」

4月に入り、すでに夏日も。一日も早く、日傘を用意するに越したことはありません。今回伺ったことを参考に、自分にぴったりの1本を見つけてみてください。

【取材協力】
小川

ニイミユカ
ニイミユカ

朝ランが日課の編集者・ライター、女児の母。目標は「走れるおばあちゃん」。料理・暮らし・アウトドアなどの企画を編集・執筆しています。インスタグラム→@yuknote

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