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モノの住所を「一人で決める」のはNG!家族も片付けやすい収納は「使う回数、動線、場所の共有」が命

部屋はすっきりしているはずなのに、片付かないのはなぜ? それは「収納」と「片付けやすさ」に難があるのかもしれません。この11月に『47㎡、2人暮らし 大好きだけが並ぶ部屋作り』を刊行したルームスタイリストであり整理収納アドバイザーの安藤秀通(通称「ひでまる」)さんに、使いやすい「収納」と「片付け」のヒントを聞きました。

「暮らしづらい」「片付かない」のは「収納」に問題あり?

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「もともと性格が雑なんです」と笑う、ひでまるさん。だからこそ、ストレスなく収納できるよう、モノの住所を決めることを大切にしています。

モノの必要・不要をジャッジし、捨てたり譲ったりする「整理」ができた部屋。ぱっと見はすっきりしたものの、暮らしづらいのはなぜ……? 実はこれ、筆者が陥っているお悩みです。

「お客様からもよく伺うお悩みです。モノが減っても暮らしづらいのは“収納”に難がある可能性が高いです。“収納”がうまくいっていないと“片付け”もしづらくなります」(以下「」内、すべて安藤秀通(ひでまる)さん

ひでまるさんによると、「収納」は「整理」の次に行うステップ。自分にとって必要なモノだけ残したら、家の中でそれらの住所を決めていきます。そして、あらかじめ決めた「収納」に「片付ける」のが心地よい暮らしを保つ基本です。

モノの住所を決める際に、ひとつ目安になるのは、“腰の高さから目線の高さの収納が使いやすい”ということです。お子さんだけが使うものは、“お子さんの腰の高さから目線の高さ”。家族みんなで使うものは、“大人の腰の高さからお子さんの目線の高さ”を意識してみてください」

頻度と動線を意識した「収納」ができている?

ひでまるさんは、シンクの下に1軍の食器などを収納。(画像:『47㎡、2人暮らし 大好きだけが並ぶ部屋作り』より)

「初めに意識していただきたいのは、おうちに住んでいる人全員が使いやすい位置に、モノの住所を決めることです。当たり前のようですが、とても重要。これができていないと、せっかく整理してきれいに収納しても“家族が元に戻してくれない”とか“モノを戻せずに散乱してしまう”というお悩みにつながるんです」

収納場所を決める時のポイントは「頻度と動線」だそうです。

「例えば、洗い物の後に食器が食器棚ではなく、ずっと洗い場に置いてあり片付かない。これは、よく使う食器が取り出しづらい位置や、片づけるのが面倒な場所に収納されているということかもしれません。

キッチンにスペースが少なくて頻度の高い食器が置けないという場合は、ほかの道具を“本当にキッチンに収納するべき?”と考えてみるのもおすすめです。ホットプレートや土鍋など、使う頻度が少ない大きな道具は、実はリビングやダイニングなど、みんなで食事を囲む場所に収納してあってもよいかもしれません」

キッチン収納の3つのポイントは
1.使用頻度が高いモノと低いモノを同じ場所に収納しない。
2.無理なく取り出せる場所に収納する。
3.使用頻度が高いモノは3アクション以内で取り出せるようにする。
これでずいぶん使いやすくなるはずです」

「一緒に住んでいるのに片付けに協力してもらえない」のはなぜ?

ひでまるさんは、必ずパートナーのぶたじるさんに相談するそうです。(画像:『47㎡、2人暮らし 大好きだけが並ぶ部屋作り』より)

子育て世代にとって“あるある”は、子どもの通園バッグやランドセルが、決めたはずの場所に片付けられないというお悩み。「14歳離れた私の弟も、居間にランドセルを放り投げていました」とひでまるさん。お客様のご自宅でも、よく見かける光景なのだとか。

「お子さんが玄関に置いてしまうのなら、玄関にランドセルの住所を作ってあげるのもよいですし、リビングに置き場を作ったほうがうまくいくかもしれません。

誰しも理想のインテリアがあると思います。通園バッグやランドセルがリビングにあると、景観が……と思われるかもしれません。でも、それは長い人生でみたら数年で状況が変わることですよね。一度、頭をフラットにして考えてみてはいかがでしょう」

この際、自分一人でモノの住所を決めないこと。家族で、そしてお子さんのものの場合はお子さんと「ここにしよう」と決めることが大事です。

「お掃除や整理整頓など、家の管理をされている方がモノの住所を一人で決めるパターンがすごく多い。でもこれは“収納”と“片付け”がうまくいかない典型かもしれません。

お子さんであっても、ある程度年齢がいくと意思があるので、私は“これ、どこに置きたい?”って聞きます。すると意見を言ってくれることが多い。おもちゃの整理をして必要なモノだけにするときも同じですよ」

人を変えようとするのはNGです!

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ひでまるさんは、モノの住所を決める際は必ず、一緒に暮らすぶたじるさんに「ここに、こういう理由で収納しようと思うけど、どう?」と伝えるそうです。

2人で意見を交わしながら決めていくから、片付けづらかったら“なんでかな?”と相談もできます

収納と片付けは、一度住所を決めればうまくいくと思いがちです。でも、自分の家って実はモノの住所が決まるまでが大変。職場だと、同僚に迷惑をかけちゃいけないと、ちゃんと元に戻せる人が多いんですけれど……。自分の家は自制するものがありませんから、しっくりくるまでトライ&エラーを繰り返しましょう

Instagramにも登場する、ひでまるさんのワークスペース横の棚。無印良品のアイテムで、使いやすく統一感のある収納に。(写真:『47㎡、2人暮らし 大好きだけが並ぶ部屋作り』より)

また、収納も片付けも、そして整理も「一緒にやってよ!」と押し付けるのはNG。ひでまるさんは2カ月間で自宅の整理・収納をした際、一度だけ「ぶたじるさんも片付けてよ」と言い、険悪なムードになったことがあるそうです。

「自分がお片付けしたい気持ちが盛り上がっているとしても、人を変えようとしてまでやるのは一番よくないことだと思います。たとえ信頼している家族やパートナーであっても、人を変えようとするんじゃなくて、勝手に変わってくれるまで、自分が変わることが大事だと思います。

私の場合も、ぶたじるさんの4~5倍あった自分のモノを減らしたら、“スッキリすると気持ちがいい”と思ってくれたようです。ぶたじるさんから“このコート、今年の春は1回も着なかったから手放す”と言われたり、ごみの日の前日に家中パトロールする習慣を、気付けば一緒にやってくれるようになったり」

突然押し付けると、家族やパートナーの心のシャッターも閉まってしまいますよね。これは、自分に置き換えれば当然。家族は家族ですが、別の人間ということを忘れずに。楽しみながら整理・収納をする姿を見せましょう!

【取材協力】
安藤秀通さん

ルームスタイリスト、整理収納アドバイザー。「ひでまる」として、東京都杉並区の築35年、47平米のリノベマンションでの男性パートナーとの2人暮らしを、SNSを中心に発信。幅広い世代に話題を呼ぶ。ディズニーストアや美術館、水族館のミュージアムショップで8年間VMD(ビジュアルマーチャンダイザー)を学んだ経験を活かしたルームスタイリングは、数カ月先まで予約が埋まるほど。部屋作りの情報を詰め込んだルームツアー付きセミナーを自宅にて開催し、人気を博している。セミナー、コラム執筆など、多方面で活躍中。202311月に初となる著書『47㎡、2人暮らし 大好きだけが並ぶ部屋作り』(小学館)を発売。

https://www.instagram.com/hidemaroom/

『47㎡、2人暮らし 大好きだけが並ぶ部屋作り』著/  安藤秀通(ひでまる)(1,650円税込み・小学館)

センスはいらない、部屋はルールで整える!

インテリアの提案がツボすぎる!と、SNSでも大人気のRoomStylist・整理収納アドバイザー、ひでまるさん。『NHK WORLD JAPAN』 でも話題になり、インスタグラムのフォロワーは9.5万人! 注目の集まる中、本名の安藤秀通として、初の書籍です。
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ニイミユカ
ニイミユカ

朝ランが日課の編集者・ライター、女児の母。目標は「走れるおばあちゃん」。料理・暮らし・アウトドアなどの企画を編集・執筆しています。インスタグラム→@yuknote

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